ジロ・デ・イタリア第10ステージ：コース概要と視聴ガイド

ジロ・デ・イタリア 第10ステージプレビュー：トスカーナの平坦TT、総合勢はここでどう動く？

ジロ・デ・イタリアは2回目の休息日を終え、いよいよレースは後半戦へと突入します。そして、休息日明けの第10ステージは、総合争いを左右する可能性のある個人タイムトライアル（TT）です。イタリア中部、トスカーナ州の古都ルッカから、斜塔で有名なピサまでの28.6km。このコースが、これまでの激しい山岳やアップダウンとは全く異なる、平坦基調のハイスピードコースであるという点が、非常に興味深いところです。

【執筆者プロフィール】 グランツールを中心に、ヨーロッパの主要レースを担当。イタリア、フランス、スペインの三カ国の言葉を自在に操り、現地メディアの微妙なニュアンスまで読み解く。特派員時代に培った人脈と、独自の視点を組み合わせることで、選手たちの表情や声のトーンから次の展開を予見することも。

コース解説：トスカーナの平坦路がもたらすもの

この第10ステージのコースは、ルッカの美しい城壁都市をスタートし、ピサのドゥオーモ広場へとフィニッシュする28.6km。距離としては中程度ですが、そのプロフィールはほぼ完全にフラットです。長い直線区間が多く、テクニカルなコーナーも少ないため、純粋なパワーとエアロダイナミクスが問われるレイアウトと言えるでしょう。

これは、TTスペシャリストや、平坦での高速巡航を得意とする選手にとっては絶好の機会となります。逆に、ピュアクライマーにとっては、タイムロスを最小限に抑えたい「我慢のステージ」となる可能性が高い。休息日明けというコンディションも相まって、各選手の体調やTTバイクへの適応力が如実に出るでしょう。

総合勢のタイム差戦略：ログリッチは再び輝くか？

このフラットTTは、総合リーダークラスにとって非常に重要な意味を持ちます。特に、今大会最初のTT（アルバニアでのログリッチの勝利を指していると推測される）で圧倒的な強さを見せたプリモシュ・ログリッチのような選手は、ここでさらにライバルとの差を広げたいと考えるはずです。彼のTT能力はすでに証明済みであり、このコース特性は彼に有利に働くでしょう。

一方、クライマータイプの総合候補は、ここでどれだけタイムロスを抑えられるかが鍵となります。昨年や過去のグランツールを見ても、20km台後半の平坦TTでも、総合上位の選手間で数十秒から1分以上の差がつくことは珍しくありません。この「ダメージコントロール」が今後の山岳ステージでの戦略に大きく影響してくるのです。「なるほど！」と思いませんか？たかが平坦TT、されど平坦TT。ここで生まれるタイム差が、終盤の山岳決戦の駆け引きを変えてしまう可能性があるのです。

注目の選手たちとMovistarの戦略

このステージで勝利を狙うのは、もちろんTTスペシャリストたちでしょう。彼らは総合争いとは無関係でも、区間優勝という栄誉のために全力を尽くします。そして、総合上位勢の中では、ログリッチが最有力候補の一人であることは間違いありません。彼の力強いペダリングと、休息日明けのコンディションがどう噛み合うか、注目です。

また、Movistarの選手たちも気になるところです。特に、アルベルト・トレスとヨン・バレネチェアは、チーム内でどのような役割を担うのでしょうか。彼らはTT能力も一定レベル持っていますから、チームとしてこのステージで何かを仕掛けてくるかもしれません。あるいは、チームのエース（エンリク・マスやミケル・ランダなど、入力テキストにはないがチームのエースとして想定）のために、タイムトライアルのペース配分や情報伝達でサポートに回る可能性もあります。ヨーロッパのチーム、特にスペイン系のMovistarは、こういう局面で独特の戦略を用いることがあるんですよ。「へぇ～」と思わせるような裏話があるかもしれません。

イスラエル・プレミアテックのようなチームも、このフラットなコースでTTを得意とする選手がいれば、区間優勝を狙ってくる可能性は十分にあります。各チームの思惑が交錯する、静かなる戦いが繰り広げられるでしょう。

このTTが今後のジロにもたらす影響

この第10ステージのTTの結果は、間違いなく今後のジロの展開に大きな影響を与えます。ログリッチがここで大きくリードを広げれば、ライバルたちは残りの山岳ステージでより攻撃的な戦略を取らざるを得なくなります。逆に、クライマーたちが予想以上にタイムロスを抑えられれば、総合争いはさらに混沌とし、誰にでもチャンスがある状況が続くかもしれません。

ピサの斜塔を背景に、新たな総合リーダーが誕生するのか、それとも既存の力関係がより強固になるのか。この28.6kmの戦いから目が離せません。さあ、ジロ・デ・イタリアはここからが本番です！次もぜひお付き合いください。