ベルナール・サンツ、最後の抵抗

日本のサイクルロードレースファンの皆さん、こんにちは！山田健一です。今回は、フランスのスポーツ紙「L'ÉQUIPE」の記事から、気になるニュースをお届けします。今回のテーマは、物議を醸しているベルナール・サンツ、別名「ドクター・マブゼ」の裁判です。

ベルナール・サンツ、再び法廷へ

「ドクター・マブゼ」ことベルナール・サンツ。彼の名前を聞いて、眉をひそめる方も少なくないでしょう。彼は長年にわたり、ドーピングに関与した疑いで告発されてきました。今回の裁判は、彼に対する控訴審です。記事によると、彼はドーピングの助長と薬事法違反、医療行為の違法行為で、懲役4年と75,000ユーロの罰金を求刑されています。

弁護側の主張：イメージ先行の有罪か？

弁護士のエクトル・ベルナルディーニは、サンツの弁護に1時間40分を費やしました。彼は、サンツが「自身のイメージと評判の囚人」であり、メディアによって作られたイメージが先行していると主張。かつてはトップアスリートを顧客としていたものの、現在はアマチュア選手やその家族を相手にしていることを強調し、求刑が過剰であることを訴えました。

サンツ自身の沈黙と、代替医療への視点

興味深いのは、サンツ自身が裁判でほとんど発言しなかったことです。「付け加えることは何もない」とだけ述べたそうです。弁護士は、サンツが「患者」や「薬」といった言葉を使ったことを指摘しつつも、彼を「魔術師」や「詐欺師」と見なすのは不当だと主張しました。また、彼の同僚であるエマ・サバドットは、自然療法の分野におけるサンツの業績が、伝統医学界からの反発を受けていると指摘しています。彼女は、サンツの「並外れた結果」はスポーツ選手だけでなく、多くの人々に影響を与えており、それが既存の医学界を脅かしていると述べました。自然療法はフランスでは十分に認知されていないため、サンツは「詐欺師」として扱われていると主張しています。

異例の長期審議へ

判決まで6ヶ月という異例の期間が設けられました。裁判官たちは、この事件が持つ「非常に特殊な側面」を考慮し、慎重な判断を下すために時間をかけるようです。弁護士は、過去の事例と比較して今回の求刑が不当に重いと主張しています。

結論：真実はどこにあるのか？

今回の裁判は、ベルナール・サンツという人物の功績と罪、そしてドーピング問題の根深さを改めて浮き彫りにしました。果たして彼は、本当に「悪」なのでしょうか？あるいは、既存の医学界に挑戦する異端者なのでしょうか？判決が下されるまで、真相は闇の中です。