自転車レースはどう組織される？ 運営の裏側

日本のサイクルロードレースファンの皆さん、こんにちは！山田健一です。今回は、フランスのスポーツ紙「L'Équipe」の記事を基に、サイクルロードレースの裏側、特にレース運営の苦労について深掘りしていきたいと思います。

ブークル・ド・ラ・メイエンヌの舞台裏：資金、安全、そしてボランティア

5月に行われる「ブークル・ド・ラ・メイエンヌ」の運営陣が、レース運営の舞台裏を明かしてくれました。資金調達、安全対策、そしてボランティアの重要性など、普段は見えない部分にスポットライトを当てていきましょう。

高騰する予算：100万ユーロの内訳

「ブークル・ド・ラ・メイエンヌ」の予算はなんと100万ユーロ！2013年のアマチュア時代からプロレースに移行した2014年を経て、大幅に増加しています。

ピエリック・ゲスネ氏（大会ディレクター）：「一番の出費は、3日間のテレビ中継にかかる20万ユーロです。それに加えて、レースの賞金やUCI（国際自転車競技連合）への権利料で10万ユーロ、チームの移動費で6万ユーロがかかります。ワールドツアーチームを招待すると、1チームあたり3500ユーロ必要になるんですよ。さらに、各チームのスタッフ12名の宿泊費と食費を5日間負担する必要もあります。」

アルノー・クルテイユ氏（技術・スポーツ責任者）：「安全対策費は年々17%も増加しており、今年は3万ユーロです。警察の白バイ隊員12名、民間警備員18名、そして約40名の警官がコース上に配置されます。さらに、750名のボランティアが沿道で交通整理をしてくれます。ゴール地点のアーチや写真判定、シマノによるニュートラルサービスなどは専門業者に委託しています。」

4日間のレースのために1年間を費やす

「ブークル・ド・ラ・メイエンヌ」は、わずか4日間のレースですが、その準備には1年間を要します。レース後1ヶ月は片付けと反省会、7月と8月はパートナーとの連絡、9月から1月までは営業活動、そして2月から3月にかけては準備作業に追われる日々です。

A.C.：「テクニカルな面では、8月末にコースが決まります。その後、安全責任者と一緒にコースを視察し、道路管理当局の承認を得ます。そして、通過する各自治体に許可を得るための書類を作成します。今年は55の自治体を通過するので、55もの書類が必要になります。」

選手たちへの訴え：安全への意識向上

A.C.：「現役時代は、なぜ警備員がいるのか、なぜバリケードがあるのかなど、考えたこともありませんでした。」

P.G.：「エトワール・ド・ベセージュで起こったようなことは、私たちのレースでも起こりえます。逆走車を見かけることも珍しくありません。安全に関しては、誰もが責任を負っています。チームの監督も、選手も、そして運営側も。」

A.C.：「プロになる選手はどんどん若年化しており、アマチュア時代を経験していない選手も増えています。彼らは自分がチャンピオンであるかのように錯覚しているかもしれませんが、このレースは9割がボランティアによって運営されていることを忘れてはなりません。彼らには敬意を払うべきです。」

この記事を読んで、ロードレースが多くの人々の支えによって成り立っていることを改めて実感しました。選手、チーム、そして運営側が互いに協力し、リスペクトし合うことで、より安全で魅力的なレースが実現できるのではないでしょうか。今後のロードレース界の発展に期待したいと思います。