イバン・ガルシア Cortina ブエルタ・ア・アストゥリアス第2ステージ優勝

日本のサイクルロードレースファンの皆さん、こんにちは！ 山田 健一です。

グランツールを中心に、ヨーロッパのレースを追い続けている私ですが、今回はスペイン、アストゥリアス州で開催されている「アストゥリアス一周」から、波乱含みの第2ステージの模様をお届けします。

【山田 健一の視点】雨のアストゥリアスで地元選手が歓喜！ イバン・ガルシア Cortina劇的な勝利、マルク・ソレルが総合首位に浮上

雨中のサバイバルとなったアストゥリアス一周第2ステージ。Benia de OnísからPola de Lenaまでの199.5kmは、朝から降り続く冷たい雨が選手たちを容赦なく打ち付けました。そんな悪条件下、地元アストゥリアス出身の イバン・ガルシア Cortina（モビスター チーム）が、逃げから飛び出し見事な単独勝利を飾るという劇的な展開が待っていました。そして、前日のリーダー、ステフ・クラス（Total Energies）が落車リタイアするという衝撃もあり、総合リーダーの座は マルク・ソレル（UAE Team Emirates）へと引き継がれました。荒れた一日を、私の視点から振り返ってみたいと思います。

雨中のサバイバル、序盤から動いたレース

スタート直後から、集団はかなりのハイペースで進行しました。最初の1時間で平均時速は約43kmというデータが出ています。このスピード感は、雨というリスクがありながらも、選手たちが序盤から積極的に動こうという意思の表れでしょう。最初のスプリント賞地点、Cangas de Onísを Jan Sommer（MyVelo Pro Cycling）が先頭通過した後、待望の逃げグループが形成されました。5名の強力なメンバー、すなわち イバン・ガルシア Cortina（モビスター チーム）、 Jan Sommer（MyVelo Pro Cycling）、 Juluis Johansen（UAE Team Emirates）、 López de Goicochea（Selección Española Sub-23）、そして Jakob Schmidt（MyVelo Pro Cycling）です。彼らはメイン集団に対して、一時は10分近い大きなリードを築きました。このメンバー構成、特にワールドチームの選手が2名も含まれている点から見ても、逃げ切りが十分に可能な強力な布陣であったと言えます。

リーダーの無念なリタイア、そして集団の動き

逃げグループがリードを保ったままレースが進行する中、メイン集団とのタイム差が徐々に縮まり始めました。そして、レース中盤、最初のKOMであるAlto de la Casilla（2級）手前、2回目のスプリント賞地点であるNavaを通過した頃、衝撃的なニュースが飛び込んできました。前日、見事な勝利を飾り総合リーダーの座についていた ステフ・クラス（Total Energies）が、Faya de los Lobosの下りで落車し、レースを棄権したというのです。総合争いの行方に大きな影響を与える、非常に残念な出来事でした。リーダーを失ったことで、メイン集団、特に総合上位を狙うチームは一気に動きを活性化させました。 UAE Team Emiratesは マルク・ソレル、 Adriá Pericas、 Antonio Morgadoを先行させ、集団から抜け出すことに成功。さらに、地元スペイン勢である ウゴ・デラカジェ la Calle（ブルゴス・ブルペレット・BH）や Samu Fernández（カハルラル・セグロスRGA Rural-RGA）も遅れて追撃を開始しました。まさに、総合を巡る戦いが本格的に始まった瞬間でしたね。

地元の大歓声に応えたイバン・ガルシア Cortina

メイン集団が活性化し、逃げグループとのタイム差が急速に縮まる中で、逃げに残っていた イバン・ガルシア Cortina（モビスター チーム）は冷静でした。彼は虎視眈々と勝利のチャンスを伺っていたのです。そして、フィニッシュまで残り7km地点。彼は満を持してアタックを敢行しました！ このタイミングが本当に絶妙でした。追走していた集団やメイン集団は、突然の彼の加速にすぐには反応できませんでした。地元の声援を背に、雨に濡れた路面をものともせず、 イバン・ガルシア Cortinaは力強くペダルを踏み続け、独走態勢を築きました。 Pоla de Lenaのフィニッシュラインに最初に飛び込んできたのは、まさに彼、 イバン・ガルシア Cortinaでした！ 2位には Juluis Johansen（UAE Team Emirates）がスプリントで入りましたが、 イバン・ガルシア Cortinaの単独勝利は揺るぎませんでした。地元アストゥリアスでの勝利、これほど嬉しいことはないでしょう。「なるほど！」と思わず膝を打つ、見事なアタック、そしてそれを成功させた彼の脚には感服です。Movistar_Teamの公式X（旧Twitter）でも、この勝利の喜びが伝えられていましたね。

新たな総合リーダー、最終日の展望

ステージ優勝は イバン・ガルシア Cortinaに譲りましたが、 UAE Team Emiratesの マルク・ソレルがステージ3位に入り、総合首位に浮上しました。 ステフ・クラスのリタイアは非常に残念な出来事でしたが、 マルク・ソレルにとっては自身が総合リーダーとして最終ステージを迎える大きなチャンスです。総合2位には ウゴ・デラカジェ la Calle（ブルゴス・ブルペレット・BH）、3位には Samu Fernández（カハルラル・セグロスRGA Rural-RGA）と、こちらもスペイン勢が続きます。最終ステージは決して平坦ではなく、総合順位が入れ替わる可能性も十分にあります。 マルク・ソレルがこのリードを守り切れるのか、それとも ウゴ・デラカジェ la Calleや Samu Fernándezが逆転を狙ってくるのか。手に汗握る総合争いから、最後まで目が離せません。そうだったのか！という驚きから、次も読みたい！という期待へと繋がる、まさにロードレースの醍醐味ですね。

明日の最終ステージで、第67回アストゥリアス一周の総合覇者が決定します。果たして、新たな総合リーダー、 マルク・ソレルはマイヨジョーヌを最後まで守り切れるのでしょうか？ 熱い戦いを期待しましょう！