ミケル・ランダ、ジロに全力復帰：「ここで開花、最後の挑戦」

ピンクへの特別な想い：ミケル・ランダが語るジロへの回帰

モナコの窓から、海を渡る風を感じながらキーボードを叩いています。選手たちのSNSやインタビューから彼らの「今」を読み解くのが私の日常。今回は、AGインシュランス・スーダル チーム-Quick Stepのベテラン、ミケル・ランダ選手が語った、イタリアへの熱い思いに触れてみたいと思います。

彼が再びジロ・デ・イタリアのスタートラインに立つ。そのニュースを聞いただけで、胸が高鳴ったファンも多いのではないでしょうか？ ランダ選手にとって、ジロは特別な場所。彼自身が「グランツールの選手として爆発したレース」と語るほど、キャリアの大きな転換点となった舞台です。2015年、アルベルト・コンタドールが優勝し、チームメートのファビオ・アルが2位に入ったあのジロで、彼は鮮烈な印象を残しました。そして、2022年には3位表彰台。ピンク色のジャージが持つ情熱、イタリアの観客の熱狂。それら全てが、彼を再びこの地へと引き寄せたのでしょう。

「戻るべき時だった。もし今戻らなければ、2026年では遅すぎるかもしれない」という言葉には、彼がキャリアの終盤を意識し始めていること、そしてジロへの特別な思いが凝縮されているように感じます。ベテランならではの、限られた時間の中で最高の舞台に立ちたいという強い意志。深夜のSNS投稿に、時折見せる彼の真剣な眼差しを思い出しました。

気まぐれなジロと、ランダの「頭脳」

ジロ・デ・イタリアは「気まぐれ」なレースだと、ランダ選手は言います。「最初は誰かが勝ちそうに見えても、次の週には別の選手が台頭し、最後の週に勝者が現れる」。確かに、これまでのジロを振り返れば、予期せぬ展開やサプライズが何度もありました。「なるほど！」と思わず膝を打つような、波乱に満ちたドラマが魅力の一つですよね。

今年のジロには、ポガチャルやヴィンゲゴーといった絶対的な優勝候補が不在ですが、ランダ選手はそれが理由で戻るわけではないと断言します。「彼らがいないなら他の誰かがいるだけ。むしろ、彼らがいた方がレースが活性化して、一人では振り落とせないライバルを脱落させるのに助かることもある」という発言は、彼がいかにレース展開を読む力に長けているかを物語っています。

自身の強みについて尋ねられたとき、「頭（精神力）」だと答えていたのが印象的でした。長年トップレベルで戦い続けられるのは、肉体的な強さだけでなく、困難に耐え抜き、目標を見失わない精神力があってこそ。「確かに！」と多くのファンが共感するのではないでしょうか。ベテランとして、若手にはない経験と「頭脳」で、どのようにレースをコントロールしようと考えているのか、注目したいポイントです。

ベテランの矜持と、受け継がれる情熱

2015年のジロで、アルベルト・コンタドール、ファビオ・アルと共に表彰台を争った頃の話になり、「年老いた気分」と笑っていたランダ選手。当時、彼に憧れて育ったフアン・アユソ選手のような若手と今、同じレースで戦っている。それは、世代交代の波を感じさせつつも、ベテランが持つ揺るぎない矜持を見せつけられる瞬間でもあります。

フアン・アユソ選手については、「一歩進んだ」「責任を負い、レースを破壊している」と高く評価していました。ライバルでありながら、若い才能への敬意を忘れない姿勢に「へぇ～」と唸ってしまいます。また、ログリッチ選手についても「5年間最高レベル」と述べ、改善の余地は少ないだろうと分析。ベルナル選手やイェーツ選手といった同世代のベテランも、「幸運か経験でサプライズを起こせるかもしれない」と語るあたり、彼自身も虎視眈々とチャンスを伺っていることが伝わってきます。

イタリアのレジェンドでは、ニバリ選手に最も影響を受けたと言います。「最強でなくても、非常に異なるレースに勝つことができた」彼のスペシャルな才能に感銘を受けた、と。そうだったのか！ ランダ選手の粘り強く、時に大胆な走りの源泉には、ニバリ選手の姿があったのかもしれません。

AGインシュランス・スーダル チーム-Quick Stepでは、ツール・ド・フランスではエヴェネプール選手のアシストに回る予定だそうで、総合を狙うのは難しいとのこと。だからこそ、今回のジロはキャリアにおける「最後のグランツール総合表彰台のチャンス」になるかもしれない、と彼自身も考え始めています。この率直な言葉に、彼の覚悟と、このジロにかける思いの強さを感じずにはいられません。

過去と未来、そして変わる潮流

ローラー台で練習中に見るのは、なぜか昔のレースだというランダ選手。インデュライン選手がキアプッチ選手にアプリカで負けたステージなど、過去の激闘から何かを学んでいるのでしょうか。彼に付けられた「ランダーニ」という愛称も、パンターニ選手のように速く登れないのは残念だけど「誇り」だと語るあたり、過去の偉大な選手たちへのリスペクトが感じられます。

最近のレースについても触れていました。特にミラン〜サンレモは「美しかった」と称賛。しかし、今年のレースを見て、今後はスプリンターだけでなく、チプレッサからのアタックが増えるなど、「前と後を分ける」レースになるかもしれないと予測していました。ロードレースの潮流の変化を敏感に感じ取っているのですね。

そして、ポガチャル、ヴィンゲゴー、ファンアールト、ファンデルプール、エヴェネプール、ログリッチといった「ビッグ6」と呼ばれる選手たちと同じ時代に戦えていることについては、「誇り」だと語っていました。「彼らは少しずつ自転車競技を変えている。勝利を奪われることもあるけれど、彼らは一つの時代を築くだろう」と。確かに、彼らの登場でレースはさらに予測不能でエキサイティングになりました。その最前線で戦うランダ選手の姿は、私たちファンにとって、まさに「時代」そのものを見ているような感覚を与えてくれます。

最後に

ミケル・ランダ選手が語るジロへの特別な思い、そしてキャリアの集大成ともいえる挑戦。彼の「最後のチャンスかもしれない」という言葉は、私たちの胸に深く響きます。AGインシュランス・スーダル チーム-Quick Stepのリーダーとして、彼はどんな走りを見せてくれるのでしょうか。気まぐれなピンクのレースで、ベテランの「頭脳」と経験が、若手の勢いにどう立ち向かうのか。今から、ランダ選手の走りが待ちきれませんね！ 次のレースも、彼のSNSから心の機微を感じ取りながら、皆さんにお届けできればと思います。