ロマンディ・ツール、ブレナンに注目「危険なステージ」

ロマンディ一周、新星マシュー・ブレナンに集まる熱視線「トリッキーなステージ、チームを信頼している」

プロローグを終え、いよいよスイスの山岳地帯を舞台にしたロマンディ一周が本格的に動き出しました。初日のラインレースは、一見すると平坦基調ながら、いくつかの起伏が隠された油断ならないレイアウト。そんなステージで、多くの視線を集めている若き才能がいます。そう、チーム ヴィスマ・リースアバイクの19歳、マシュー・ブレナンです。

昨年からそのポテンシャルが囁かれていましたが、プロ1年目にしてワールドツアーの舞台で存在感を示し始めている彼。今日のステージは、集団スプリントになる可能性が高いと見られていますが、果たして彼はこのチャンスをものにできるのでしょうか。スタート前、現地で彼の声を聞く機会がありました。

19歳が語るステージ分析と勝利への意欲

マシュー・ブレナンは、落ち着いた口調ながらも、内に秘めた闘志を感じさせました。「今日はかなりトリッキーなステージだと感じています」と彼は言います。「多くの選手にチャンスがあるでしょう」。これは単なる謙遜ではなく、コースに散りばめられた小さなアップダウンや、ロマンディ特有のテクニカルな局面を冷静に分析しているからこその言葉でしょう。平坦だと思って油断すると痛い目に遭う、まさにスイスらしいコース設定です。

プロローグでの15位という結果については、「昨日の後、何かを見せたいと強く思っています」と語り、悔しさをバネに今日のステージに懸ける意気込みを示しました。この若さで、すでに結果への執着心を持っているのは素晴らしいことです。そして、自身の強みを理解している。「レースが厳しくなればなるほど、残る選手は少なくなる。それは私の強みです」と彼は断言しました。純粋な平坦スプリントよりも、ある程度削られた集団での勝負に活路を見出しているようです。「登りを乗り越えて、できるだけ多くの選手とフィナーレに入りたい」。この言葉からは、彼が今日のステージを単なるスプリンターのためだけのレースとは見ていないことが分かります。サバイバル戦になった終盤で、自身のパンチ力を活かしたい。そんな意図が読み取れます。

チーム ヴィスマ・リースアバイクの信頼とブレナンのメンタル

弱冠19歳にして、ワールドツアーチームのエース格として期待されるプレッシャーは想像に難くありません。しかし、マシュー・ブレナンは驚くほどリラックスしているように見えました。「まだ良いシーズンを送れているので、かなりリラックスしています」と彼は笑顔を見せました。「プレッシャーはあまり感じていません。オープンな気持ちで走っています」。これは彼の天性のものなのか、あるいはチーム ヴィスマ・リースアバイクの手厚いサポート体制が彼を安心させているのか。おそらくその両方でしょう。

特にスプリント局面では、経験豊富なチームメイトへの信頼を口にしました。「ここではダン・マクレイに頼ることができます。彼は素晴らしいリードアウトをしてくれるんです」。チームとして、彼を勝利に導くための体制がしっかりと構築されている。その確信があるからこそ、ブレナンは自身の走りに集中できているのです。「他のチームメイトも非常に強い。良い位置でフィニッシュに到達できることを願っています」。最後の数キロは混沌とするだろう、と予想しつつも、「チームを信頼している」と言い切るその言葉には、強い絆と自信が感じられました。

新世代の台頭とロードレースの現在地

マシュー・ブレナンのような若い才能が次々と頭角を現しているのが、現在のロードレースシーンの面白いところです。同時期に開催されているツール・オブ・ターキーでは、同じく若手のティボール・デルフロッソ Grossoや、シクロクロスでも活躍するランデル・ロークスといった選手がステージ上位に絡んできていますし、ブルターニュ一周ではサムエル・ワトソンが結果を出しています。一方で、レムコ・エヴェネプールのような既にトップスターの動向も常に注目されています。

彼らの活躍を見ていると、もはや年齢は関係ない、と感じさせられます。若手は臆することなく経験豊富なベテランに挑み、勝利を掴みに来る。マシュー・ブレナンもまさにその一人です。ロマンディ一周というワールドツアーの舞台で、彼がチームの信頼に応え、キャリアをさらに一歩進めるような走りを見せるのか。今日の「トリッキーな」ステージは、その試金石となるでしょう。彼のフィニッシュラインでの表情に注目したいと思います。