プロドム：「ヴェローナ、ゼロからの出発に脱帽」

「あと一歩」に込めたプロドムの冷静な視点

この日のステージを制したのは、見事な独走劇を見せたカルロス・ベローナ選手（リドル・トレック）。プロドム選手は、そのベローナ選手がアタックした瞬間に、すぐ後ろにいたと言います。「後悔はしていない」と語る彼の言葉の裏には、ベローナ選手の判断と脚力への純粋なリスペクト、そして彼自身の冷静な戦術眼が隠されているのが分かります。

「彼は本当に遠くから仕掛けた。脱帽するよ」――この言葉に、プロドム選手の潔さが表れていますよね。彼がその時、ペッロ・ビルバオ選手やマルコ・フリゴ選手といったライバルたちを警戒し、次の動きを考えていたというのは、まさにプロの戦術家としての顔。感情に流されず、全体を見据えていたからこそ、結果的に5位という確かな成績を収めることができたのでしょう。「あのタイミングでは少し遠すぎた」という言葉には、勝負の綾を冷静に見極める、彼の成熟した一面が垣間見えます。なるほど、ただ追いかけるだけでなく、その先の展開まで読んでいたのですね！

再び動き出した集団、勝負を分けたプロドムの決断

この第15ステージは、序盤に27名もの大所帯の逃げ集団が形成されるという、非常に珍しい展開でした。モンテ・グラッパの麓では最大3分のリードを築いたものの、頂上付近でのマリアローザ集団の猛追により、一度は吸収されてしまうという波乱も。私もリアルタイムで見ていて「え、まさかここで終わっちゃうの！？」と驚いたものです。

しかし、ここでプロドム選手が魅せたのが、その大胆な判断力でした。一旦はマリアローザ集団に飲み込まれたものの、UAEチームエミレーツがペースコントロールを始めた隙を突き、彼は再び集団から飛び出すというリスクを冒したのです。「リスクを冒して再びアタックしたことが、5位という結果に繋がった」と語る彼の言葉は、まさにその瞬間の彼の勇気と、勝利への強い執念を物語っています。集団が落ち着いた瞬間に、再び仕掛ける。これは並大抵の選手にはできない、鋭い嗅覚と決断力が必要とされるプレイです。まさに「そうだったのか！」と膝を打つような、レースの裏側が垣間見えましたね。

総合20位の「意味」、フランス期待の星の覚悟

今回のステージ5位という結果により、プロドム選手は総合順位を20位にまで上げ、フランス人選手としては最高位を維持しています。総合リーダーのイサーク・デルトロ選手からは8分58秒差。この「総合20位」という数字、単なる順位以上の意味を持つと私は見ています。

彼は「守るつもりはない。これからもアタックし、前で戦い続ける」と明言しています。これは、彼が総合順位を「守るべきもの」ではなく、「攻めるための足がかり」と捉えている証拠。ツール・デ・アルプスでの勝利でその才能を開花させた彼が、グランツールという大舞台でも臆することなく、常にアグレッシブな走りを見せようとしているのです。この覚悟こそが、フランスのサイクルロードレースファンが彼に寄せる大きな期待の理由でしょう。今後のステージでも、きっと彼の攻撃的な走りが、また私たちを熱狂させてくれるに違いありません。

ジロ・デ・イタリアはまだまだ続きます。ニコラ・プロドム選手が、この素晴らしい勢いをどこまで維持し、さらなる高みを目指すのか。そして、総合争いの行方はいかに？目が離せませんね！次回のレポートもどうぞお楽しみに！