ジロ・デ・イタリア：ステージプロフィール概要

「薔薇色のジャージ」を巡る決戦前夜：ジロ・デ・イタリア第15ステージの全貌

ジロ・デ・イタリア2025、第15ステージ。フィウーメ・ヴェネトからアジアーゴまでの219kmは、休息日前日ということもあり、総合上位を狙う選手たちにとっては、まさに「総力戦」の様相を呈することでしょう。獲得標高差は3,900m。数字だけ見ても、その過酷さが伝わってきますが、何よりも注目すべきは、最終盤に控えるあの「聖地」への二度の登坂です。

「牙を剥く」序盤の罠とクラシックな登坂

スタート直後のフィウーメ・ヴェネトからバッサーノ・デル・グラッパ近郊までは、一見すると穏やかな平坦路が続きます。しかし、この「静けさ」こそが、グランツールで幾度となく見てきた「罠」なのです。プロトンはここで力を温存しつつも、いつアタックの狼煙が上がるか、互いに牽制し合うことでしょう。 そして、その平穏が破られるのは、地域に根付いたクラシックな登坂、ムーロ・ディ・カ・デル・ポッジョへのアプローチです。ここは決して長大な登りではありませんが、急勾配が続くため、集団のペースは一気に上がり、位置取り争いが激化します。「なるほど！」と膝を打つような、意外な選手がここで仕掛ける可能性もゼロではありません。その後、歴史あるピアヴェ川を渡り、いよいよ真の山岳へと突入するロマーノ・デッラ・エッツェリーノへと向かいます。

聖地モンテ・グラッパ：伝説の道が語るもの

今ステージの最大の目玉は、何と言ってもモンテ・グラッパへの二度の登坂です。特に、その核心となるのは「ストラーダ・カドルナ」と呼ばれる伝説的な道でしょう。第一次世界大戦の激戦地としても知られるこの山は、25kmにも及ぶ長い登坂が特徴で、その平均勾配も決して楽ではありません。一度目の登坂で選手たちの脚は削られ、二度目では精神力さえも試されることになります。 モンテ・グラッパは、その歴史的背景も相まって、単なる登り以上の「何か」を選手たちに要求します。過去のジロでも、この地で総合優勝の行方が決したことは少なくありません。イサーク・デルトロ、アユソ、ログリッチといった総合上位を狙う選手たちは、ここでタイム差を広げる、あるいは失わないための戦略を練っているはずです。特にログリッチのようなタイムトライアル能力の高い選手にとっては、山岳での貯金は非常に重要となるでしょう。タデイ・ポガチャルやマティュー・ファンデルプール、ワウト・ファンアールト、ペデルセンといった現代のトップ選手たちが、もしこのステージに挑むとしたら、彼らはどんな走りを披露するだろうか？想像するだけで胸が熱くなりますね。

テクニカルな下りと最後の「足殺し」

モンテ・グラッパからの下りは、テクニカルで集中力を要します。フォンザーゾ、アルシエへと続くこの下りで、クライマーたちは失ったタイムを取り戻そうと、危険を顧みずに攻めるかもしれません。そして、その後の偽平坦区間と、エネゴからドーリへの登坂、さらにガッリオへと続くアップダウンの連続が、まさに「足殺し」の様相を呈します。「へぇ～」と唸るような、巧妙なアタックがここで決まることもあり得るのです。 最後の数キロは、アジアーゴへ向かうわずかな上り坂でフィニッシュ。スプリンターには厳しいが、パンチャータイプの選手や、登りでライバルを振り切った少数の選手にとっては、最後の力を振り絞る場所となります。

総合争いの行方を左右する一日

この第15ステージは、単なる山岳ステージではありません。休息日前日というタイミング、そしてモンテ・グラッパの二度の登坂という設定は、総合の力関係を完全に再定義する可能性を秘めています。チッコーネのような選手がここでステージ優勝を狙いつつ、総合上位陣に食い込んでくるかもしれません。また、ミケル・ランダやエンリク・マスといったスペイン勢の山岳スペシャリストたちも、このステージで存在感を示すことでしょう。 誰がこの過酷な一日を制し、「薔薇色のジャージ」に一歩近づくのか。そして、最終週に向けて、どのようなドラマが待ち受けているのか。テレビやオンラインでのライブ中継はもちろん、MARCA.comの速報やラジオ中継もぜひチェックして、この興奮を分かち合いましょう。「そうだったのか！」と驚きを与えるような、プロトン内の力学や選手の表情の変化にも注目してみてください。

明日のレースが、今大会の歴史に新たな1ページを刻むことは間違いありません。私もイタリア現地で、その瞬間を見届けたいと思います。