ハイス・レイムライゼ、過酷なジロのステージで躍動：「絶好調だった」

ジロ・デ・イタリア第16ステージ：ハイス・レイムライゼ、苦境の中で見せた輝きと、カラパスの「別次元」

ジロ・デ・イタリア第16ステージは、ピアッツォーラ・スル・ブレンタからサン・ヴァレンティーノ・ディ・ブレントーニコまでの203km。序盤から雨が降りしきり、気温も低いという、まさに選手たちにとって試練のコンディションとなりました。そんな中で、チーム ピクニック・ポストNLのハイス・レイムライゼが、強烈なアタック合戦の中から見事に「正しい逃げ集団」に滑り込み、その存在感を大きく示しました。

悪天候下の激しい序盤戦：レイムライゼの嗅覚

この日のスタートは、まさにカオスでした。冷たい雨が降り注ぎ、選手たちは序盤から激しいアタックの応酬を繰り広げます。まるで春のクラシックレースのような展開に、多くの選手が体力を消耗していったことでしょう。

「とても過酷だった。最初は濡れていて寒かったんだ。このジロでは毎日のことだが、逃げ集団が形成されるまでにかなりの時間がかかったよ」。

レース後、ユーロスポーツのインタビューでハイス・レイムライゼはそう語っています。この言葉からは、彼がいかに序盤の激しい消耗戦を冷静に見極め、虎視眈々とチャンスを伺っていたかが窺えますね。集団の動きを読み、適切なタイミングで「良いグループ」に加わる。これはグランツールを戦い抜く上で、非常に重要な能力の一つです。彼はこの難しい局面を乗り越え、見事に逃げ集団の一員となったのです。

激坂サンタ・バルバラでの躍動：自信と現実の壁

逃げ集団に入ったハイス・レイムライゼは、厳しい山岳ステージでそのクライミング能力を存分に発揮しました。特に印象的だったのは、このステージの難所であるサンタ・バルバラ峠（12.7km、平均勾配8.3%）での彼の走りです。彼はこの激坂でさらにアタックを仕掛け、集団を牽引するほどの力を見せました。

「あの坂では本当にスーパー良かったんだ。逃げ集団の中でも、自分が一番良い選手の一人だと思ったよ」。

彼のこの言葉は、まさに絶好調だった証拠でしょう。しかし、残酷なのがレースの現実です。最後のサン・ヴァレンティーノへの登りでは、総合上位を狙うリチャル・カラパスが猛烈な加速を見せ、レイムライゼを抜き去っていきました。

「あれは別のレベルだ。ジャド・ヴィエル（最終局面）で粘ろうとしたけど、もう本当に無理だったよ」と、レイムライゼは正直な感想を漏らしています。この「別のレベル」という言葉に、カラパスの持つ圧倒的な地力と、グランツールのトップクライマーの壁を感じずにはいられません。彼が9位という素晴らしい成績でステージを終えたことは、今後のキャリアにとって大きな自信となるでしょう。

総合勢の動向と、若手選手の成長

この第16ステージでは、クリスティアン・スカローニがステージ優勝を飾りました。そして、総合首位のマリア・ローザはUAE Emirates XRGのイサーク・デルトロが守り抜いたものの、サイモン・イェーツやリチャル・カラパスといった強豪がタイムを縮め、総合争いはさらに熾烈を極めています。特に、カラパスがこのステージで魅せた「別次元」の走りは、残りの山岳ステージで何が起こるか予測不能であることを示唆しています。

ハイス・レイムライゼのような若手選手が、グランツールという大舞台で、トップ選手たちと渡り合い、自分の力を試す。これこそが、サイクルロードレースの醍醐味の一つです。彼の「スーパー良かった」という手応えと、「別のレベル」という現実認識は、今後の彼の成長にきっと繋がるはずです。

次なる試練、モルティローロへ

明日の第17ステージは、伝説のモルティローロ峠を含む、さらなる山岳決戦が控えています。今日のカラパスの走りは、総合リーダーのイサーク・デルトロにとって大きな脅威となるでしょう。そして、ハイス・レイムライゼのような若手選手たちが、再び逃げに乗って輝きを見せるかもしれません。彼らの挑戦と、総合争いの行方から、目が離せませんね！