サムエル・フェルナンデスがPissei-Memorial Pascual Momparlerで優勝

スペインの若手レース、最後のひと踏み！サムエル・フェルナンデスが僅差で勝利、セサル・ペレスは総合リーダーに浮上！

皆さん、こんにちは。山田 健一です。

グランツール取材の合間を縫って、今回はスペイン国内の若手育成カテゴリー、コパ・デ・エスパーニャ Élite-Sub23の話題をお届けしましょう。このカテゴリーは、将来のグランツールレーサーやクラシックハンターがしのぎを削る登竜門。彼らの走りを追うことで、数年後のプロトンを彩るスター候補を見つけることができるのです。

今回注目したのは、その第8戦にあたるPissei-Memorial Pascual Momparler。最終盤の、まさに「最後のひと踏み」で勝敗が決まるという、手に汗握る展開となりました。勝ったのはラボラルクチャ・フンダシオンエウスカディ Euskadiのサムエル・フェルナンデス Heres。そして、惜しくも2位に敗れたFinisherのセサル・ペレスが、この結果をもってシリーズの総合リーダーに躍り出たのです。

激戦を呼んだコース設定

開催地であるバレンシア州のビジャヌエバ・デ・カステジョンを舞台に行われたPissei-Memorial Pascual Momparlerは、全長162km。特に注目すべきは、25kmの周回コースを5周するというレイアウトです。この周回には、平均勾配6%の3.6kmの登り、アルト・デ・スマカルセルと、トウスダムへの短い登りが含まれていました。

このコース設定、いかにもスペインらしいというか、平坦だけでは決まらない、かといって超級山岳があるわけでもない、絶妙なアップダウンが連続するんですよね。若手選手にとっては、アタックのタイミング、集団での位置取り、そして何より粘り強さが試される、非常に良いトレーニングの場であると同時に、結果が求められる厳しい戦いの場でもあります。特に最終盤のアルト・デ・スマカルセルとその後の登りは、勝負を分けるポイントになると、レース前から予想していました。

序盤から活発な動き、そして形成される追走グループ

レースは序盤からアタック合戦となりましたが、決定的な逃げが決まるまでには時間を要しました。やはり皆、この重要なレースで結果を残したいという強い気持ちがぶつかり合っていたのでしょう。80kmを過ぎたあたりで、ようやく**Pollán (Lasai-Cocinas)とVian (Gomur)**の二人が集団から抜け出し、最大で40秒ほどのリードを築きました。

しかし、メイン集団も黙ってはいません。特に総合争いを意識するチームは、決して大きなタイム差を許しませんでした。そして、その中間には、**シェイラ・グティエレス (Natural Greatness)**のような選手も追走を試みるなど、各所で動きが見られました。この辺りの、集団と逃げの間で複数のグループが形成される展開は、まさにロードレースの醍醐味と言えますね。各チームの思惑が透けて見えて、見ている側としては「なるほど！」と思わされます。

最終局面、ドラマティックなスプリント決着

レースが最終盤、ペナルティモ（最後から二番目）のアルト・デ・スマカルセルに差し掛かると、いよいよ本格的な動きが始まります。先頭の二人は捕まり、Fajardo (Rías Baixas)、Fernández (ラボラルクチャ・フンダシオンエウスカディ Euskadi)、Llopis、Ortega (High Level)、**Del Cid (Gomur)**といった選手たちが先頭グループを形成しました。メイン集団も必死に追いますが、差は25秒。この時点で、優勝はこの先頭グループから出る可能性が高まった、と言えるでしょう。

しかし、ドラマはまだ終わりませんでした。最終周回に入り、Fabrizio Crozzolo (Technosylva)とセサル・ペレス (Finisher)がアタック！彼らは先頭グループに追いつき、さらにその先頭に立ちました。このセサル・ペレスの動きは、総合リーダーを狙う彼の強い意志を感じさせるものでした。「確かに、ここで前に出てポイントを稼いでおきたいだろうな」と唸らされましたね。

一時はCrozzoloとペレスの二人が抜け出すかと思われましたが、後方からサムエル・フェルナンデス Heres (ラボラルクチャ・フンダシオンエウスカディ Euskadi)、Crause、Warrenの3人が執念の追走で追いつき、勝負は5人でのスプリントに持ち込まれました。

そしてゴールライン。サムエル・フェルナンデス Heresとセサル・ペレスの二人が並びかけ、文字通り「ミリ単位」の差でフェルナンデスが勝利を掴みました。ペレスは一瞬勝利を確信したかのような仕草を見せましたが、結果は惜しくも2位。この「へぇ～」と驚くような僅差の決着は、スプリントの残酷さと美しさを同時に見せつけられた瞬間でした。3位にはFabrizio Crozzolo、4位Warren、5位Crauseと続きました。メイン集団は30秒遅れでゴール。

若手たちの熱い戦いは続く

今回のPissei-Memorial Pascual Momparlerは、若手選手たちのポテンシャルと、一瞬たりとも目が離せないレース展開を見せてくれました。勝利したサムエル・フェルナンデス Heresは素晴らしいスプリント力を見せつけましたし、2位ながらコパ・デ・エスパーニャ Élite-Sub23の総合リーダーとなったセサル・ペレスも、その勝負強さとクレバーさを示しました。

コパ・デ・エスパーニャはまだ続きます。今回の結果を受けて、総合争いはさらに白熱すること間違いありません。将来のプロトンを担う彼らの熱い戦いを、これからも追いかけていきたいと思います。皆さんも、ぜひ彼らの名前に注目してみてください。きっと数年後、「あの時、あの選手を応援していたんだ！」と胸を張れる日が来るはずです。次回のレースも楽しみですね！