教皇フランシスコへの敬意示すバチカン訪問

来たるジロ・デ・イタリア2025。その最終ステージに、サイクルロードレースの歴史に刻まれるであろう異例のルートが組み込まれたのをご存知でしょうか？なんと、世界最小の独立国、バチカン市国をプロトンが駆け抜けるというのです。これは単なるコース変更ではありません。そこには、先週惜しまれつつ世を去ったフランシスコ教皇への深い敬意と、スポーツが持つ普遍的な力へのメッセージが込められているようなのです。

ジロ・デ・イタリア、異例のバチカン通過に秘められた想い

歴史を刻むバチカン市国への第一歩

2025年5月9日から6月1日まで開催される第108回ジロ・デ・イタリア。その最終日、6月1日のステージで、歴史的な瞬間が訪れます。ジロ史上初めて、プロトンがバチカン市国に足を踏み入れるのです。この異例のコース設定について、ジロの所有者であるRCSグループの会長、ウンベルト・カイロ氏は「フランシスコ教皇の死去後、非常に特別な瞬間になるだろう」と語りました。4月21日に88歳で亡くなられた教皇の死は、多くの人々に深い悲しみをもたらしました。サイクルロードレース界も例外ではありません。このバチカン通過は、単なる地理的な通過点ではなく、亡き教皇への追悼と敬意を表す、象徴的な行為となるのです。プロトンはバチカン市国の庭園を通り抜け、ペルージン門から再びローマ市街へと戻るルートが予定されているとのこと。想像するだけで、鳥肌が立つような厳かで美しい光景が目に浮かびますね。

教皇フランシスコとスポーツ、そしてジュビリー

このバチカン通過は、実は以前から計画されていたものでした。25年ごとに開催され、世界中から巡礼者が集まる「ジュビリー」（聖年）の一環として、スポーツイベントを通じた教会と人々の結びつきを深める目的があったのです。文化教育省長官のモンシニョール・ポール・タイ氏によれば、このバチカン市国へのコース設定を実現するための交渉は非常に困難を極めたそうですが、最終的に道を開いたのは、ほかならぬフランシスコ教皇のこのプロジェクトに対する熱意だったといいます。「へぇ～」と思いませんか？厳格なイメージのあるバチカン市国が、自転車レースのために門戸を開く。その背景には、教皇自身のスポーツへの深い理解と関心があったのです。過去にも、教皇がサッカーに言及したり、アスリートと交流する姿が報じられたりしていました。スポーツが持つ、国境や文化、そして宗教をも超える力。それを教皇はよく理解されていたのかもしれません。

「敬意」を超えたメッセージ

モンシニョール・ポール・タイ氏は、バチカン通過について、単に亡き教皇への敬意を示すだけでなく、「新しい教皇に、教会とスポーツの結びつきの現実と重要性に注意を払うよう伝える方法でもある」と述べています。これは非常に示唆に富む発言です。「なるほど！」と思いました。これは過去への追悼であると同時に、未来へのメッセージでもあるのですね。教会は、人々の精神的な支えであると同時に、社会の一員として、人々が健康で豊かな生活を送ることを願っています。スポーツは、まさにその一助となるものです。フェアプレーの精神、連帯、困難に立ち向かう力。サイクルロードレースという過酷なスポーツには、人生に通じる多くの教訓が含まれています。バチカン市国をプロトンが通過する光景は、世界に向けて、スポーツが持つポジティブな力と、それが社会に与える影響の大きさを改めて示す機会となるでしょう。

2025年ジロ全体の展望

バチカン通過という歴史的な最終ステージが待つ2025年のジロですが、レース全体も異例尽くしです。何と言っても、開幕地がイタリア国外、アルバニアでの3ステージというのも、ジロ史上初めてのことです。これもまた、ジロが国境を越え、より多くの地域にサイクルロードレースの魅力を届けようとする意欲の表れと言えるでしょう。総合優勝争いも、最終日前日のアルプス、ヴェッレスからセストリエールへの過酷な山岳ステージでクライマックスを迎える可能性が高く、目が離せません。そして、その翌日の最終ステージは、通常通りローマ市街を巡るコース。今回はそこにバチカン市国への立ち寄りが加わります。最終ステージはスプリンター向きと見られていますが、バチカン通過という特別なシチュエーションが、選手たちの心にどのような影響を与えるのかも興味深いところです。

最終日、ローマの市街地を駆けるプロトンが、厳かなバチカンの敷地を通過する瞬間。それは、単なるレースの風景としてだけでなく、亡き教皇への追悼と、スポーツの持つ平和や連帯といったメッセージが込められた、感動的なシーンとなるに違いありません。「そうだったのか！」と背景を知ると、観戦する視点も変わってきますね。果たして、この歴史的なステージで、どのようなドラマが生まれるのか。今から待ちきれませんね！