「Q36.5がピドコックと始動、しかしアフリカの挑戦は停滞──『いまや自転車競技はビジネスがすべて』

Q36.5、ピドコックと暖まるも、アフリカとの繋がりは「ビジネス」で凍結！？

皆さん、こんにちは！モナコから中村リサです。今回は、サイクルロードレースの世界で、ちょっと気になるニュースを深掘りしていきたいと思います。それは、Q36.5 Pro Cycling Teamの戦略転換について。チームの変遷と、そこに見え隠れする「ビジネス」という冷徹な現実を、SNSリサーチャーならではの視点でお届けします。

新たなスタート、しかし過去との決別

Q36.5というチーム名、聞き慣れない方もいるかもしれませんね。このチームは、かつてMTN-Qhubekaとして、アフリカの選手たちを世界に送り出していたチームの系譜を継いでいます。しかし、チームは「もう過去のチームの再出発ではない」と明言。チームのマネージャーであるダグ・ライダー氏も、過去のチームとの連続性を認めつつも、新たな章の始まりを強調しています。チーム名である「Q36.5」は、ラテン語の「探求する」と、人間の理想的な体温である36.5℃を組み合わせたもの。まるで、レースの限界を追求する姿勢を象徴しているようです。

ピドコック加入の衝撃、そして大舞台への渇望

チームの戦略転換を象徴するのが、トム・ピドコック選手の加入です。彼は、Q36.5が「ゲームチェンジャー」と呼ぶほどの存在。ピドコック選手は、シクロクロス、MTB、ロードレースとマルチに活躍する才能の持ち主であり、その加入はチームに新たな風を吹き込んでいます。チームは、ピドコック選手を中心に、グランツール（ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャ）への出場を目指しています。特に、チームランキングで上位25位以内に入りながらも、過去2年間グランツールへの出場経験がないという現状を打破したいという強い意志を感じます。

ビジネス優先の現実、アフリカとの決別？

チームの戦略転換で、最も注目すべき点は、かつてチームが重要視していたアフリカとの繋がりが薄れていることです。「かつては情熱と感動があったが、今はビジネスが優先だ」というライダー氏の言葉が、その現実を物語っています。かつてはアフリカの選手たちを育成し、ツール・ド・フランスの舞台へ送り出すという大きな目標を掲げていたチーム。しかし、現在のチームには、アフリカ出身の選手は一人もいません。ライダー氏は「現在のグループには、質の高いアフリカ人選手がいない」と述べています。この言葉からは、プロスポーツの世界における、結果と数字へのシビアな要求が感じられます。

ピナレロとの関係、そして今後の展開

さらに、チームのオーナーであるイヴァン・グラスバーグ氏が、イタリアの有名自転車ブランド「ピナレロ」を買収したというニュースも、今回の戦略転換を語る上で見逃せません。ピドコック選手もピナレロのアンバサダーを務めており、チームとピナレロの関係は今後さらに深まっていくでしょう。しかし、グラスバーグ氏の投資が、チームにどれだけ還元されるかは未知数です。チームは、ピドコック選手という強力な武器を手に入れたものの、常にランキングと数字という現実と向き合わなければなりません。

次なるステージへの期待

Q36.5は、過去の遺産を背負いながらも、新たな道を歩み始めています。チームの戦略転換は、プロスポーツの世界におけるビジネスの重要性を改めて認識させられます。ピドコック選手の活躍、そしてチームの成長を、SNSの動向と合わせて、今後も追いかけていきたいと思います。次回の記事では、チームのSNS戦略や、選手たちの発信から見える舞台裏について、さらに深く掘り下げていきますね。お楽しみに！