ジロ2025：蘭若手トリオ、レジェンドに続け

皆さん、こんにちは。山田 健一です。

今回のジロ・デ・イタリア第4ステージ、衝撃的な結末でしたね。レッチェでの集団スプリント、勝ったのはイタリアではなく、オランダの若い才能たちでした。しかも、1位、2位、3位と、表彰台をオレンジ一色に染め上げるという、まさに圧巻の結果です。

23年ぶりの快挙、ジロをオレンジに染めた若手たち

ジロ第4ステージ、平坦基調のレイアウトはスプリンターたちの格好の舞台となりました。最終盤、激しい位置取り争いを経て迎えたフィニッシュライン。最初に飛び込んできたのは、カスペル・ファンウーデン Uden（チーム ピクニック・ポストNL）。そして、そのすぐ後ろにオラフ・コーイ（チーム ヴィスマ・リースアバイク）。さらに、マイケル・ゼイラート（チーム ピクニック・ポストNL）が続きました。そう、信じられないかもしれませんが、トップ3がすべてオランダ人選手だったのです。

グランツールで同一国籍の選手が表彰台を独占するというのは、非常に珍しい出来事です。特にスプリントフィニッシュでは、各国のエーススプリンターたちがしのぎを削るため、まず起こりえません。今回のこの結果は、オランダのロードレース界が今、若い才能に溢れていることを証明した瞬間と言えるでしょう。

伝説となった2002年ツール・ド・フランス

では、グランツールでオランダ人選手が1-2-3フィニッシュを決めたのは、いつ以来のことなのでしょうか？ 遡ること23年。2002年のツール・ド・フランス第8ステージです。サン＝サラ＝マルタン＝ド＝ランデルからプルアイまでの移送ステージ、この日は7名の逃げ集団がメイン集団の追撃を振り切りました。この逃げの中に、驚くべきことに3名のオランダ人選手がいたのです。

RabobankからErik DekkerとKarsten Kroon、そしてDomo Farm-FritesからServais ミール・クナーフェン。いずれも当時のオランダを代表する選手たちです。特にErik Dekkerは、過去のツールでも逃げ切り勝利を何度も経験しているベテラン。残り僅かでのアタックや牽制を経て、最後はスプリント勝負に。Karsten Kroonがキャリア最大の勝利を飾り、Servais ミール・クナーフェンが2位、そしてErik Dekkerが3位に入りました。

まさに、今回のジロと同じ「オランダ人によるグランツールでの1-2-3」。あの時の興奮を覚えているファンの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ちなみに、今回のジロ第4ステージのスプリント、解説席にはあのKarsten Kroonがいたそうです。「自分が勝った時と同じ光景を、今度は解説者として見守る」。これは何とも粋な話ですね。

グランツール以外でも見られた「オレンジ旋風」

グランツールでの1-2-3は稀とはいえ、ワールドツアーレベルのレースでは、近年もオランダ人選手による表彰台独占は何度か見られています。例えば、今年のティレーノ～アドリアティコ第5ステージでは、オラフ・コーイが優勝し、イルゼ・プルイマースが2位、マチュー・ファンデルプール der Poelが3位でした。また、2023年のツール・オブ・グアンシー第3ステージでも、オラフ・コーイが優勝、イルゼ・プルイマースが2位、マライン・ファンデンベルフ den マルテ・ベルグエドセスが3位に入っています。

特にオラフ・コーイとイルゼ・プルイマースの名前が頻繁に出てくることから、彼らが現役オランダスプリンター界の中心的存在であることが分かります。そこにカスペル・ファンウーデン Udenやマイケル・ゼイラートといった新世代が加わり、層の厚さが増している。これは「なるほど！」と思わされる点です。

この快挙が意味するもの

今回のジロでの快挙は、単なる偶然ではありません。オランダの育成システム、そして各チーム（チーム ピクニック・ポストNLやチーム ヴィスマ・リースアバイクなど）の戦略が結実した結果と言えるでしょう。特に若いスプリンターたちが、グランツールという大舞台で臆することなく力を発揮し、経験豊富なライバルたちを抑え込んだことは、今後の彼らのキャリアにとって大きな自信となるはずです。

23年前のベテラン3名による逃げ切り1-2-3と、今回の若手3名による集団スプリント1-2-3。レース展開は違えど、母国に最高の喜びをもたらしたという点では共通しています。「確かに！」と頷かされます。

次なる「オレンジ旋風」は？

ジロはまだ始まったばかり。カスペル・ファンウーデン Uden、オラフ・コーイ、マイケル・ゼイラートの3名は、今後もスプリントステージで主役となるでしょう。また、ワウト・ファンアールトやマッズ・ピーダスンといった強敵も虎視眈々と勝利を狙っています。彼らが再び表彰台を独占する瞬間は訪れるのか？ それとも、他の選手が意地を見せるのか？

今後の展開から目が離せませんね！ 次のステージも、彼らの走りに注目していきましょう。