2選手スタート遅刻、ヴィスマ・リースアバイクが運営非難
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ラ・ブエルタ開幕TTT、チーム ヴィスマ・リースアバイクに一体何が？ バルセロナで起きた不可解なスタート遅刻事件
モナコの窓辺から、世界のサイクルロードレースシーンに瞬時にアクセスできるSNSのタイムラインを追っている中村 リサです。選手たちの何気ない投稿やチームのリリースには、その時の感情や舞台裏のドラマが隠されていることがよくあります。先日、スペインで開幕した女子の三大ツールの一つ、ラ・ブエルタ・フェミニーナのチームタイムトライアルで、私のタイムラインに衝撃的な画像が流れてきました。
それは、チーム ヴィスマ・リースアバイクのスタートシーンでした。本来7名でスタートするはずのチームタイムトライアルで、スタートラインに並んでいたのはわずか5名。一体、何が起きたのでしょうか。
開幕TTTで起きた異変、そして混乱のスタート
ラ・ブエルタ・フェミニーナ2025は、美しいバルセロナを舞台にした8kmのチームタイムトライアルで幕を開けました。チームの総合力を試されるこの種目は、序盤の総合争いを大きく左右する重要なステージです。各チームが息を合わせ、高速で駆け抜ける姿は圧巻であるはずでした。
しかし、チーム ヴィスマ・リースアバイクのスタートは、普段私たちが目にするものとは全く異なる光景でした。チームのスタート時刻が迫る中、スタートランプに姿を見せたのは、登録メンバー7名のうち5名だけだったのです。
残り2名は？ 画面越しにも伝わるチームのざわめきと焦り。その直後、1名の選手が慌ててスタートランプに滑り込みましたが、チームメイトたちが既にペダルを踏み始めてから数秒遅れての合流でした。さらに驚くべきことに、もう1名の選手、イモージェン・ウォルフは、本来選手がスタートする場所ではなく、チームカーなどが待機するアクセスルートからコースに入らざるを得ませんでした。
この前代未聞とも言える混乱のスタートを経て、チーム ヴィスマ・リースアバイクは8kmのコースを走り終えました。結果はトップのLidl-Trekから21秒遅れの10位。このタイム差が、今後の総合争いにどう響いてくるのか、想像するだけでも胸が痛みます。
ポーリーヌ・フェランプレヴォの憤り、そしてチームの主張の裏側
レース直後、チームのエース格であるポーリーヌ・フェランプレヴォが自身のインスタグラムストーリーに投稿した言葉が、私の目に留まりました。「審査員は私たちのバイクチェック中に寝ていたのか？！！！私たちはバイクチェックの20分前に到着していたのに、2人の選手が時間通りにスタートできなかった」。この投稿は後に削除されましたが、彼女の強い憤りが伝わってきました。
SNSリサーチャーとして、この投稿が削除された背景や、その一瞬に込められた彼女の感情を読み解こうとしました。きっと、チームとして公式に抗議する前に、個人の感情があふれ出てしまったのかもしれません。あるいは、チームの戦略的な判断で削除に至った可能性もあります。いずれにせよ、この一件がチーム内に大きな動揺をもたらしたことは想像に難くありません。
その後、チーム ヴィスマ・リースアバイクは公式声明を発表し、UCIの競技役員に正式な抗議を行ったことを明らかにしました。チームの主張は明確です。「選手たちは義務付けられているバイクチェックのために十分早く到着していたにも関わらず、他のチームの到着遅れによって遅延が発生した。さらに、当初チェックを担当する役員が一人しかおらず、待ち時間が長くなった。その後二人目が配置されたが、その時にはすでにチーム ヴィスマ・リースアバイクは恩恵を受けられなかった。その結果、一部の選手はバイクを受け取るのが遅れ、スタートに間に合わなかった」。
チームは、競技役員側もスタート手順の組織にエラーがあったことを認めた、としています。しかし、それにも関わらず、この件に関して「これ以上の対応は行わない」と判断されたため、チームはUCIに対して正式な提訴を行う意向を示しました。
組織側のミスはどこまで許される？今後の行方は？
今回のチーム ヴィスマ・リースアバイクの主張が事実であれば、これは単なる選手の遅刻ではなく、レースを運営する組織側の手際や体制に問題があったということになります。バイクチェックは選手の安全と競技の公平性を保つために不可欠な手続きですが、その運用によって選手がスタートできないという事態は、あってはならないことです。
組織側がエラーを認めたとされるにも関わらず、タイムペナルティの免除やタイム調整といった措置が取られなかったのは、なぜでしょうか？ 過去にも機材トラブルやアクシデントでタイム調整が行われたケースはありますが、今回のケースは「組織側の手続きの遅れ」が原因とされており、その責任の所在が問われるべきでしょう。
この一件は、今後のUCIへの提訴によって、どのような展開を見せるのでしょうか。チーム ヴィスマ・リースアバイクが主張する組織側の過失が認められれば、レース結果に影響を与える可能性もゼロではありません。しかし、過去の例を見ても、レース中の出来事に対する判断が覆ることは稀です。
選手たちはこの混乱の中で、どんな気持ちでスタート台に立ち、そして走り始めたのでしょう。遅れてしまった選手たちの悔しさ、そして残りの選手たちの戸惑いや、それでもチームとして走り切ろうとする強い意志。SNSの投稿からは見えない、選手たちの心の機微に思いを馳せずにはいられません。
ラ・ブエルタ・フェミニーナはまだ始まったばかりです。この開幕戦での遅れが、チーム ヴィスマ・リースアバイクの総合戦略にどのような影響を与えるのか、そしてこの一件が今後のレース運営に一石を投じることになるのか、注視していきたいと思います。
皆さんは、この件についてどう思われますか？ ぜひコメントで教えてください。
