ジロ・デ・イタリア、タイムトライアル：アフィニはアズーリの切り札

山田 健一です。ジロ・デ・イタリアもいよいよ後半戦に差し掛かり、休息日を終えて再び戦いが始まりますね。第10ステージは多くの選手、そしてファンが注目する個人タイムトライアル。ここまでのレース展開を踏まえつつ、この重要なステージを展望してみましょう。

ジロ後半戦の幕開け！イタリア勢の希望、アッフィニに注目

ジロ・デ・イタリア第108回大会は、最初の9ステージを終えて2度目の休息日を消化しました。ここまでのところ、イタリア勢はまだステージ優勝を手にできていません。母国開催のグランツールで、これは少し寂しい状況と言えるでしょう。そんな中、休息日明けの第10ステージは、ルッカからピサまでの28.6kmで行われる個人タイムトライアル。このステージで、イタリア勢の待望の勝利を担う最大の希望がいます。その名は、エドアルド・アッフィニ。チーム ヴィスマ・リースアバイクに所属する28歳のスペシャリストです。

ガゼッタ・デッロ・スポルト紙も彼を「アッズーラ（イタリア代表）の切り札」と称しており、その期待の大きさが伺えます。現ヨーロッパ選手権タイムトライアル王者であり、世界選手権でも銅メダルを獲得している実力者。フラット基調と思われるルッカからピサへのコースは、彼のようなパワフルなルーラーにとって絶好の機会となるはずです。

スペシャリストが語る勝負の鍵

エドアルド・アッフィニ自身も、このタイムトライアルに並々ならぬ意欲を見せています。現地での取材を通じて伝わってくるのは、彼がこのステージに照準を合わせているということ。第1ステージのティラナでのタイムトライアルでは4位でしたが、彼は「ティラナの試練に比べて、このコースは自分により合っている」と語っています。

しかし、休息日明けというタイミングがどう影響するか。選手たちのコンディションは休息の質によって大きく左右されます。アッフィニも「休息日明けにどう反応するか、皆がどう反応するかを見なければならない」と慎重な姿勢を見せつつも、「最大限を尽くして（勝利を）持ち帰る」と力強く宣言しています。その声のトーンからは、自信と同時に、このチャンスを絶対にモノにするという強い意志が感じられました。

最新機材と驚異のギア比

タイムトライアルでは、選手のコンディションやコース特性はもちろん、機材も勝敗を分ける重要な要素です。エドアルド・アッフィニは、このTTで新しいサドル、PrologoのPredator 01ttを使用すると明かしています。彼は「その背後には多くの作業があった」「快適でパフォーマンスも良い」と、新しい機材への手応えを語っています。TTバイクにおけるサドルは、空気抵抗の少ない前傾姿勢を長時間維持するために非常に重要であり、選手にとって最適なものを見つけるのは容易ではありません。チーム ヴィスマ・リースアバイクとサプライヤーが積み重ねてきた開発の成果が、このステージで試されるわけです。

そして、彼が明かしたギア比には驚かされました。フロントは68T！リアは10-28Tとのこと。「いつものように、プッシュするTTだ」という言葉通り、ルッカからピサまでのコースが、いかにハイスピードで踏み続けられるレイアウトであるかがこのギア選択から読み取れます。時速50km/hを超えるような高速巡航が求められるのでしょう。この驚異的なギアを回し切るアッフィニのパワーに、ぜひ注目したいところです。

イタリアTTの系譜とアッフィニの可能性

イタリアのサイクルロードレース界には、フランチェスコ・モゼール、ジャンニ・ブンニョ、アンドレア・キアップッチ、そしてフィリッポ・ガンナといった偉大なタイムトライアルスペシャリストの系譜があります。エドアルド・アッフィニもまた、この系譜に連なる存在として期待されています。

今回のルッカ-ピサTTは、彼にとって母国開催のジロでその実力を世界に示す絶好の機会です。もし彼がここで勝利を挙げれば、イタリア勢に大きな勢いをもたらすだけでなく、今後のグランツールにおける彼の立ち位置もさらに確固たるものになるでしょう。チーム ヴィスマ・リースアバイクとしても、ここまで総合エースのプリモシュ・ログリッチが移籍し、新たな体制で臨むジロにおいて、ステージ優勝はチームの士気を高める上で非常に価値があります。

果たして、エドアルド・アッフィニはイタリアに待望のステージ優勝をもたらすことができるのか。ルッカからピサへ、彼が刻むタイムに注目です。そして、このタイムトライアルが、ジロ全体の総合争いにどのような影響を与えるのか。後半戦の戦いから、ますます目が離せません！