ベッティオル、ロマンディでレース復帰へ 火曜日から

自転車の鼓動、その声に耳を澄ませるメカニック、松田 翔太です。プロチームの現場で選手や機材と向き合ってきた経験から、レースの裏側にある物語、そして機材が語る真実を、日本のサイクリングファンの皆さんにお届けします。

イタリア王者の復帰、そして気になる「あのレース」への道筋

待ちわびていた方も多いのではないでしょうか。イタリアチャンピオンの証であるトリコローレジャージを纏う アルベルト・ベッティオル 選手（XDS・アスタナ チーム）が、ついにレースに復帰します。彼が次に姿を見せるのは、スイスで開催されるワールドツアーのステージレース、ツール・ド・ロマンディ。火曜日から始まるこの短い戦いには、レムコ・エヴェネプール 選手といった強豪も名を連ねており、復帰戦としては最高の舞台、いや、ある意味で試金石となる厳しいレースになるでしょう。

肺感染症との戦い、北のクラシックを欠場した無念

アルベルト・ベッティオル 選手が最後にレースを走ったのは、4月2日のドワーズ・ドール・フラーンデレンでした。あのレースを途中棄権して以来、彼の姿はパドックから消えていました。原因は肺の細菌感染症。これが原因で、彼が得意とする北のクラシック戦線、特に彼が2019年に優勝したロンド・ファン・フラーンデレン（ツール・デ・フランドル）を欠場せざるを得なかったのです。選手にとって、コンディション不良で目標としていたレースに出られないことほど辛いことはありません。機材も最高の状態に仕上がっていたはず。その機材を駆る選手が不在というのは、メカニックとしても胸が締め付けられる思いです。ファンもきっと心配していたはずです。

ジロ・デ・イタリアへの視界は開けるのか？

そして、ファンが最も注目しているのは、5月9日にアルバニアのドゥラスで開幕するジロ・デ・イタリアへの参加です。しかし、現時点ではまだ「不確定」とのこと。ツール・ド・ロマンディでの彼のパフォーマンスが、ジロへのゴーサインを出すかどうかの判断材料になるようです。長期間の離脱からの復帰戦で、すぐにビッグレースのレベルにまでコンディションを戻すのは至難の業。体調が万全ではない中で、選手は普段以上に自分の体と機材からのフィードバックに敏感になっているはずです。メカニックとしては、選手の微細な変化を感じ取り、最高のフィーリングを引き出すための機材調整が求められる、非常にデリケートな時期と言えます。

ロマンディでの走りに注目！

ツール・ド・ロマンディは、山岳もタイムトライアルも含まれる総合力が試されるレースです。ここで アルベルト・ベッティオル 選手がどのような走りを見せるのか、そして彼のコンディションがどこまで回復しているのか。イタリアチャンピオンが、再び世界の舞台で輝きを取り戻せるのか、その第一歩をしっかりと見届けたいと思います。そして、ジロ・デ・イタリアへの出場が叶うのかどうか、ロマンディでの彼の走りに注目しましょう。