ピーテルセ、ファンデルプールと同じレースでMTB開幕か

春の女王からMTBへスイッチ！ プック・ピーテルセ、ファンデルプールとの豪華共演なるか？

皆さん、こんにちは。山田 健一です。ヨーロッパの春のクラシックシーズンが熱狂のうちに幕を閉じ、グランツールへと視線が移りつつある今日この頃ですが、ここで一つ、非常に興味深いニュースが飛び込んできました。女子ロードレース界でセンセーショナルな春を送ったあの選手が、早くも次のターゲットへと焦点を移したようです。そう、ワロンヌの矢での勝利、そしてリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでの2位と、アルデンヌクラシックで圧倒的な存在感を示したプック・ピーテルセです。

彼女が次に挑む舞台は、なんとマウンテンバイク（MTB）。しかも、MTB界のスーパースター、そしてロードでも度々我々を驚かせてくれるあのマチュー・ファンデルプール der Poelと同じレースに出場する可能性があるというのですから、これは見逃せません。

春の躍進、ロードでの輝き

いやはや、今年の春のプック・ピーテルセの走りは本当に凄まじかった。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは、世界チャンピオンのジャージを纏ったデミ・ボディネ・フォレリングや、ベテランのマリアンヌ・フォスといった強豪たちと互角以上に渡り合い、最終的にはキンバリー・ル・クール・ド・ビロに僅かに及ばず2位という結果でした。しかし、その前週のワロンヌの矢では見事な勝利を飾り、アルデンヌ3連戦全てで表彰台という安定感。春のクラシック全体を見ても、出場した全てのレースでトップ10フィニッシュというのですから、そのコンディションの良さと才能の開花ぶりには目を見張るものがありました。

「ドワイエンヌ（リエージュ〜バストーニュ〜リエージュの愛称）後の記者会見で、彼女は晴れやかながらもどこか次の戦いを見据えたような表情で語っていました。「まずは1週間休養します」と。そして、その後に控えているのが、彼女が世界選手権王者でもあるMTB、クロスカントリーシーズンへの移行なのです。ロードでの成功を収めた直後に、全く異なる競技へスイッチするという潔さ。これが現代のトップアスリートの姿なのでしょうか。

MTBへのスイッチと注目の初戦

休息期間を終えた後、プック・ピーテルセのMTBシーズンは本格的にスタートします。彼女自身が明言したように、まず確実に出場するのは5月下旬にチェコのノヴェ・メストで開催されるMTBワールドカップ クロスカントリーです。ここはMTB界でも有数の、テクニックとパワーが要求される難コースとして知られています。ロードで培った持久力と、MTB世界王者としてのスキルがどう融合するのか、非常に楽しみな一戦です。

しかし、さらに注目すべきは、ワールドカップのその前週、5月中旬にドイツのホイバッハで行われる「バイク・ザ・ロック」というレースに彼女が出場する可能性がある、という点です。このレースはワールドカップシリーズには含まれませんが、ドイツ国内のMTBブンデスリーガの一部であり、例年多くのトップ選手が出場します。プック・ピーテルセは「身体の感じを見ながら」と慎重な姿勢を見せていますが、もし出場となれば、MTBシーズンの幕開けとして大きな意味を持つことになります。

ファンデルプールとの豪華共演なるか？

そして、この「バイク・ザ・ロック」がなぜこれほど注目されているのか。それは、既にこのレースへの参加を表明している選手に理由があります。皆さんご存知、ロード、シクロクロス、そしてMTBと、全ての自転車競技で世界を席巻する稀代のマルチタレント、マチュー・ファンデルプール der Poelです。

ファンデルプール der Poelもまた、ロードの春のクラシックシーズンを終え、MTBでのオリンピック出場を目指して調整を進めています。彼にとってこのバイク・ザ・ロックは、MTBシーズンの本格的なスタート地点となるレースです。そこに、女子MTB世界王者のプック・ピーテルセが出場する可能性がある。もし実現すれば、ロードのトップ選手として春を沸かせた男女の世界王者が、MTBの同じレースで顔を合わせるという、何とも豪華で、そして少しばかり奇妙にも思えるシチュエーションが生まれるのです。

ロードでの圧倒的なパフォーマンスを見せたプック・ピーテルセが、自身の本職とも言えるMTBでどんな走りを見せるのか。そして、王者マチュー・ファンデルプール der Poelと同じ舞台で、どのようなドラマが生まれるのか。彼女の決断一つで、5月のMTBシーンは俄然熱を帯びてきそうです。

ロードレースの興奮冷めやらぬ中ですが、早くも次の注目ポイントはMTBへ移りつつあります。プック・ピーテルセの動向、そしてファンデルプール der Poelとの共演が実現するかどうか、引き続き注視していきたいと思います。