ジロ・デ・イタリア2025 第19ステージ展望：カラパスはデル・トロに勝機を掴むか？

ジロ終盤の激震！カラパス、デルトロに挑む黄金のチャンス

ジロ・デ・イタリア2025の最終盤を飾る2つの山岳ステージ。その一つ、第19ステージは、まさに総合優勝の行方を決定づける一戦となるでしょう。この過酷な山岳ステージでは、3つの1級山岳を含む5つの上りが選手たちを待ち受けます。中でも注目は、リチャル・カラパスがピンクジャージを着るイサーク・デルトロ Toroの弱点を探り、最初の攻撃を仕掛けるであろうことです。クラスマン（総合上位選手）たちはステージ優勝も狙ってくるのか、それとも逃げ集団が栄光を掴むのか？『ウィーラーフリッツ』の記事を読み解きながら、私がその裏側まで深く考察していきましょう。

山岳決戦の舞台、シャンポールックへ：歴史とトリビアが交錯する道

ジロ・デ・イタリア2025のクライマックスは、イタリア北西部のピエモンテ州で幕を開けます。イタリア好きの皆さんならご存知でしょうが、この地はまさに「山岳地帯」を意味します。そして、そこには容赦ない「激坂」が待ち受けているのです。第19ステージのスタート地点は、人口約4万5千人のビエッラ。この街の最も有名な元住民は、かつてイタリア代表としてワールドカップを制したサッカー選手、アルベルト・ジラルディーノです。パルマ、ACミラン、そして特にフィオレンティーナで活躍し、セリエAで610試合に出場、220ゴールを挙げた彼のキャリアは、まさにサイクリストたちの激闘と重なるものがありますね。現在はジェノアの監督を務めている彼ですが、ビエッラは他にも、シモーネ・ブルソンやマッティア・ポッツォといった元自転車選手を輩出しています。デニス・ルンギという名前には聞き覚えがある方もいるかもしれません。彼は2002年のジロで、コパック・アストロの一員としてキエーティにゴールする第12ステージを独走で制しました。

そして、今回のフィニッシュ地点であるシャンポールック。この地は、若手選手たちの登竜門として知られる過酷な山岳レース「ジロ・チクリスティコ・ヴァッレ・ダオスタ」のゴール地点として有名です。2019年にはサンミシェル・プレフェンスホーム・オベール93 WE Riesがマキシム・ファンヒルス Gilsやケヴィン・インケラールを抑えて勝利し、昨年はヤルノ・ウィダーがダブル勝利を飾りました。これらの歴史が、今日のレースにどのような影響を与えるのか、興味深いところです。

容赦なき山岳プロファイル：5つ星の難関ステージが示す真の勝者

この第19ステージは、紙の上では今大会で最も過酷なステージかもしれません。わずか166kmの距離ながら、獲得標高は驚異の4950mに達します。主催者RCSスポーツが5つ星評価を与えているのは、第16ステージと第20ステージとこの第19ステージのみ。その理由も頷けます。コースには5つの厳しい上りが詰め込まれているのですから。

スタート直後から、すでに疲弊しきったプロトンはクローチェ・セッラの登坂に取り掛かります。この上りは11.3kmと長いものの、平均勾配は「わずか」4.6%です。しかし、序盤と終盤が特に厳しく、アタッカーたちが強力な逃げ集団を形成するチャンスとなるでしょう。

その後の谷間で、プロトンが逃げ集団にどれだけの余裕を与えるかが鍵となります。約50km地点で、1級山岳のコル・ツェコーレが選手たちの前に立ちはだかります。ここは15kmを超える3つの主要な上りのうち最初の難関です。平均勾配7.7%、最大勾配15%という数字は、この3つの上りの中で最も厳しいことを示しています。もしここで調子を崩すようなことがあれば、2週間半かけて築き上げてきた総合順位はあっという間に崩れ去るでしょう。ここから先は、まさに苦行の道が続きます。

山頂を越えると、26kmの長い下りが選手たちを待ち受け、その先には恐るべきコル・ド・サン・パンタレオンの麓があります。この上りは1991年から2018年の間にジロで4回登場し、過去5年間ではジロ・デッラ・ヴァッレ・ダオスタでも3回勝負どころとなりました。多くの場合、ブレイユ・チェルヴィニアとの組み合わせで登場しますが、今回はそれがありません。サン・パンタレオン（16.5km、平均勾配7.2%、最大12%）の山頂から約20km下ると、コル・ド・ジューの麓に到着します。フランス語名ですが、ここはまだイタリアです。この上りは15km以上で平均勾配6.9%です。この山頂を越えてから6km下ると、9.4kmで平均勾配4.6%のアンタニョッドが最後の壁として現れます。ここで決定的な差がつくことはないでしょう。そして、その4.5km先にシャンポールックのフィニッシュラインが引かれています。まさに、息をのむような山岳スペクタクルが繰り広げられるに違いありません。

ピンクの行方：カラパス vs. デルトロ、そして狙う者たちの思惑

残す山岳ステージは2つ。総合上位陣の力関係は、もはや明らかになってきました。総合トップ3は1分差以内にひしめき合っていますが、そのうち2人はこれまで何度か弱点を見せています。残りの選手たちにとって、総合優勝は現実的ではないかもしれませんが、ステージ優勝の可能性が全くないわけではありません。

私は、総合争いが激化しているからこそ、ステージ優勝も強豪選手たちの手に渡る可能性が高いと見ています。もちろん、強力な逃げ集団がそのまま逃げ切ることも考えられますが、それならばチェザーノ・マデルノへのステージの方が彼らにとってチャンスは大きかったでしょう。このステージは、アンタニョッドの上り直後のフィニッシュという、アップダウンが続くプロファイルが特徴です。

現時点で確実視されているのは、EFエデュケーション・イージーポストがレースの鍵を握るということです。彼らがイサーク・デルトロ Toroからピンクジャージを奪い取るなら、このステージで実行したいはず。彼らのピンクのジャージを着た選手たちは、おそらくステージを徹底的にコントロールすることはせず、可能であればレースを厳しく展開したいと目論んでいるでしょう。特に、カステルノーヴォ・ネ・モンティ（カラパスが勝利）やサン・ヴァレンティーノ（逃げ集団に続いてカラパスが4位）へのステージで、この爆発的なクライマーが今大会最高の登坂力を見せつけたことは記憶に新しいですね。

正直に言って、カラパスが最強のクライミングチームを擁しているとは言えません。しかし、彼の同胞であるジェファーソン・セペダは今大会好調ですし、昨年ステージ優勝を飾った若きドイツ人、ゲオルグ・シュタインハウザーも山岳では非常に良い走りを見せています。彼はしばしばアタックで先行し、終盤でエースのために役立つことができる選手です。

しかし、私もイサーク・デルトロ Toro自身を軽視してはいません。メキシコ人である彼は、ボルミオへの道中での爆発的なアタックでさらにリードを広げ、ピンクジャージを比較的堅守しています。現在、カラパスに対して41秒差をつけており、カラパスは彼にとって最も近いライバルです。ただ、デルトロは長い上りで時折苦戦する傾向があります。サン・ヴァレンティーノの上りではタイムロスを喫し、さらに最近では水曜日のモルティローロ峠でも遅れをとりました。山頂手前のスプリントで他の総合勢に追いつきましたが、これはUAEチームエミレーツ・XRGのエースの脆さを示しています。彼自身も大きなプレッシャーを感じているように見えますが、キャリア初のステージ優勝を飾ったことは、そのプレッシャーをプラスに変える力があることを証明しています。

もしデルトロが弱点を見せるようなことがあれば、ジュリオ・ペリツァーリも躊躇なくアタックを仕掛けるでしょう。このイタリア人はデルトロと同じサンマリノのアパートに住んでいるにも関わらず、時折パックの中で最も強いクライマーであることを示しています。サン・ヴァレンティーノで2人の逃げ選手に続いて3位に入ったことがその証拠です。プリモシュ・ログリッチが離脱した後、彼はレッドブル・ボーラ・ハンスグローエの新たなエースとして、その役割を堂々と果たしています。ステージ優勝は彼にとって最高の花を添えることになるでしょう。そして、総合で5分差がついていることを考えると、彼にはある程度の自由が与えられるはずです。

伏兵たちのチャンス：ベテランの意地と若手の躍動、そしてSNSの反響

このような状況は、他のクラスマンたちにもチャンスをもたらします。イネオス・グレナディアーズのエガン・ベルナル、イスラエル・プレミアテックのデレク・ジー、バーレーン・ヴィクトリアスのダミアーノ・カルーゾ、そしてモビスターのアイナー・ルビオといった総合トップ8の強豪たちも、虎視眈々とチャンスを伺っています。もしピンクジャージを争う3人が牽制し合い、誰か一人が余力を残していれば、彼らは喉から手が出るほど欲しいステージ優勝を追いかけるでしょう。

私としては、サイモン・イェーツ（Visma | Lease a Bike）の走りにも注目しています。リーダーのデルトロからわずか51秒差と、総合で非常に高い位置にいながら、彼は今大会やや影の薄いジロを走っています。確かに、イェーツも調子の悪い時があり、あまり積極的に仕掛けるタイプではありません。しかし、だからこそ彼は最後の2つの厳しい山岳ステージに向けて十分な余力を残しているのかもしれません。油断ならないイェーツを、決して軽視してはなりません。

そして、序盤の逃げを狙う選手たちもいるでしょう。最も重要なのは、おそらくロマン・バルデ（チーム ピクニック・ポストNL）です。彼は最後のグランツールで、キャリアを最高の形で締めくくりたいと願っているはずです。また、ロレンツォ・フォルトゥナート（XDSアスタナ）もモチベーションが高いでしょう。彼は山岳賞ジャージをほぼ手中に収めていますが、チームメイトのクリスティアン・スカローニにステージ優勝を譲った後、今度は自分自身が勝利を追い求めるはずです。

同じことが彼のチームメイトであるワウト・プールスにも言えます。グランツールではしばしば終盤に調子を上げてくる選手です。そして、彼はグランツール全勝という偉業を達成したいと強く願っていることでしょう。コメント欄では「プールスはよく名前が挙がるが、今のところ冴えないジロではないではないか？」という意見も見られましたが、彼の経験と粘り強さは侮れません。もしかしたら、ウィルコ・ケルデルマン（Visma | Lease a Bike）が再びアタックを仕掛けるかもしれませんし、タイメン・アレンスマン（イネオス・グレナディアーズ）が彼にしかできない形で力を発揮するかもしれません。他にも、ニコラ・プロドム（デカトロンAG2Rラモンディアル）、ナイロ・キンタナ（モビスター）、ダヴィデ・ピガンツォーリ（ポルティ・ヴィジットマルタ）、ペリョ・ビルバオ（バーレーン・ヴィクトリアス）、フロリアン・シュトルク（チューダー・プロサイクリング）といった選手たちが逃げ集団に加わる可能性も十分に考えられます。

総合争いは、まさに「トップ7全員にチャンスがある」というコメントに見られるように、混沌としています。この第19ステージは、その中で誰が真の勝者として名乗りを上げるのか、その答えを私たちに教えてくれるでしょう。

WielerFlitsによる本命予想

• 本命: リチャル・カラパス
• 対抗: ジュリオ・ペリツァーリ, イサーク・デルトロ Toro
• ダークホース: デレク・ジー, ロマン・バルデ, サイモン・イェーツ
• 穴: ダミアーノ・カルーゾ, エガン・ベルナル, ロレンツォ・フォルトゥナート, ワウト・プールス

最終決戦への序曲：勝負の行方は誰の手に？

金曜日のチェザーノ・マデルノの天気は、気温が28度まで上昇する見込みで、風もほとんどなく、一日中日差しが強い予報です。この暑さもまた、選手たちの体力を奪い、レース展開に影響を与える要素となるでしょう。

ジロ・デ・イタリアは今年もユーロスポーツ1とHBO Maxで生中継されます。この息をのむような山岳決戦を、ぜひ見届けてください。

この第19ステージは、ジロ・デ・イタリアの最終的な勝者を決定づけるための、まさに最後の本格的な山岳テストです。カラパスがデルトロにどれだけのプレッシャーをかけられるか、そして伏兵たちがどこまで食い込めるか。このステージでの結果が、最終日ローマでのピンクジャージの行方を大きく左右することは間違いありません。次なる展開に、私の胸は高鳴るばかりです。...