ロメン・バルデのグランツールキャリア、その評価は？

ロマン・バルデ、情熱と葛藤のグランツール人生に幕

ロマン・バルデがグランツールに別れを告げた。ジロ・デ・イタリアの最終日、ローマの地で18度目となる3大ツールを完走し、彼はその長きにわたる戦いの歴史に静かに幕を下ろしたのだ。34歳のフランス人クライマーは、2週間後のクリテリウム・デュ・ドーフィネを最後に現役生活から退くことを表明しており、そのキャリアはまさに「戦い」「安定」、そして時に「葛藤」に満ちたものだったと言えるだろう。

私自身、長年グランツールを追いかけ、彼のような選手を数多く見てきたが、バルデほど純粋に、そして情熱的にペダルを漕ぎ続けた選手はそう多くはない。彼の表情や声のトーンから、その時々の心情を読み解くことができたのは、特派員時代の貴重な経験だった。

遅咲きの恋、ジロ・デ・イタリア

ロマン・バルデのキャリアにおいて、ジロ・デ・イタリアは長らく「恋」というよりは「未体験の領域」だった。彼はキャリアの初期からツール・ド・フランスにすべてを捧げ、その偏愛ぶりはスペインやイタリアのステージレースから彼を遠ざけてきた。しかし、ツールへの執着が「もはや後悔になりかねない」と感じた時、彼は3週間のレースとの関係をジロで締めくくることを選んだ。2025年5月初旬に『レキップ』紙に語った彼の言葉が印象的だ。「まだこのレースでやり残したことがあると感じるから、惹かれるんだ」。

プロ入りした2012年から30歳になる2020年まで、バルデは「コルサ・ローザ（ジロの愛称）」に全く関心を示さなかった。しかし、そこからわずか5年で、彼は4度もこのイタリアの地を踏み、ティフォージの熱狂と高山の魅力にすっかり虜になった。今年のジロが最後の参加となる中、34歳のクライマーは、まるでルーキーの頃のような華麗な走りで、3つのグランツールすべてでのステージ勝利（ツールで4勝、ブエルタで1勝）という偉業を目指し、あらゆる手を尽くした。4度にわたるアタックを敢行し、特に第17ステージでは、イサーク・デルトロに惜敗し2位に終わったものの、その走りは彼のキャリアに最後のスポットライトを当てた。しかし、その光が消えた時、彼に残ったのはわずかな苦味だったかもしれない。

「僕は100%で挑む、あの高揚感が必要なんだ」。バルデはそう語る。2021年の初参加では総合7位に食い込んだものの、勝利には手が届かなかった。そして2022年。ツール・デ・アルプスでの勝利で勢いを得て、ジロでは総合4位と好位置につけたものの、第13ステージで腹痛に苦しみ、無念のリタイアを喫した。それでもバルデは翌年、再びジロのスタートラインに立った。圧倒的な強さを誇るタデイ・ポガチャルの前に、彼は最高でステージ4位に終わったが、年を重ねるごとに「すべてをやり尽くした」という満足感が彼を包んでいた。昨年の春、彼は断言した。「ジロで何もしないで、他の選手が崩れるのを待つなんてことはしない。僕は100%で挑む、あの高揚感が必要なんだ」。

ツール・ド・フランス、栄光と苦悩の軌跡

ツール・ド・フランスでの歳月は、バルデにとってまさに執着そのものだった。その喜び、恐れ、そしてうんざりするほどの経験は、語り尽くせないほどだ。中でも、おそらく最も美しかったであろう最後の戦いは、昨年のツール開幕ステージ、イタリアのリミニで獲得したマイヨ・ジョーヌだろう。彼の11度目にして最後のツールとなったこのレースで、オランダ人チームメイトのフランク・ファンデンブルークの献身的なアシストは、見る者の心を打つものだった。「ツールには本当に恵まれた。この物語を残念な形で終わらせたくなかったんだ」。彼は当時、我々の取材にそう語っていた。

通常、グランツール経験の浅い選手は、ジロやブエルタでその厳しさに慣れていくものだが、ロマン・バルデはキャリアの序盤、22歳でツール・ド・フランスにデビューした。しかし、彼の初期の軌跡は上昇の一途をたどる。2013年には新人ながら15位に入り、最優秀フランス人選手に輝いた。翌年にはジャン＝クリストフ・ペローと共同リーダーを務め、表彰台を目標に掲げ（最終的に6位）、その評価を確固たるものにした。2015年には総合争いから脱落したものの、サン＝ジャン＝ド＝モーリエンヌでグランツール初となるステージ勝利を飾り、スーパー敢闘賞を獲得した。

「トップ10で終わる多くのグランツールで疲弊し、大きな満足感は得られなかった」。彼のこの言葉は、総合エースとしての重圧を物語っている。フランスのサイクリング界が小さな黄金期を迎える中、バルデは成長への渇望を抱き、真のリーダーへと変貌を遂げた。2016年のツール・ド・フランス第19ステージでは、雨と落車の混乱の中、「本能のままに」サン＝ジェルヴェ・モンブランで独走勝利を飾り、総合2位の座を不動のものにした。翌年の夏はさらに熾烈だった。ペイラグードでステージ勝利を挙げた後、シャンゼリゼ前日の個人タイムトライアルで、ミケル・ランダをわずか1秒差でかわし、飢えた狼のように表彰台を守り抜いた。

しかし、華々しい時代は終わりを告げ、その後はトップ10入り（2018年、2022年）と苦難の時期が訪れる。2020年と2023年には脳震盪に見舞われ、レースを途中棄権せざるを得なかった。こうした不運が彼の情熱を蝕んでいった。新たな息吹を求め、彼はデカトロン・AG2Rラモンディアール チームを離れ、Team DSMへと移籍する。それは新たな目標を見据えての決断だった。「フランス人選手が総合で結果を出すことを期待された時代に僕はやってきた。でも、それをやりすぎたんだ。多くのグランツールをトップ10で終えたけれど、疲弊するだけで、大きな満足感は得られなかった…」。

ブエルタ・ア・エスパーニャ、新境地開拓の地

2017年のツールで表彰台に立った後、ロマン・バルデは夏のシーズン終盤に活力を取り戻したいと願っていた。秋のイル・ロンバルディアを前に、彼を競技的な状態に保つレースがなかったからだ。そこで彼は、キャリアで初めてツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャを連続して走り、グランツールを「おかわり」することを選んだ。結果は疲労困憊で、ステージトップ10がいくつかあったものの、総合順位は17位と期待外れだった。

しかし2021年、ツール・ド・フランスに出場しなかったバルデは、再びブエルタに挑戦する。そしてついに、ステージ勝利を狙う「青信号」が灯った。新しいチームであるTeam DSMの一員となった彼は、頭のスイッチを切り、大胆な走りを試みた。心臓を躍らせ、両手を挙げて勝利を掴むこと。それは、10年間デカトロン・AG2Rラモンディアール チームに閉じこもっていたルーティンを打ち破る意味もあっただろう。ミッションは達成された。バルデは第14ステージで勝利を収め、2018年のクラシック・スッド・アルデシュ以来、3年ぶりに勝利の喜びを味わったのだ。

「待望の勝利だったが、それについて考えることはなかった。ただ全力を尽くしただけだ」と、彼はゴール後に語った。「本当に素晴らしい一年を過ごしている」。2023年にもブエルタに再挑戦し、積極的にアタックを仕掛けたが、この時はステージ勝利には届かなかった。

ロマン・バルデのグランツールキャリアは、まさに彼自身の言葉通り、「100%で挑む」という純粋な情熱の軌跡だった。総合エースとしての重圧から解放され、ステージハンターとして新たな輝きを放った晩年の姿は、多くのファンに勇気を与えたことだろう。皆さんは、彼のどの走りが一番印象に残っているだろうか？

彼が残した足跡は、単なる勝利数や表彰台の数では測れない、その魂を揺さぶるような走りそのものだ。クリテリウム・デュ・ドーフィネでの最後のレース、そして引退後の彼の人生が、どのような新たな「戦い」と「感動」をもたらすのか、我々はその一挙手一投足に注目していきたい。