BKOOL『全開トーク』：ジロは7点も、全員高評価にあらず

ジロ・デ・イタリア総括：ピンクの祭典は「7点」評価、明暗分かれた選手たちの戦い

今年のジロ・デ・イタリアが幕を閉じました。スペインのスポーツ紙「マルカ」のポッドキャスト「ア・トゥンバ・アビエルタ・バイ・BKOOL」が「ジロは『7点』だったが、全員が良い評価を得たわけではない」と総括したように、今年のピンクのレースは、確かに見どころ満載でありながらも、選手たちの間には期待と現実のギャップが色濃く現れた大会だったと言えるでしょう。この「7点」という評価は、決して低いわけではありませんが、最高点をつけないあたりに、現地メディアの冷静な分析が垣間見えます。

総合優勝とサプライズのバランス：期待を超える走りを見せた選手たち

今年のジロは、タデイ・ポガチャルやレムコ・エヴェネプールといった絶対的エースが不在の中、誰が総合優勝を掴むのか、という点が大きな注目を集めました。結果としてサイモン・イェーツが総合優勝を果たしましたが、彼の勝利は、まさにその「空白」を埋めるかのような、堅実かつ力強い走りによってもたらされました。彼自身も「キャリアの決定的な瞬間」と語るように、この勝利は彼のキャリアに新たな章を刻んだことでしょう。

一方で、ステージ優勝を巡る攻防は、まさに手に汗握る展開の連続でした。逃げ切りが決まる日もあれば、スプリンターの力強い加速が光る日もあり、総合争いとは異なる次元での激しい戦いが繰り広げられました。特定の選手が圧倒的な強さを見せつけるのではなく、多くの選手にチャンスが巡ってくる展開は、見る者にとって飽きさせない魅力があったことは間違いありません。「なるほど！」と唸るような、予想外の展開が随所に散りばめられていたのです。

スペイン勢の光と影：カルロス・ベローナとペリョ・ビルバオの奮闘

マルカ紙の記事にもあるように、今年のジロにおけるスペイン勢の戦いは、まさに「光と影」が交錯するものでした。その中でも、ひときわ輝きを放ったのが、カルロス・ベローナとペリョ・ビルバオの両選手です。

カルロス・ベローナは、彼がチームの期待に応え、重要な局面で存在感を示したことで、現地では大きな「喜び」として受け止められています。彼がステージ優勝争いに絡む場面や、チームの総合エースを献身的に支える姿は、多くのファンに感動を与えました。彼の表情からは、常に充実感が滲み出ており、まさに水を得た魚のような走りを見せてくれましたね。

そして、ペリョ・ビルバオの「コンバティブな走り」も特筆すべき点です。彼は決して諦めない姿勢を貫き、どんな状況でも前へ前へと突き進む闘志を見せつけました。彼の走りは、まさにスペインの「魂」を体現しているかのようであり、厳しい山岳ステージでのアタックや、集団からの飛び出しは、見る者の心を熱くしました。「確かに！」と共感を呼ぶような、彼の泥臭いまでの奮闘ぶりは、多くのサイクルロードレースファンに勇気を与えたことでしょう。

若手とベテランの「失望」：フアン・アユソとミケル・ランダの苦悩

しかし、スペイン勢の中には、期待された結果を残せず「失望」を味わった選手もいました。特に、若手の筆頭として注目されたフアン・アユソと、ベテランのミケル・ランダの苦悩は、現地でも大きな話題となりました。

フアン・アユソは、その才能から将来のグランツール覇者候補と目されており、このジロでも総合上位を狙うと期待されていました。しかし、レース序盤からコンディションが上がらず、彼本来の爆発的な走りは見られませんでした。彼の表情には、レースが進むにつれて焦りと悔しさが色濃く現れ、チームメイトやスタッフも彼を心配する様子がうかがえました。「そうだったのか！」と驚きを与えるような、彼の不調の背景には、調整の失敗や、若さゆえのプレッシャーがあったのかもしれません。

一方、経験豊富なベテランのミケル・ランダも、彼自身の目標とする走りができず、苦しい大会となりました。彼は常にグランツールの総合上位に絡む存在であり、特に山岳でのアタックは彼の代名詞とも言えます。しかし、今年のジロでは、決定的な場面でのアタックが決まらず、ライバルたちに遅れをとる場面が目立ちました。彼の静かながらも重い口調から、自身のパフォーマンスに対する不満が伝わってきました。長年彼を取材してきた私から見ても、これほど彼が苦しんでいる姿は珍しいと感じました。

グランツール戦線は続く：次なる舞台への視線

今年のジロ・デ・イタリアは、総合優勝者サイモン・イェーツの輝かしい勝利、そしてスペイン勢の明暗が浮き彫りになる大会となりました。しかし、サイクルロードレースのグランツール戦線は、これで終わりではありません。間もなく、世界中の注目がツール・ド・フランスへと移り、そしてその先にはブエルタ・ア・エスパーニャが控えています。

ジロで悔しさを味わったフアン・アユソやミケル・ランダが、次のグランツールでどのような姿を見せてくれるのか。また、ジロをスキップしたタデイ・ポガチャル、レムコ・エヴェネプール、ワウト・ファンアールト、マティユー・ファンデルプールといったトップ選手たちが、ツール・ド・フランスでどんなドラマを繰り広げるのか。彼らの今後の動向、そしてチーム内の力学が、次のグランツールの展開を大きく左右することになるでしょう。

今回のジロ・デ・イタリアが私たちに残した余韻は、次のグランツールへの期待感を高めるばかりです。さあ、次のグランツールでは、どんな「なるほど！」や「そうだったのか！」が待っているのでしょうか？ 私も現地で、その答えを探し続けていきたいと思います。次もぜひ、私の記事を読んで、サイクルロードレースの奥深さを一緒に堪能してくださいね。