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2025年ジロ・デ・イタリア開幕！ 本命ログリッチに若手・ベテランが挑む - 山田健一の展望

皆さん、いよいよこの時が来ました！ 2025年のジロ・デ・イタリアが、初めての舞台、アルバニアでその幕を開けます。ピンクのジャージ、マリア・ローザを巡る3週間の激闘が、また私たちの心を熱くすることでしょう。

今年のジロで誰が主役となるのか。もちろん、最大の注目は2023年の覇者、プリモシュ・ログリッチ（レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ）です。彼が優勝候補の筆頭に挙げられるのは当然のこと。しかし、彼を取り巻くライバルたちの顔ぶれを見れば、一筋縄ではいかない戦いが予想されます。急成長著しい若手、経験豊富なベテラン、そして虎視眈々とチャンスを狙うジョーカーたち。一体、誰が最後の栄光を掴むのでしょうか。

王者ログリッチ、盤石か？ それとも…

2023年のジロを制し、ブエルタ・ア・エスパーニャでも4度の総合優勝を誇るプリモシュ・ログリッチ（レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ）。35歳となり、グランツールを3週間戦い抜く術を知り尽くしています。タデイ・ポガチャルやヨナス・ヴィンゲゴーという絶対王者が君臨するツール・ド・フランスから距離を置き、自身の実績があるジロにターゲットを絞ったのは、彼の賢明さの証でしょう。

しかし、ログリッチには常に「落車」という影がつきまといます。過去のレースを見ていれば、ハラハラさせられるシーンが何度もありました。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエは、2022年のジロ覇者であるジャイ・ヒンドレーをナンバー2に据え、ログリッチに何かあった際の「プランB」をしっかり準備しています。これはチームとして非常に理にかなった戦略であると同時に、ログリッチ自身にとってはプレッシャーにもなり得るかもしれません。彼の表情からは自信が窺える一方、どこか張り詰めた緊張感も感じられる。経験豊富なベテランとはいえ、3週間の長丁場、何が起こるか分かりません。

若き挑戦者たち - アユソとティベーリ

今回のジロで特に注目したいのは、新世代の台頭です。その筆頭が、若干22歳のフアン・アユソ（UAE Emirates-XRG）。彼はUAE Emirates-XRGのエースとして、グランツールで初めて単独リーダーの役割を担います。昨年のブエルタで総合4位に入り、その後もツール・ド・パイス・バスコやティレーノ〜アドリアティコといった難関ステージレースで優勝。特にティレーノ〜アドリアティコでは力強い走りで総合優勝を果たしました。

UAE Emirates-XRGという、タデイ・ポガチャルという絶対的エースを擁するチームで、アユソはプレッシャーのかかる状況や、チームとして勝利を目指すための動きを肌で感じてきました。ツール・デ・カタルーニャで2位に入って以降、このジロに照準を合わせて調整してきたと言います。22歳という年齢でグランツール総合優勝を狙うのは、並大抵のことではありません。若さゆえの勢いは大きな武器ですが、3週間の未知数な展開にどう対応するのか、期待と不安が入り混じります。

そして、もう一人、イタリアのファンが熱い視線を送るのが、同じく22歳のアントニオ・ティベーリ（Bahrain-Victorious）です。昨年のジロで総合5位に入り、一躍その名を轟かせました。特に山岳での力強い走りは印象的でしたね。ティベーリの強みは、山岳だけでなくタイムトライアルも高いレベルでこなせる点にあります。これはグランツール、特にタイムトライアル区間が設定されているジロでは非常に有利に働きます。母国開催のグランツールで、イタリアの新星がどこまで輝けるか、目が離せません。

経験がものを言うベテラン勢

若手だけではありません。豊富な経験を持つベテラン勢も、虎視眈々とマリア・ローザを狙っています。2019年のジロ覇者であり、東京オリンピック金メダリストでもあるリチャル・カラパス（EF Education-EasyPost）は、その筆頭でしょう。彼にとって2019年のジロ優勝は既に遠い過去かもしれませんが、昨年のブエルタで総合4位に入るなど、まだまだグランツール総合を狙える力があることを示しました。特に第3週に待ち受ける厳しい山岳は、エクアドルが誇るクライマーである彼にとって絶好の舞台となるはずです。彼の粘り強い走りは、常に我々ファンを魅了します。

そして、グランツール、特にジロで常に上位に顔を出すミケル・ランダ（Soudal Quick-Step）も忘れてはなりません。2015年と2022年にジロで総合3位に入っている実績は伊達ではありません。 Astana、Movistar、Bahrain、Trek、そして今回 Soudal Quick-Step と、10年間で6チームを渡り歩くという珍しいキャリアですが、どのチームでも一定の結果を残してきました。35歳という年齢を感じさせない彼の走りは、まさに職人芸。彼がSoudal Quick-Stepでどんな走りを見せるのか、非常に興味深いです。

さらに、復活を期すエガン・ベルナル（イネオス・グレナディアーズ）の存在も特筆すべきでしょう。2019年ツール、2021年ジロとグランツールを制した彼ですが、2022年の大事故は彼のキャリアを大きく揺るがしました。しかし、そこから驚異的な回復を見せ、昨年から徐々にトップレベルに戻ってきています。今年のコロンビア国内選手権で優勝し、ツール・デ・カタルーニャでも総合7位と手応えを掴んでいます。クラシカ・ハエンでの鎖骨骨折というアクシデントもありましたが、このジロこそが、彼が本来の輝きを取り戻すための最大の目標です。あの事故を乗り越えた彼の精神力は計り知れません。イネオス・グレナディアーズのリーダーとして、どこまで総合争いに絡めるか、多くのファンが彼の復活劇を願っているはずです。

ジョーカーたちの存在

総合優勝争いの主役たちだけでなく、レース展開を面白くする「ジョーカー」たちの存在も忘れてはなりません。UAE Emirates-XRGのアダム・イェーツは、フアン・アユソのアシストという立場ですが、彼の能力はグランツールで総合上位を狙えるほど高い。プレッシャーから解放された「高級アシスト」として、彼はより自由に動ける可能性があります。もしアユソに何かあれば、すぐにリーダーシップを発揮できる存在です。

レッドブル・ボーラ・ハンスグローエのジャイ・ヒンドレーは、前述の通りログリッチの「プランB」ですが、彼自身がジロ覇者。チャンスがあれば、躊躇なく自身の総合を狙いにくるでしょう。チーム内の力学も興味深いところです。

そして、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでタデイ・ポガチャルに次ぐ2位に入り、直前のツール・デ・ザルプでも総合4位と好調を維持しているジュリオ・チッコーネ（Lidl-Trek）。彼もまた、イタリアのファンが期待する選手の一人です。グランツール総合での実績はまだ限定的ですが、昨年のツール・ド・フランスで総合11位に入り、3週間のレースマネジメントを経験しました。今年の彼のコンディションは非常に良さそうですし、山岳での爆発力は侮れません。

ピンクの戦いの火蓋が切られる！

アルバニアの首都ティラナからスタートし、イタリア半島を南から北へと駆け上がる2025年のジロ・デ・イタリア。平坦、丘陵、タイムトライアル、そしてアルプスの厳しい山岳ステージと、総合力を試されるコースレイアウトです。

本命プリモシュ・ログリッチに対し、フアン・アユソやアントニオ・ティベーリといった若手がどれだけ食らいつけるのか。リチャル・カラパス、ミケル・ランダ、そしてエガン・ベルナルといった経験豊富なベテランたちが、その巧みさでレースをコントロールするのか。そして、アダム・イェーツ、ジャイ・ヒンドレー、ジュリオ・チッコーネといったジョーカーたちが、どこでレースを動かすのか。

それぞれの選手のコンディション、チームの戦略、そして運。様々な要素が絡み合い、3週間のドラマが紡がれていきます。一体誰が、あの輝かしいマリア・ローザに袖を通すのでしょうか？ 今から想像するだけでワクワクしますね。

さあ、まもなくピンクの戦いの火蓋が切って落とされます！ 皆さんもぜひ、この素晴らしいレースを一緒に追いかけましょう！