ポガチャル、ドーフィネ初戦をスプリントで制す

タデイ・ポガチャルがクリテリウム・デュ・ドーフィネ開幕戦でスプリント勝利！ヨナス・ヴィンゲゴー、マティユー・ファンデルプールを抑える快挙

ツール・ド・フランスの前哨戦として、毎年世界中のサイクルロードレースファンが固唾を飲んで見守るクリテリウム・デュ・ドーフィネ。その2025年大会の開幕戦で、まさかの、そして誰もが息をのむようなスプリント決着が繰り広げられました。ジロ・デ・イタリアを圧倒的な力で制したばかりのタデイ・ポガチャルが、ライバルであるヨナス・ヴィンゲゴー、そしてスプリントのスペシャリストであるマティユー・ファンデルプールといった超一流の強豪たちを抑え、見事なステージ優勝を飾ったのです。これは今年の夏、サイクリング界にどんなドラマが待ち受けているのかを予感させる、まさに圧巻の走りでしたね。

開幕戦から激震！小規模な登坂が火種に

ドメラからモンリュソンまでの196km。一見すると平坦基調に見えるこの開幕ステージに、ひっそりと隠されていたのが、最終盤に登場する「コート・ド・ビュフォン」という小さな登坂でした。全長600m足らず、平均勾配8.8%という、言ってみれば「ちっぽけな」上り。しかし、この小規模な登坂が、まさかこれほどまでのドラマを生む火種となるなど、誰が予想したでしょうか。

この日、タデイ・ポガチャルは序盤からその存在感を示していました。最初の「コート・ド・ビュフォン」通過時には、EFエデュケーション・イージーポストのアーチー・ライアンが仕掛けたアタックを、ポガチャル自身が先頭で吸収する場面も。その積極性が、レースの終盤に決定的な影響を与えることになります。そして、残り6km地点、最後の「コート・ド・ビュフォン」でアルペシン・ドゥクーニンクのアクセル・ローランスが思い切ったアタックを仕掛けた瞬間、まさに「制御不能な爆発」が起こったのです。

頂上アタック、そして「サイクリング界の巨人」たちの共演

アクセル・ローランスのアタックに対し、驚くべきことにヨナス・ヴィンゲゴーが反応し、強烈なアタックを仕掛けました。すると、そこにぴったりとタデイ・ポガチャルが追随。さらに、マティユー・ファンデルプールがその動きに乗り、サンティアゴ・ブイトラゴを引き連れて合流します。極めつけは、少し遅れてはいたものの、レムコ・エヴェネプールまでもがこの先頭集団に加わったのです。

この「サイクリング界の巨人」たちが集結した先頭グループの形成は、後続集団に大きな混乱と疑念を生みました。特に、この日のために懸命に牽引してきたリドル・トレックは、まさかの誤算に直面し、集団の統制が崩れてしまいました。先頭では、レムコ・エヴェネプールが牽引を要求すると、ヨナス・ヴィンゲゴーが自ら先頭に出て力強くローテーションを回し、集団のリードを広げていきました。彼らの表情からは、このステージを何としても取りたいという強い意思が伝わってきましたね。まさに、グランツールを戦うチームの力学と、選手個々のプライドがぶつかり合う瞬間でした。

驚愕のスプリント！ポガチャルの新たな一面とファンデルプールの誤算

そして、最終局面。残り500mを切ったところで、マティユー・ファンデルプールが満を持してスプリントを仕掛けました。しかし、これは彼にとって、過去にも見られた「早すぎる発射」となってしまいました。かつてビニヤム・ギルマイが勝利を収めたレースのように、ファンデルプールのスプリントは、後ろにぴったりと張り付いていたタデイ・ポガチャルにとって、絶好の「発射台」となってしまったのです。

ポガチャルは、この誘いを断る理由などありません。完璧なタイミングでファンデルプールを差し切り、見事にフィニッシュラインを駆け抜けました。そのすぐ後ろにはヨナス・ヴィンゲゴーが食らいつき、ファンデルプールは惜しくも3位。ポガチャルがスプリントで、しかもこれほどの強豪たちを相手に勝利を収めるとは、まさに驚きの一言です。彼の持つ無限の可能性を改めて見せつけられた、そんな瞬間でしたね。

初日を終えて早くもマイヨ・ジョーヌを獲得したタデイ・ポガチャル。翌日も、複数の3級、4級山岳を越え、最後はコート・ド・ノネットの短い上りでフィニッシュする、起伏に富んだステージが控えています。果たして、ヨナス・ヴィンゲゴーは昨日の借りを返すことができるのか、それともポガチャルが連勝を飾り、さらにリードを広げるのか。今年のツール・ド・フランスを占う上で、これほど刺激的な幕開けはありません。サイクリング界の「巨人」たちが繰り広げる夏の激闘から、片時も目が離せませんね！