チーム ヴィスマ・リースアバイク、スイス一周で方針変更

総合狙いからステージ勝利へ、チーム ヴィスマ・リースアバイクの苦渋の決断

ツール・ド・スイスで総合上位を狙っていたはずのチーム ヴィスマ・リースアバイクですが、どうやら方針転換を余儀なくされたようです。その中心にいたのは、オランダのバルト・レメン選手。彼は開幕ステージで好調な走りを見せ、総合争いに絡むかと思われましたが、水曜日の第4ステージで大きくタイムを失ってしまいました。

チーム監督のマールテン・ワイナンツは、オランダのチーム公式サイトでこう振り返っています。「序盤の逃げに選手を送り込むのが狙いだった。それは簡単ではなかったが、最終的にトーマス・グローグを含む強力な逃げ集団が形成された。」しかし、残念ながらメイン集団が逃げに十分なリードを与えず、トーマス・グローグの奮闘も実りませんでした。さらにワイナンツ監督は「バルトを総合で上位にキープすることも目標だったが、それも残念ながら達成できなかった」と、正直な心境を吐露しています。

確かに、あの第4ステージは厳しかった。シュプリューゲンパスの登りで、バルト・レメンはトップクライマーたちについていくことができず、ステージ優勝者のJoão Almeidaから4分以上遅れて17位でフィニッシュしています。この結果、総合順位は13位に後退。首位のロマン・グレゴワールとは3分30秒もの差がついてしまいました。これは、総合表彰台はもちろん、トップ10入りすら遠のいたことを意味します。

若手の奮闘と、チームの新たな光明

バルト・レメンの総合が厳しくなったとはいえ、チーム ヴィスマ・リースアバイクの選手たちが全く見せ場を作れなかったわけではありません。特に注目すべきは、若きイギリス人選手、トーマス・グローグの走りです。彼は第4ステージで果敢に逃げに乗り、登りでの強さを見せつけました。ワイナンツ監督も「トーマスは登りで力強い走りを見せていた」と評価しています。

逃げが集団に捕まってしまったのは残念でしたが、若手が積極的に動く姿勢は、チームにとって大きな収穫だったはずです。チーム ヴィスマ・リースアバイクは、エースが総合争いから脱落した場合でも、ステージ優勝を狙うべく、すぐに戦術を切り替える柔軟性を持っています。これは、彼らがグランツールで培ってきた経験の賜物でしょう。

明日への期待：ステージ勝利への執念

今日のステージは非常にタフなものになるでしょう。しかし、マールテン・ワイナンツ監督は前向きです。「何が可能か、見ていくつもりだ。再び逃げに選手を送り込み、ステージ優勝を狙いたい。総合は無理だろうが、このツール・ド・スイスでステージ優勝を飾るために全力を尽くす」と結んでいます。

総合エースを失っても、チーム ヴィスマ・リースアバイクが諦めることはありません。彼らは「ステージ勝利」という新たな目標に向かって、チーム一丸となって戦い続けるでしょう。明日以降、彼らがどのような選手を逃げに送り込み、どんな走りを見せてくれるのか、今から非常に楽しみです。

日本のファンの皆さんも、ぜひチーム ヴィスマ・リースアバイクの「ステージ勝利」への執念に注目してみてください。彼らがこの困難な状況をどう乗り越え、どんなサプライズを見せてくれるのか。グランツールシーズンを前にした、彼らの真価が問われる一戦となることは間違いありません。