イタリア471自治体、自転車など持続可能モビリティに資金

イタリア、自転車モビリティに大規模投資！「Bici in Comune」が拓く未来とは？

イタリアから、興味深いニュースが飛び込んできました。政府が主導する「Bici in Comune（ビチ・イン・コムーネ）」というイニシアチブに基づき、国内の471もの自治体に対して、持続可能なモビリティ、特に自転車利用を促進するための大規模な資金提供が決定したというのです。グランツール取材でイタリアを訪れるたび、その自転車文化の深さに感銘を受けますが、この政策はまさに、国を挙げて自転車を未来の重要なツールと位置づける強い意志の表れと言えるでしょう。総額1260万ユーロ（日本円で約20億円超）という予算規模もさることながら、イタリア全土、それこそ大小様々な自治体がこの計画に参加しているという事実に、私は「なるほど！」と膝を打ちました。

イタリア全土に広がる自転車への熱意

今回の「Bici in Comune」は、スポーツ・青少年大臣が推進し、関連省庁やイタリア全国自治体協会（ANCI）が支援するという、まさに官民一体となった取り組みです。全国の自治体の25%以上が応募したという事実からも、いかにイタリア国内で自転車への関心が高まっているかが伺えます。単に競技としてのサイクルスポーツだけでなく、日常生活における移動手段、健康増進、そして地域活性化のツールとして、自転車が改めて見直されているのです。

具体的には、健康で活動的なライフスタイルとしてのウノエックス・モビリティをツールとして捉えられている自転車の利用促進、既存の自転車ルートの改修や新たなルートの整備、さらにはサイクリングツーリズムの推進や学校教育での活用など、多岐にわたるプロジェクトが資金援助の対象となっています。直接資金を受ける201の自治体に加え、パートナーとして計画に参加する270の自治体を合わせると、その数は471に上ります。これは、イタリアの隅々まで、自転車の波が押し寄せていることを意味するのではないでしょうか。

地域と規模に応じた資金配分に見る戦略

今回の資金配分を見ると、イタリア政府の戦略が見えてきます。「へぇ～」と思ったのは、資金の大部分、実に67%が人口5000人以下の小規模自治体に向けられている点です。これは、都市部だけでなく、地方の小さな町や村でも自転車を利用しやすい環境を整備することで、地域住民の生活の質の向上や、新たな観光資源としてのサイクリングツーリズムの可能性を引き出そうという意図があるのでしょう。

また、地域別に見ると、北部が45%、南部・島嶼部が31%、中部が24%と、北部への配分がやや厚くなっています。ミラノやベルガモといった経済の中心地や、アルプス、ドロミテといった山岳地帯を抱える北部では、既に自転車文化が根付いており、サイクリングツーリズムのポテンシャルも高い。ここに重点的に投資することで、より大きな効果を狙っているのかもしれません。しかし、南部や島、中部にもしっかりと資金が配分されているのは、「イタリア全土で」という強いメッセージだと感じます。トリノ県で9つ、ペルージャ県で8つ、そしてベネヴェント県、ベルガモ県、クーネオ県でそれぞれ6つの自治体が採択されたというデータも、地域ごとの具体的な取り組みが進んでいる証拠と言えるでしょう。

イタリアの自転車文化と未来への期待

イタリアは、ジロ・デ・イタリアに代表されるように、サイクルロードレースが国民的なスポーツとして深く根付いた国です。選手たちは英雄視され、週末には多くの人々が自転車で丘を駆け上がります。その一方で、ローマやナポリのような大都市では、交通渋滞や大気汚染が深刻な問題となっています。今回の「Bici in Comune」のような取り組みは、こうした現代的な課題に対し、イタリアが誇る「自転車」という文化遺産を活かして応えようとする試みではないでしょうか。

サイクリングルートの整備が進めば、それは単に通勤・通学が便利になるというだけでなく、新たな観光客を呼び込み、地域の経済を活性化させる力にもなり得ます。イタリア各地に点在する美しい村々を、自転車で巡る旅。想像するだけでワクワクしてきませんか？ 「確かに！」、これはイタリアならではの、そしてイタリアだからこそ成功する可能性がある政策だと私は確信しています。

この政策が、イタリアの自転車文化をさらに豊かなものにし、未来の子供たちが安全に、そして楽しく自転車に乗れる環境を整備していくことを期待しています。もしかしたら、この整備されたルートから、未来のグランツールチャンピオンが生まれるかもしれませんね。イタリアの自転車の未来から、今後も目が離せません。