ツール・オブ・ジ・アルプス：スタラーが総合逆転V、最終Sはプロドム

ツール・オブ・ジ・アルプス 最終日、ストーラーが鮮やかな逆転総合優勝！ ジロへ向け最高の仕上がりを見せる

アルプスの山々を舞台にした一週間の激闘、ツール・オブ・ジ・アルプスが閉幕しました。最終日はオーストリアのリエンスに戻る112kmのコース。総合首位でスタートしたテイメン・アレンスマンを鮮やかに逆転したのは、チューダー・プロサイクリングチームのマイケル・ストーラーでした。最終ステージを制したニコラ・プロドムの快走や、惜しくも総合4位に終わったジュリオ・チッコーネの奮闘も含め、見どころ満載の最終日を、グランツール担当の山田健一がお届けします。

アルプスの覇者、マイケル・ストーラー

最終日のリエンスは、アルプスらしい冷涼な空気と、レースの結末を見届けようと集まったファンたちの熱気が混じり合う独特の雰囲気でした。総合タイムで首位のテイメン・アレンスマン（イネオス・グレナディアーズ）を追うマイケル・ストーラー（チューダー・プロサイクリングチーム）は、前日のステージでその差を詰めており、逆転の可能性を十分に秘めていました。そして、彼はそのチャンスを最大限に活かしたのです。

最終ステージでのストーラーの走りは、まさに王者のそれ。ライバルたちの動きを見極めながら、ここぞというタイミングで仕掛け、テイメン・アレンスマンから決定的なタイムを奪いました。最終的にマイケル・ストーラーはテイメン・アレンスマンに1分33秒差をつけ、デレク・ジー（Israel - Premier チーム ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ）には4分07秒差、そしてイタリア期待のジュリオ・チッコーネには5分09秒差をつけての総合優勝です。特に、ジロ・デ・イタリアを前にこのアルプスで総合優勝を飾れたことは、彼自身の自信にとっても、チームにとっても非常に大きな意味を持つでしょう。ジロでの彼の走りから目が離せませんね。

最終ステージはデカトロン・AG2Rのワンツー

最終ステージは、リエンス周辺のアップダウンを繰り返す、決して楽ではないコース設定でした。ここで主役の座を射止めたのは、デカトロン・AG2Rの二人。ゴールラインを最初に越えたのは、フランス出身のニコラ・プロドムでした。そして、その後ろにはチームメイトである18歳のポール・セクサスが続きます。プロドムがベテランらしい落ち着きと力強いスプリントでステージを制した一方、セクサスの若さあふれるアタックも印象的でした。同じチームの選手がワンツーフィニッシュを決めるというのは、チームの戦略がハマった証拠でもあり、見ている側としても「なるほど！」と思わされる展開でしたね。

イタリア勢では、マッティア・バイスがステージ5位に入り、国内最高位となりました。今大会では、ステージ優勝を果たしたマルコ・フリーゴなど、イタリアの若手や中堅選手たちの活躍も光りました。彼らがジロ・デ・イタリアでどのような走りを見せるのか、今から楽しみなところです。

ジロへ繋がる熱戦

ツール・オブ・ジ・アルプスは、例年ジロ・デ・イタリアの重要かつ最終調整の場として位置づけられています。今年のレースも例外ではなく、多くのジロ出場予定選手が、アルプスの厳しい山岳で自身のコンディションを試しました。総合4位に終わったジュリオ・チッコーネは、もちろん表彰台を狙っていたはずですが、この結果を悲観する必要はないでしょう。むしろ、ここで見つかった課題をジロまでの短い期間で修正し、本番に最高の状態で臨むための貴重な経験になったはずです。

マイケル・ストーラーの総合優勝は、彼がジロで総合上位を狙えるポテンシャルを持っていることを改めて証明しました。また、テイメン・アレンスマンやデレク・ジーといった選手たちも、それぞれに収穫があったことでしょう。ジロ・デ・イタリアの開幕まであとわずか。このツール・オブ・ジ・アルプスで得た手応えや課題を胸に、選手たちはピンク色のジャージを目指して最後の調整に入ります。

アルプスの激闘を経て、いよいよグランツール第一弾、ジロ・デ・イタリアの開幕が迫ってきました。このレースで輝きを放った選手たちが、ピンク色のジャージを巡る戦いでどんな走りを見せるのか、今から楽しみでなりませんね。イタリアの地で繰り広げられる熱い戦いを、引き続き山田健一がお届けしていきます！