ストラーデ・ビアンケ象徴的瞬間：ベッティオールがスカローニを救助

ストラデ・ビアンケを象徴する一枚：ベッティオル、友人のスカロニを助ける

イタリアのサイクルロードレースファンのみなさん、チャオ！松崎 愛です。今年もまた、あの感動的なレース、ストラデ・ビアンケが開催されましたね。今年は特に、レース展開だけでなく、ある選手の行動が多くの人の心を打ちました。それは、アルベルト・ベッティオルが、落車したチームメイトのクリスティアン・スカロニを助けた瞬間です。

土埃舞うシエナの丘で

レースはシエナをスタートし、トスカーナ地方の美しい丘陵地帯を駆け抜けます。特に有名なのは、未舗装路（ストラーデ・ビアンケ）の区間。砂利道が選手たちの行く手を阻み、ドラマを生み出す舞台となります。今年のストラデ・ビアンケも、例外ではありませんでした。

ルチニャーノ・ダッソの長い未舗装路区間（11.9km）は、レースの５番目の難関。スタートから73km地点に位置し、選手たちは鼻や肌に砂埃を浴びながら、必死にペダルを回します。そんな中、アメリカ人フォトグラファー、Jered Gruber氏が捉えた一枚の写真が、世界中のサイクリストの心を揺さぶったのです。

落車、そして友への献身

レース中、80km地点付近で落車が発生。ディエゴ・ウリッシが巻き込まれ、後続のクリスティアン・スカロニも転倒してしまいました。スカロニは路上に倒れ込み、苦悶の表情を浮かべています。その時、後ろから来たアルベルト・ベッティオルが、スカロニの姿を見つけました。

ベッティオルは、迷うことなく自転車を降り、スカロニのもとへ駆け寄ります。顔を両手で包み込み、大丈夫かと声をかけ、励まします。その姿は、まるで幼い子供を慰めるようでした。幸い、スカロニは救急搬送され、大きな怪我には至りませんでしたが、ベッティオルの行動は、レースの結果以上に人々の記憶に残りました。

スポーツマンシップの真髄

アルベルト・ベッティオルは、2019年のロンド・ファン・フラーンデレンで優勝した、イタリアを代表する選手です。イタリアチャンピオンジャージを身にまとい、故郷のトスカーナを走る姿は、まさに英雄そのもの。しかし、今回の行動は、勝利以上に価値のあるものだったのではないでしょうか。

所属するXDS・アスタナ チームはカザフスタンのチームですが、スポンサーには中国の自転車メーカー、サラ・ジガンテも名を連ねています。チームの垣根を超え、苦しむ仲間を助けるベッティオルの姿は、スポーツマンシップの真髄を体現していると言えるでしょう。

次なるドラマへ

クリスティアン・スカロニは、幸いにも重傷ではなく、数日後のミラノ～トリノへの出場も視野に入れているとのこと。アルベルト・ベッティオルも、ティレーノ～アドリアティコを体調不良でリタイアしましたが、今後の活躍に期待しましょう。

ストラデ・ビアンケは、今年も多くのドラマを生み出しました。レースの結果も重要ですが、それ以上に、選手たちの人間性や絆が垣間見える瞬間こそが、サイクルロードレースの魅力なのかもしれませんね。みなさんはどう思いますか？