HIVE スラッグ・オム・ウーンスドレヒト 2025 解説

HIVE スラッグ・オム・ウーデンスドレヒト 2025：石畳とアップダウンが牙を剥く、オランダ国内戦線の知られざる激闘！

皆さん、こんにちは！世界中のロードレースをリアルタイムで追いかけるジャーナリスト、松崎 愛です。グランツールやクラシックはもちろん、あまり日本のメディアで取り上げられないローカルレースにも、ドラマや未来のスター候補がゴロゴロ転がっているのをご存知ですか？今日は、そんな知られざる激闘の一つ、今週末に迫った「HIVE スラッグ・オム・ウーデンスドレヒト」に焦点を当ててみましょう。UCIレースではないけれど、オランダ国内戦線「ホランドカップ」の重要ステージ。特に、このレースでチームとして記念すべき初勝利を飾ったあのチームの名前を聞けば、「おっ」となるファンもきっといるはずですよ！

UCIカレンダー外の特別な戦場

日曜日に開催されるHIVE スラッグ・オム・ウーデンスドレヒトは、ホランドカップの第3戦として位置づけられています。このレースが面白いのは、同じホランドカップのオムループ・ファン・デ・ブラークマンと同様、現時点ではUCI（国際自転車競技連合）のカレンダーに登録されていないナショナルレースであるという点です。だからこそ、普段は海外のUCIレースを主戦場とするオランダ国内のコンチネンタルチームや、気鋭のクラブチームにとって、絶対に負けられない、そして自分たちの強さを示す絶好の機会となるのです。2026年にはUCIカレンダー入りを目指しているとのことで、その前哨戦としても注目されますね。

このレースの歴史はまだ浅く、2025年でわずか3回目の開催となります。しかし、その短い歴史の中に、記憶に残るドラマがすでに刻まれています。2023年、当時まだTDT-Unibetという名前だったユニベット・ティテマ・ロケッツが、このレースでチーム設立後初の勝利を挙げたのです！あの時、スプリントを制してチームに歴史的な一歩をもたらしたのはマルティン・ブディングでした。そして昨年は、集団から抜け出したリック・オッテマが、激しいサバイバルレースの末にコーエン・フェルメルトフォールトやイェルテ・クラインセンといった強豪を抑えて優勝。ナショナルレースとはいえ、そのレベルの高さと予測不能な展開が魅力なんです。

北ブラバント州に潜む牙：タフな周回コース

オランダの北ブラバント州と聞くと、平坦で風が強いコースを想像する方が多いかもしれません。確かにそれもオランダらしいですが、ウーデンスドレヒト周辺の「ブラバントセ・ワル」は一味違います。今回のHIVE スラッグ・オム・ウーデンスドレヒトのコースは、このブラバントセ・ワルを利用した1周24kmの周回コースを7周する、合計164kmの戦いとなります。

この周回コースには、短いながらも勾配のある登りがいくつか散りばめられています。例えばボッセストラートや、2018年にマチュー・ファンデルプール der Poelがオランダ選手権を制したことで知られるレイゼンデ・ウェフなどです。しかし、このレースを本当にタフにしているのは、約2kmにも及ぶ石畳区間、ホーハーヴァールトポルダーでしょう。特にこの石畳の最後の800mは路面状況が非常に悪く、ここで集団が分断されたり、メカトラが発生したりすることが頻繁に起こります。「平坦国の石畳なんて大したことないだろう？」と思うなかれ。ベルギーのクラシックにも引けを取らない、選手たちの脚とバイクに容赦なく襲いかかる難所なのです。この石畳をいかにクリアするかが、勝負を大きく左右する鍵となります。

国内強豪と気鋭のクラブ戦士たち

このレースがナショナルレースであるため、海外からのコンチネンタルチームの参加はごく少数に限られています。ベルギーのクラブチームHubo-Scottなども参加しますが、優勝争いの中心となるのはやはりオランダ国内のコンチネンタルチームでしょう。特に、今季すでに勝利を挙げているコーエン・フェルメルトフォールト（ハウツェ・リニエス、エクスローで勝利）や、直近のレークやウレテップで優勝と絶好調の現オランダ王者リック・オッテマは、最も優勝に近い存在と言えます。彼らはこのレベルのレースでは常にブックマークしておきたい選手たちです。

他にも、トラックレースでも活躍するヨエリ・ハフィク、ダーン・ファン・シントマールテンスダイク、そして入力テキストにそのまま記載されているサラ・マルティン Pluto、サラ・ローイ Hoogendoorn、Guillaume Visser、ルーク・フェルブルフ、Timo de Jong、マックス・クローネンといった選手たちが優勝候補に挙げられます。彼らオランダ国内のコンチネンタルチーム所属選手たちが、このタフなコースでどんな走りを見せるのか、非常に楽しみです。

そして、このレースのもう一つの魅力は、多くのクラブチームが参加していることです。毎年、こうしたナショナルレースから、コンチネンタルチーム相手に互角以上の走りを見せるクラブチーム所属の選手が現れます。今年は特に、昨年に続いて参加するイェンス・ファン・デン・ドールや、5月1日からBEATへ移籍が決まっているJoost Nat、そして最近ザイデルゼーロンデで勝利を挙げたマイク・ドフテロムといったクラブチームの選手たちにも注目したいところです。彼らが国内強豪チームを相手にどこまで食い込めるか、アップセットの可能性も秘めています。

WielerFlitsによる優勝予想は？

オランダの自転車情報サイトWielerFlitsによる優勝予想は以下の通りです。彼らの分析は非常に的確なので、参考にしてみましょう。

*** リック・オッテマ ** コーエン・フェルメルトフォールト、サラ・ローイ Hoogendoorn * Timo de Jong、Guillaume Visser、Joost Nat

やはり直近の好調ぶりと前年覇者であるリック・オッテマが本命視されていますね。対抗には、今季既に複数の勝利を挙げているコーエン・フェルメルトフォールトと、国内戦線で常に安定した力を見せるサラ・ローイ Hoogendoornが挙げられています。そして一つ星評価には、石畳やアップダウンに対応できる力を持つ選手たちが並びます。Joost Natがクラブチームから唯一星を獲得している点も興味深いですね。彼のBEAT移籍前のラストチャンスとなるかもしれません。

予測不能な激闘に期待！

HIVE スラッグ・オム・ウーデンスドレヒトは、UCIレースのような華やかさはないかもしれません。しかし、ブラバントセ・ワルの厳しいコース、特にあのホーハーヴァールトポルダーの石畳が、レースを予測不能なサバイバルへと変貌させます。国内のトップ選手たちが意地をぶつけ合い、そこに気鋭のクラブチームの選手たちが食らいつく構図は、見ていて非常に面白いものです。

誰がこのタフな戦いを制し、ウーデンスドレヒトの地で勝利の栄光を掴むのか。石畳でのアタック、短い登りでのペースアップ、そして最後のゴールスプリントまで、一瞬たりとも目が離せません。もしかしたら、WielerFlitsの予想を覆す意外な選手が飛び出してくる可能性だってあります。今週末は、オランダ国内戦線の熱い戦いに注目してみましょう！