第11ステージ コース・プロフィール・スケジュール

ジロ・デ・イタリア2025：悪魔の山が牙を剥く！ 第11ステージは総合変動の鍵となるか

皆さん、ボンジョルノ！ 山田 健一です。

ジロ・デ・イタリアは戦いの舞台をイタリア半島の中央部へと移し、いよいよ後半戦に突入します。休息日を終え、選手たちの疲労もピークに達しつつあるこのタイミングで待ち受けるのが、ヴィアレッジョからカステルノーヴォ・ネ・モンティまでの第11ステージ、186kmです。一見すると、平坦区間から始まるステージですが、その真価は後半に隠されています。特に、25年ぶりにジロのコースに組み込まれたある「悪魔の山」が、このステージ、いや、大会全体の行方を大きく左右する可能性を秘めているのです。

25年ぶりに現れる「壁」：サン・ペッレグリーノ・イン・アルペ峠

ステージ前半はカステルヌオーヴォ・ガルファニャーナまで比較的平坦な道が続きます。これは逃げ集団にとっては有利な展開となるでしょう。しかし、レースはそこから一変します。選手たちの前に立ちはだかるのが、サン・ペッレグリーノ・イン・アルペ峠です。距離は14.2km、平均勾配は8.7%と、数字だけ見ても十分に厳しい登りですが、現地メディアの情報によれば、最大勾配はなんと19%にも達するというから恐ろしい。これはもう「壁」と呼ぶべきでしょう。

このサン・ペッレグリーノ・イン・アルペ峠がジロのコースに登場するのは実に25年ぶり。四半世紀前のレースを知るベテランファンの方なら、その難易度を覚えているかもしれません。長く厳しい登り、そして勾配が突如跳ね上がる区間は、単に脚力があるだけでなく、ペース配分や精神力も試されます。ここで総合上位陣が仕掛けるのか、あるいはふるい落とされる選手が出るのか。この峠が、後半戦の総合争いに大きな風穴を開けることは間違いありません。

脚を削る終盤と、爆発力を問われるゴール前

サン・ペッレグリーノ・イン・アルペ峠を越えた後も、トアーノ峠、ピエトラ・ディ・ビスマントヴァ峠と登りが続きますが、これらはサン・ペッレグリーノほどではないにしても、疲弊した脚にはじわじわと効いてくるはずです。そして、このステージのもう一つの鍵となるのが、ゴール前3kmの複雑な地形です。一度上って、短いテクニカルな下りを挟み、再びゴールへと向かう上り。フランス語で「casse-pattes（カッセ・パット）」、つまり「脚を壊す」と表現されるように、細かくアップダウンが繰り返される終盤は、まさに脚に応えるレイアウトと言えます。

ゴール前100mは幅6mの直線ですが、そこに至るまでの曲がりくねった道と短い登りは、スプリント勝負というよりは、爆発的な加速力を持つクライマーやパンチャーに有利に働くでしょう。サン・ペッレグリーノで総合勢が動けば、そのまま少数の選手でのゴール前勝負となる可能性もありますし、逆に集団がある程度まとまっていれば、この最後の仕掛けでステージ優勝が決まる展開も考えられます。

ベテランの意地、ロマン・バルデはステージを獲れるか？

この難易度の高いステージで、注目したい選手の一人が ロマン・バルデ です。キャリア最後のグランツールとなるであろう今大会、彼はまだジロでのステージ優勝がありません。この第11ステージは、彼の得意とする山岳とパンチ力が必要とされるコースであり、ステージ優勝を狙う絶好の機会となるでしょう。

しかし、本命は総合上位を狙う選手たちや、爆発力のある他のクライマーたちかもしれません。 ロマン・バルデ がステージ優勝を果たすためには、逃げに乗るのか、それとも総合勢の動きに食らいついて最後の勝負に懸けるのか、難しい判断が迫られます。彼のこれまでの経験と、キャリアの集大成にかける並々ならぬ決意は、間違いなくレースに彩りを加えるでしょう。彼の表情や声のトーンからは、このステージへの特別な思いがひしひしと伝わってきます。

ジロ後半戦の幕開け、見逃せない一日

ヴィアレッジョからカステルノーヴォ・ネ・モンティへの第11ステージは、サン・ペッレグリーノ・イン・アルペという「悪魔の山」が主役となる、ジロ・デ・イタリア後半戦の重要な一日となるでしょう。総合争いが再び活性化するのか、それとも伏兵や逃げ集団から思わぬ勝者が生まれるのか。特に、 ロマン・バルデ のようなベテランがどのような走りを見せるのかにも注目が集まります。

過去のジロでも、このような中盤の難関ステージで総合リーダーが交代したり、大きなタイム差がついたりするケースは珍しくありません。今年の第11ステージも、そういった歴史的な一日となる可能性を秘めています。果たして、マリア・ローザの行方はどうなるのか？ そして、誰がこの難関ステージを制するのか？ 水曜日（現地時間）のレースが今から待ちきれませんね！