ジロ・デ・イタリア：最新の順位情報

ジロ・デ・イタリア第14ステージ：カオスを制したデルトロの「幸運」

2025年ジロ・デ・イタリア第14ステージは、スプリンター向きと思われたトレヴィーゾからノヴァ・ゴリツァまでの平坦ステージが一転、総合争いに大きな影響を与える波乱の展開となりました。誰もが予想しなかった「カオス」が、わずか22kmの地点で巻き起こったのです。雨に濡れた石畳区間での大規模な落車は、まさに息をのむような光景でした。

濡れた石畳が引き起こした「カオス」

第14ステージの終盤、残り22km地点で突如として発生した集団落車は、総合上位を狙う多くの選手を巻き込み、まさに「カオス」と呼ぶにふさわしい状況でした。ログリッチ、ベルナル、ティベリといった有力選手たちが次々と路面に叩きつけられ、中にはチッコーネのように深刻なダメージを負う選手もいました。彼らの表情には、痛みと同時に、このジロが終わってしまうかもしれないという絶望の色が浮かんでいたように見えました。

そんな中、UAEチームエミレーツのイサーク・デルトロは、この落車を奇跡的に回避し、先行する少数のグループに留まることに成功しました。まるで彼だけが時が止まったかのように、スムーズにその場を通り過ぎていったのです。この瞬間、現地メディアの記者たちも一様に驚きとざわめきに包まれました。「そうだったのか！」と膝を打ったファンも多かったのではないでしょうか。この「幸運」とも言える回避が、この日の総合争いの行方を決定づけることになったのです。

総合タイムに激震！デルトロ、リードを盤石に

落車によって生じたタイム差は、総合順位に大きな激震をもたらしました。フアン・アユソとログリッチは48秒を失い、ティベリに至っては1分45秒ものタイムロスを喫しました。これにより、イサーク・デルトロは総合リードをさらに拡大。暫定総合順位では、50時間37分55秒で首位を堅持し、2位に浮上したサイモン・イェーツに1分20秒、そしてチームメイトのフアン・アユソには1分26秒もの差をつけました。

デルトロは、この落車による「棚ぼた」で、彼のマリア・ローザがより盤石なものになったと言えるでしょう。一方、UAEチームエミレーツにとっては、フアン・アユソがタイムロスを喫したことで、チーム内の戦略に微妙な変化が生じる可能性もあります。エースとしてデルトロを全面的にサポートするのか、それともアユソの巻き返しを期待するのか。今後のチームオーダーにも注目が集まります。落車を免れたカラパス、ジー、カルーゾ、アレンスマンらが総合順位を上げたことも、この日の大きなトピックでしたね。

逃げ切り勝利のロミー・カスパーとEFの戦略

この大荒れの総合争いの裏で、ステージ優勝を飾ったのはEFエデュケーション・イージーポストのロミー・カスパーでした。190km以上にわたる逃げを成功させ、ノヴァ・ゴリツァのフィニッシュラインを単独で通過。彼の疲労困憊の表情には、並々ならぬ努力と執念が垣間見えました。集団スプリントが予想されたステージで、逃げ切りが決まるのは珍しいことではありませんが、この日は特に、後方での落車による混乱が集団の追走意欲を削いだ側面もあったでしょう。

EFエデュケーション・イージーポストは、カスパーのステージ優勝に加え、カラパスとオノレもトップ10に食い込むなど、チームとして素晴らしいパフォーマンスを見せました。彼らの積極的な逃げ戦略が、この日の勝利に繋がったことは間違いありません。まさに、チーム力と個の力が融合した見事な勝利でした。

次なる戦いへ：デルトロへの挑戦は続く

第14ステージの「カオス」は、ジロ・デ・イタリアの総合争いを一気に加速させました。イサーク・デルトロはリードを広げましたが、彼自身も「皆が僕を試そうとしてくるだろう」と語るように、ライバルたちは虎視眈々と逆転の機会を狙っています。特に、タイムを失ったログリッチやフアン・アユソが、残りの山岳ステージでどのような反撃を見せるのか。そして、この日の落車で消耗した選手たちが、どこまで回復できるのか。

ジロはまだ半分以上を残しています。ここからが真のサバイバルであり、真の戦術合戦となるでしょう。皆さんは、このジロの行方をどうご覧になったでしょうか？私は引き続き、現地から選手たちの表情や声のトーン、そしてチームの動きを追いかけ、この興奮を皆さんにお伝えしていきます。次回の記事もどうぞご期待ください。