クリテリウム・デュ・ドーフィネ：ステージプロフィール

クリテリウム・デュ・ドーフィネ 第5ステージ：山岳決戦前夜、スプリンターたちの最後の輝き

いよいよクリテリウム・デュ・ドーフィネ2025は佳境に入ります。今大会のコース設定は、最終盤に山岳ステージを集中させており、来る木曜日、6月12日に開催される第5ステージは、スプリンターたちにとって勝利を掴む最後のチャンスとなるでしょう。サン＝プリーストからマコンまでの183km。平坦基調の序盤から一転、終盤に3つの3級山岳が待ち構えるこのステージは、純粋なスプリンターにとっては厳しいものとなるかもしれません。しかし、だからこそ、この「最後の平坦」での勝利は、彼らにとって何よりも価値あるものとなるのです。

エヴェネプールが魅せた完璧なタイムトライアル、そして総合争いの行方

前日のタイムトライアルでは、レムコ・エヴェネプールが圧巻の走りを見せつけました。彼の完璧な走りは、まるで精密機械が正確な計算に基づいてペダルを回しているかのようでしたね。この「怪物」のペースに唯一食らいつくことができたのが、ヨナス・ヴィンゲゴー。彼らの間には、ツール・ド・フランスを見据えた確固たるライバル関係がすでに築かれていることを、改めて認識させられました。

一方で、注目されたイバン・ロメオは、彼自身が認めるように期待に応えることができませんでした。現地メディアの論調を追っていると、彼が背負っていた重圧がいかに大きかったかが見て取れます。マイヨ・ジョーヌをレムコ・エヴェネプールに譲り渡したことで、彼の心理状態がどう変化するのか、今後の山岳ステージでの巻き返しに注目したいところです。レムコ・エヴェネプールは、この第5ステージで総合首位を守り抜き、来る高難度山岳ステージでさらにリードを広げようと虎視眈々と狙っていることでしょう。

第5ステージのコースプロファイル：一筋縄ではいかない「スプリンター向け」

サン＝プリーストとマコンを結ぶ183kmのコースは、一見するとスプリンター向きに見えます。しかし、その実態は、終盤に仕掛けられたアップダウンが鍵を握ります。最初の90kmはほぼ平坦で、集団はリラックスして進むことが予想されますが、そこから様相は一変。4級山岳のコート・ド・サン＝タムールを皮切りに、フォンマルタン、ブーボン、そしてキャトル・ヴァンと、3つの3級山岳が立て続けに登場します。

これらの山岳は、単体で見ればそれほど難易度は高くありませんが、疲労が蓄積したレース終盤に連続して現れることで、純粋な重量級スプリンターを振り落とすには十分なパンチ力を持っています。スプリント力を持ちながらも登坂力のあるパンチャータイプ、あるいはサバイバルスプリントに長けた選手が有利になるでしょう。LIDL-TREKなど、スプリンターを擁するチームが、どのようにエースを守り、アシストを配置するのか、そのチーム戦略も興味深いポイントです。

ツール・ド・フランスへの序章：ドーフィネが示す真の力

クリテリウム・デュ・ドーフィネは、ツール・ド・フランスの重要な前哨戦として位置づけられています。この第5ステージでスプリンターたちが最後の力を振り絞る一方で、総合上位を狙うクライマーたちは、来る山岳ステージに向けて脚を温存しつつ、ライバルたちの調子を探り合うことでしょう。

果たして、最後の平坦ステージで勝利の美酒を味わうのはどのスプリンターなのか？ そして、山岳へと向かう総合勢の思惑はいかに？ このドーフィネで得られるデータが、夏のグランツールを大きく左右するでしょう。日本時間では、木曜日12時35分にスタート、17時10分頃にはゴールが予想されています。テレビではユーロスポーツ1やRTVE Play（Teledeporte）で視聴可能ですので、ぜひ皆さんもリアルタイムでこの熱戦を見届けてください。次なる展開が待ち遠しいですね！