ジロ2025：AGインシュランス・スーダルはランダ、マニエ中心、ベルギー人選出なし

AGインシュランス・スーダル チーム Quick-Stepのジロ選考、まさかのベルギー人ゼロ！ ランダとマニエが牽引

ベルギーのチームが、イタリア最大のレースにベルギー人選手を一人も連れて行かない。これはまさにサプライズと言えるでしょう。AGインシュランス・スーダル チーム Quick-Stepは、その前身であるクイックステップ時代から、常にベルギー人選手の牙城であり続けてきました。それが今回、ジロの「グランデ・パルテンツァ」の地、アルバニアにベルギー人抜きで乗り込むというのですから、「え、本当に？」と私も思わず唸ってしまいました。

チームのアイデンティティと今回の選択

AGインシュランス・スーダル チーム Quick-Stepといえば、ベルギーのクラシックレースやスプリントで圧倒的な強さを誇り、多くのベルギー人スター選手を輩出してきたチームです。彼らがジロに初めて参加した2005年以降、ベルギー人選手が一人もいなかったのは、2018年のたった一度だけ。ここ数年はコンスタントに4人ものベルギー人選手をジロに送り込んでいただけに、今回の「ゼロ」という数字は、チームの歴史においても極めて異例であると言えます。

この背景には、来年のチーム戦略が大きく影響していると見て間違いないでしょう。エースであるレムコ・エヴェネプールがツール・ド・フランスに照準を合わせているため、チームの主軸であるベルギー人有力選手の多くがツールに温存される、あるいはレムコのアシストとしてツールに回るということなのでしょう。ある意味、チームの重心がジロからツールへと完全にシフトしたことを示す、象徴的なセレクションであると言えます。

総合エース、ミケル・ランダの役割

では、ベルギー人不在のジロで、チームは誰をエースとするのか。総合リーダーを任されるのは、ベテランのミケル・ランダです。35歳になるバスクのクライマーは、ジロとは非常に相性が良く、過去に2015年と2022年の二度、総合3位表彰台に上っています。今年のティレーノ〜アドリアティコで総合7位、カタルーニャ一周で総合4位と、依然として高いレベルで戦える力があることを証明しています。

ツールではレムコ・エヴェネプールのために山岳アシストに徹することが予想されるミケル・ランダにとって、このジロは自身のために走れる数少ないチャンス。チームも彼を中心に山岳での体制を組んでくるはずです。山岳ではマティア・カッタネオやジェームス・ノックスといった力のあるクライマーたちが、彼をサポートすることになるでしょう。ミケル・ランダが三度目のジロ表彰台に立てるか、注目が集まります。

スプリントを担う新旧スプリンターたち

一方、平坦ステージでの勝利は、主にスプリンター陣に託されます。ここで期待されるのが、フランスの若手タレント、ポール・マニエです。若干21歳ながら、既にトップレベルのスプリンターたちと互角に渡り合う力を見せており、今年のオムループ・ヘット・ニュースブラットでの2位は記憶に新しいところです。彼にとって初のグランツールとなるジロで、どれだけそのポテンシャルを発揮できるか、非常に楽しみです。

他にも、ルーク・ランパーティやイーサン・ヘイターといったスピードのある選手がメンバーに名を連ねており、複数枚のカードを使ってスプリントステージを狙ってくるでしょう。特にポール・マニエは、単なるスプリンターではなく、ある程度の登りもこなせるパンチャータイプ。彼の活躍は、ジロの展開に彩りを与えてくれるはずです。

その他のメンバーとチーム全体のバランス

今回のセレクションには、他にジャンマルコ・ガロフォリとJosef Cernyが含まれています。Josef Cernyはタイムトライアル能力も高く、平坦での牽引役としてチームに貢献するでしょう。ジャンマルコ・ガロフォリは若いイタリア人クライマーであり、自国開催のジロでモチベーション高く臨むはずです。

全体として見ると、山岳での総合狙いのミケル・ランダ、平坦やアップダウンでのスプリントを担うポール・マニエを中心とした構成と言えます。ベルギー人不在という異例の布陣ですが、これは戦略的な選択であり、チームの層の厚さを示すものでもあるでしょう。

締めくくりに

今回のAGインシュランス・スーダル チーム Quick-Stepのジロ選考は、チームの歴史と今後の戦略を考える上で非常に興味深いものでした。ベルギー人選手が一人もいないジロは、我々ファンにとってもどこか不思議な感じがしますね。しかし、ミケル・ランダの総合力、そしてポール・マニエという新星の躍動は、間違いなくジロを盛り上げてくれるはずです。

この異例の布陣が、果たしてどのような結果をもたらすのか。5月に開幕するジロ・デ・イタリアが、今から待ちきれませんね！