ベッティオール、GPアールガウで復帰。ツール・ド・スイス出場。ツール・ブエルタ、デカトロン・AG2Rラモンディアール チームは不参加

アルベルト・ベッティオル、待望の復帰へ！ グランツール不参加の背景と後半戦への期待

春先の肺感染症により、多くのファンが彼の姿を待ち望んでいたアルベルト・ベッティオルが、いよいよレースシーンに戻ってきます。特に、彼が欠場したジロ・デ・イタリアは、多くのサイクルロードレースファンにとって衝撃でした。しかし、その無念を晴らすかのように、彼の後半戦の計画は着々と進められています。今回は、ベッティオルの復帰戦から、タイトル防衛のかかるイタリア選手権、そして今シーズン後半の展望まで、彼の意図を深掘りしていきましょう。

苦難を乗り越え、いざ復帰戦へ

アルベルト・ベッティオルが春先に肺感染症を患ったというニュースは、私たち関係者にとっても衝撃でした。イタリアのメディアも彼の容態を案じ、復帰を待ち望む声が多数聞かれました。特に、彼がXDS・アスタナ チームのエースとして、そして自国のグランツールであるジロ・デ・イタリアを欠場せざるを得なかったことは、本人にとっても、チームにとっても、そしてファンにとっても、計り知れない無念があったことでしょう。5月17日の4日間レース・オブ・ダンケルクでリタイアして以来、彼は長い休養と回復の期間を過ごしてきました。その間、SNSを通じて彼の回復への並々ならぬ決意を感じ取ることができました。

そして、いよいよ6月13日のカントン・アールガウGPでレースに復帰し、続く6月15日から22日までのツール・ド・スイスで本格的なコンディションアップを図ります。ツール・ド・スイスは、ツール・ド・フランスの前哨戦として知られるタフなステージレース。ここで彼がどのような走りを見せるのか、その表情や声のトーンから、今後の展開を予見できるかもしれません。この復帰戦は、彼にとって単なるレースではなく、苦難を乗り越えた証となるはずです。

グランツール不参加という決断の裏側

今回の発表で最も注目すべきは、アルベルト・ベッティオルが今シーズン、ツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャという二つのグランツールに参加しないという決断を下したことです。これは、グランツールを主戦場とする多くのトップ選手とは一線を画す、非常に興味深い選択であると言えます。XDS・アスタナ チームも、彼の体調を考慮し、無理をさせない賢明な判断を下したのでしょう。過去にも怪我や病気から復帰した選手が、グランツールを回避してシーズン後半に照準を合わせるケースはありました。しかし、ベッティオルの場合、その決断の裏には、単なる回復以上の戦略的な意図が隠されているように感じます。

彼はもともと、クラシックレースでの爆発的な加速力や、アタック力に定評のある選手です。グランツールでの総合順位争いよりも、特定のステージでの勝利や、ワンデーレースでのタイトル獲得に重きを置くキャリアパスを選んだのかもしれません。あるいは、肺感染症からの完全な回復には、グランツールの過酷な連戦は避けるべきだと判断したのでしょう。体調を万全にし、得意なレースで確実に結果を出す。これは、彼のようなタイプの選手にとっては、非常に理にかなった選択であると私は見ています。「なるほど！」と思わせる、彼のキャリアにおける新たな転換点となる可能性を秘めているのです。

タイトル防衛戦と後半戦のターゲットレース

グランツールを回避したアルベルト・ベッティオルの今シーズン後半のハイライトは、まず6月29日にフリウリ＝ヴェネツィア・ジュリアで開催されるイタリア選手権でのタイトル防衛戦となるでしょう。ナショナルチャンピオンジャージは、選手にとって特別な意味を持つものです。このジャージを再び身にまとうために、彼はすべてを賭けてくるはずです。

その後、8月にはツール・ド・ポローニュ、そしてレニューイ・ツアーといったステージレースへの参加が予定されています。これらのレースは、スプリンターやクラシックライダーにもチャンスがある、比較的平坦基調ながらもパンチャー向けの丘陵が点在するコースが多く、ベッティオルの得意分野に合致しています。特にレニューイ・ツアーは、北のクラシックを彷彿とさせる石畳区間も含まれることがあり、彼の強みを発揮できる舞台となるでしょう。

一方で、9月28日にルワンダで開催される世界選手権については、標高差5,500mという過酷なコースプロフィールから、彼には厳しすぎると判断されたようです。デカトロン・AG2Rラモンディアール チームの選手も出場するこの歴史的なアフリカ開催の大会を回避しつつも、その一週間後にフランスで開催されるヨーロッパ選手権には、コンディション次第で参加の可能性を残しています。世界選手権を諦めてでも、ヨーロッパ選手権に照準を合わせるという選択は、「確かに！」と共感を呼ぶ、選手としての現実的な判断と言えるでしょう。

ベッティオルが切り開く新たな道

アルベルト・ベッティオルの今回の決断は、彼のキャリアにおいて大きな意味を持つかもしれません。グランツールという最高峰の舞台を一時的に離れ、自身の得意なレースや、より勝機のあるレースに集中することで、新たなベッティオル像が確立される可能性を秘めているのです。XDS・アスタナ チームにおいても、彼の役割はより明確になり、チーム戦略に大きな影響を与えることでしょう。

かつてのエースとして、あるいは若手のアシストとして、彼はチーム内で多様な貢献ができる選手です。この苦境を乗り越え、再び輝きを放つアルベルト・ベッティオルの走りに、日本のサイクルロードレースファンも熱い視線を送ることでしょう。彼の復帰戦、そしてイタリア選手権でのタイトル防衛、さらに後半戦の活躍から目が離せません。次も読みたい！そう思わせるような彼の復活劇を、心から期待しています。