フランスチームの野心：その目標は？

フランスチームのツール・ド・フランス：総合よりもステージ優勝に照準か？

今年のツール・ド・フランスは7月5日にリールで開幕します。例年、地元フランスチームの動向は大きな注目を集めますが、今年は少し様相が異なるかもしれません。デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム-AG2R La Mondiale、Groupama-FDJ、コフィディス、Arkea-B & B Hotels、トタルエネルジーの5つのフランスチームは、総合優勝争いに絡むよりも、ステージ優勝に重点を置く姿勢が見て取れます。これは、世界トップクラスのクライマーやオールラウンダーがひしめく現代のツールにおいて、現実的な戦略と言えるでしょう。しかし、だからこそ彼らのステージ優勝への執念は並々ならぬものがあるはずです。選手たちの表情や声のトーンから読み取れるのは、その熱い想い。最終メンバーは、クリテリウム・デュ・ドーフィネ、ツール・ド・スイス、ルート・ド・オクシタニー、そしてベルギーでのレースでのパフォーマンスが大きく影響すると言われています。

デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム：フェリックス・ガルを軸に総合上位を狙う

サヴォワ地方を拠点とするデカトロン・AG2Rラモンディアール チーム-AG2R La Mondialeは、2028年までにグランツールで総合優勝を果たすという壮大な目標を掲げています。今年のツールでいきなりその目標が達成されるかは定かではありませんが、彼らは着実に総合争いに絡む経験を積んでいます。その中心となるのは、やはりオーストリアのフェリックス・ガルでしょう。2023年のツールでは7位というサプライズを見せましたが、昨年は15位と期待外れに終わりました。しかし、彼は現在アルプスで高地トレーニングを積んでおり、今年のツールに懸ける思いは強いはずです。

彼を支えるのは、強力なルーラーであるシュテファン・ビッセガー。彼もまたガルの高地トレーニングに同行し、ツール・ド・スイスでコンビネーションを磨く予定です。そして、ツールを知り尽くしたベテラン、オレリアン・パレパントル-Peintreやベルギーのオリヴェル・ナーセンも、シエラネバダでのトレーニングを経てクリテリウム・デュ・ドーフィネに参戦し、ほぼ出場を確定させているようです。残るは、ブノワ・コスヌフロワ、バスティアン・トロンション、ポール・ラペラといったパンチャーたちや、山岳アシストの選考。チームはガルの総合上位進出を狙いつつ、ステージ優勝のチャンスも虎視眈々と狙っていることでしょう。彼らがどんな布陣でくるのか、本当に楽しみですね！

Groupama-FDJ：ギヨーム・マルタンを軸に多様な戦略を展開

Groupama-FDJは、今シーズンからコフィディスより移籍してきたギヨーム・マルタン-Guyonnetをツール・ド・フランスの総合リーダーに据えることを明確にしています。ノルマンディー出身の31歳は、新天地でクラシック・グラン・ブザンソンとツール・デュ・ジュラで2勝を挙げるなど、好調なシーズン序盤を過ごしました。彼は今週末からクリテリウム・デュ・ドーフィネに出場し、最終調整に入ります。マルタンは、ロマン・グレゴワールと共にシエラネバダで3週間にわたる高地トレーニングを敢行しました。グレゴワールはツール・ド・スイスにも出場し、ツール序盤のパンチャー向けステージで活躍が期待される若手の一人です。

スペインでの合宿にはポール・ペンウェットも参加しており、彼のスプリント能力が今後のレースで評価されれば、ツール初出場も夢ではありません。クレマン・リュソやルイス・アスキーといった選手が彼のためのトレインを組む可能性も示唆されています。そして、忘れてはならないのが、ヴァランタン・マドゥアス。彼はトロ・ブロ・レオンで3位に入った後、個人合宿でツール・ド・スイスに向けて準備を進めています。パリでのツール最終ステージが、彼の東京オリンピックでの銀メダルを思い起こさせるような活躍となるか、注目ですね。一方で、ジロ・デ・イタリアで落車に巻き込まれ、期待以下の成績に終わったダヴィド・ゴデュのコンディションには依然として疑問符が残ります。彼がリールでのグランデパールに間に合うのか、気になるところです。

コフィディス：総合からステージへ、新戦略で挑む

コフィディスは、ギヨーム・マルタン-Guyonnetの移籍により、今年のツールでのアプローチを大きく変えるようです。これまでマルタンを軸に総合上位を狙ってきましたが、今年はステージ優勝に特化した、よりアグレッシブな戦略を採用するとのこと。これは、チームの強みであるパンチャーやルーラーの層の厚さを活かす賢明な選択と言えるでしょう。バスク出身のヨン・イサギレは、これまで通りチームの重要なステージハンターとして活躍が期待されます。彼はドイツのエマヌエル・ブッフマンと共にティーニュで合宿を行い、両者ともツールでの出場が有力視されています。彼らはバンジャマン・トマと共に、今週末からクリテリウム・デュ・ドーフィネに出場します。

そして、コフィディスの今季の目玉補強であるアレックス・アランブルは、間違いなく今年の夏、チームにとって最高のカードとなるでしょう。彼はスペイン選手権に出場する前に、ルート・ド・オクシタニーで最終調整を行います。コフィディスがこれまでとは異なる戦術で、どのようにステージ優勝を狙っていくのか、非常に興味深いですね。彼らの果敢なアタックは、きっと多くのファンを魅了するに違いありません。

Arkea-B & B Hotelsとトタルエネルジー：サプライズを狙う伏兵たち

Arkea-B & B Hotelsのスポーツマネージャーであるディディエ・ルースは、「総合争いは全く狙わない。そんな能力のある選手はいない」と明言しています。彼らの目標は、昨年のツールで第2ステージを制したKévin Vauquelinのようなステージ優勝を再び狙うこと。チーム内の他の選手たちは、直前の準備レースでのパフォーマンス次第で出場が決まるというサバイバル状態にあります。クリテリウム・デュ・ドーフィネでリーダーを務めるエウェン・コステュー（Vauquelinと共に合宿）とクレマン・ヴァントゥリーニは、好調なシーズン序盤を過ごしており、一歩リードしているようです。また、5月26日のメルカンツール・クラシックで優勝したスペインのクライマー、Cristian Rodriguezもルート・ド・オクシタニーで調整し、好位置につけています。

チームにとって最大の焦点は、スプリンターの選考でしょう。アルノー・デマール、アモリ・カピオット、ルカ・モッツァートがベルギーでの複数のレースに出場し、そのヒエラルキーが確立される見込みです。純粋なスプリンターであるデマールを起用するか、それとも登りもこなせるモッツァートのようなオールラウンダーを起用するか、チームはコストとメリットを慎重に比較検討することになります。

一方、トタルエネルジーも既に15名ほどのプレセレクションを行っています。彼らは全員シエラネバダでの高地トレーニングに参加し、そのほとんどが今週末のドーフィネに出場します。しかし、誰が最終的に選考から漏れるかは不明です。ジョルダン・ジェガットとマッテオ・ヴェルシェは今シーズン既に良い結果を出しており、アントニー・テュルジスは昨年ステージ優勝を飾りました。マチュー・ビュルゴドーは2023年のツールで輝きを放ち、Émilien Jeannièreは安定したパフォーマンスを見せています。彼らの最終リストは、ドーフィネ、ベルギーでのレース、そしてルート・ド・オクシタニーでの結果を受けて、フランス選手権直後に決定される予定です。

最終選考レースが鍵を握る！ツール・ド・フランスへの期待は高まるばかり

フランスチームの多くが総合優勝ではなく、ステージ優勝に重点を置く姿勢は、日本のファンにとっても見応えのある展開を約束してくれるでしょう。「なるほど、だから若手にもチャンスがあるのか！」と膝を打った方もいるかもしれませんね。SNSでは、ファンから「レニー・マルティネスがもし出たらトップ10狙ってほしい」「サラ・マルティンは総合よりステージで暴れてほしい」といった声も上がっており、各選手の活躍に期待が高まっています。

クリテリウム・デュ・ドーフィネ、ツール・ド・スイス、ルート・ド・オクシタニー、そしてベルギーでのクラシックレース。これらの最終選考レースで、選手たちは文字通り椅子取りゲームを繰り広げます。選手たちの表情や声のトーンから、彼らがどれほどツールへの出場を渇望しているか、その熱意がひしひしと伝わってきます。誰が最終メンバーに選ばれ、ツール・ド・フランスでどんなドラマを見せてくれるのか、今から胸が高鳴りますね！次回の記事では、いよいよ最終メンバーが固まったフランスチームの具体的なステージ戦略について深掘りしていきましょう。お楽しみに！...