ベルギー・ツアー2025 第4ステージ展望：ティボー・ネイス棄権で優勝候補は？

舞台はアルデンヌの難所、デュルビュイ

今回の第4ステージは、近年お馴染みとなったデュルビュイを拠点とする周回コースが舞台です。ここはベルギーのアルデンヌ地方に位置し、かつて洪水被害に見舞われた地域が、サイクルロードレースの開催を通じてポジティブなイメージを打ち出そうと努力している場所でもあります。コースは平坦なアプローチが一切なく、スタート直後から44kmの周回コースに選手たちは送り込まれます。この周回には、シャン・デ・エートル（Champs des Hêtres、2.1km、平均勾配2.7%）やコート・ド・プティ・ソム（Côte de Petit Somme、2.2km、平均勾配5.8%）といった難度の高い上りがいくつも組み込まれています。

特に注目すべきは、フィニッシュ手前13kmに位置するコート・ド・エルマン（Côte de Hermanne、2.2km、平均勾配5.8%）でしょう。この直後には、ボーナスタイムが設定される「黄金の1km」が控えており、総合を狙う選手たちにとっては見逃せないポイントです。そして、勝負の鍵を握るのは、フィニッシュまで残り1km地点に現れるデュルビュイの壁（Mur de Durbuy、1.2km、平均勾配6.2%）です。ここには最も急なセクションが含まれており、文字通り壁のような上りが待ち構えています。この壁を最初に乗り越えた者が、おそらくステージ勝利、そして総合優勝に大きく近づくことになるはずです。

衝撃！ティボー・ネイスの無念の欠場、その影響は？

今朝、飛び込んできたティボー・ネイスの欠場というニュースは、まさに青天の霹靂でした。彼は直前のタイムトライアルで素晴らしい走りを見せ、このデュルビュイのステージでは間違いなく本命の一人。彼のパンチャーとしての能力は、このアップダウンの多いコースにまさにうってつけだったからです。しかも、彼にとっては2週間後に控える自身初のグランツール、ツール・ド・フランスに向けて重要な調整レースでもあったはず。その矢先の体調不良とは、本人にとってどれほど無念だったことか、想像に難くありません。

彼の欠場は、このステージの展開を完全に変えてしまうでしょう。ネイスがいたならば、彼のためにチームはレースをコントロールし、フィニッシュに向けてペースアップを図ったはずです。しかし、彼がいなくなったことで、特定のチームがレースを支配するのが難しくなり、より多くの選手に勝利のチャンスが巡ってくる可能性があります。まさに「本命不在」の状況が生まれ、予測不能なサバイバルレースが展開されることになりそうです。これは、ファンにとってはたまらない、予想外のドラマが生まれる予感でもありますね。

混沌のデュルビュイ、新たな主役は誰だ？

ネイスの欠場により、誰がこのデュルビュイのステージの主役となるのか、その予想は一段と難しくなりました。しかし、それでも注目すべき選手は数多くいます。まず、タイムトライアルで驚きの勝利を飾ったイーサン・ヘイター。彼は数年前にもこの手のパンチャー向けのフィニッシュで強さを見せています。タイムトライアルでの好調を維持できれば、総合リーダージャージをキープする可能性も十分にあります。彼のパフォーマンスには「なるほど！」と膝を打たされましたが、このアルデンヌの丘陵でどこまで踏ん張れるか、期待が高まります。

そして、総合優勝を狙う上でタイムトライアルで挽回が必要なフィリッポ・ガンナも虎視眈々とチャンスを狙っているでしょう。デュルビュイの壁のような急勾配は彼にとって少し厳しすぎるかもしれませんが、彼がアタックを仕掛ける可能性は十分にあります。意外なところでは、スプリンターとして名高いヤスペル・フィリプセン（Jasper Philipsen）が昨年このデュルビュイで3位に入っているという実績があります。彼がパンチャーとしての隠れた才能を再び見せるのか、非常に興味深い点です。

さらに、総合で上位を狙うフロリアン・フェルミールス（Florian Vermeersch）も、ここでの好走が期待されます。彼の粘り強さは、このコースで活きるでしょう。その他にも、ラスムス・ティレル（Rasmus Tiller）、イェノ・ベルクムース（Jenno Berckmoes）、Orluis Aular、アレック・セガールト（Alec Segaert）、ベン・ターナー（Ben Turner）、そしてカルロス・カナル（Carlos Canal）といった選手たちの名前が挙がっています。そして、タイムトライアルで好走したフープ・アルツ（Huub Artz）にも注目です。まさに群雄割拠、誰が飛び出すか分からない状況です。

灼熱のアルデンヌ、勝負を左右する天候と戦術

このデュルビュイのステージは、天候も勝負の行方を大きく左右する要素となるでしょう。土曜日のワロン地域は、気温が30度近くまで上昇するという予報が出ています。強い日差しの中での激しいアップダウンは、選手たちの体力を極限まで削り取ります。ハードな風や雨の心配はないものの、純粋な脚力と暑さへの適応力が試される、まさにサバイバル戦となるでしょう。

ティボー・ネイスの欠場により、特定のチームがレースをコントロールするシナリオは崩れ去りました。タイムトライアルでイーサン・ヘイターが総合首位に立ったことで、彼を擁するイネオス・グレナディアーズはプレッシャーを感じるかもしれませんが、このコースで完全にレースを支配するのは至難の業です。おそらく、序盤からアタックが頻発し、小集団での逃げが形成される可能性が高いでしょう。そして、デュルビュイの壁へ向かう最後の数キロで、総合を狙う選手たちによる激しいアタック合戦が繰り広げられるはずです。暑さと疲労がピークに達する中で、誰が冷静な判断と爆発的なパワーを発揮できるか。この戦術的な駆け引きも、レースの大きな見どころとなるでしょう。

今年の「バロワーズ・ベルギー・ツアー」は、まさに波乱の連続です。本命の欠場、意外なタイムトライアル勝者、そして灼熱のアルデンヌ。デュルビュイでの第4ステージは、混沌の中から新たなヒーローが誕生する瞬間を目撃できるかもしれません。このステージの結末が、最終日の総合争いにどう影響するのか、そしてティボー・ネイスがツール・ド・フランスに間に合うのか、今後の展開から目が離せません。次もぜひ、私の記事を読んで、このエキサイティングなロードレースの世界を一緒に深掘りしていきましょう！