ジュリアン・ピノ：「ポガチャルはすべてを兼ね備えている」

フレッシュ・ワロンヌ直前分析：ユイの壁を制する「ハイブリッド」の時代が到来した！

こんにちは、松崎 愛です！世界中を飛び回る（気分で）日々、またしても胸が高鳴るクラシックレースの季節がやってきましたね。そう、アルデンヌクラシックの真髄とも言える「フレッシュ・ワロンヌ」が目前に迫っています！特に注目すべきは、フィニッシュ地点に待ち受ける悪名高き「ユイの壁」。あの強烈な急勾配を誰が制するのか、今から想像するだけでゾクゾクします。

今回の記事では、Groupama-FDJのトレーニングディレクター、ジュリアン・ピノ氏の興味深い分析を紐解きながら、現代ロードレース、そしてユイの壁を攻略するための理想的な選手像について深く掘り下げていきたいと思います。「なるほど！」「へぇ～」と思っていただける情報満載でお届けしますよ！

パンチャーとは？ユイの壁に求められる特殊能力

ピノ氏はまず、フレッシュ・ワロンヌが「パンチャーの楽園」と呼ばれる所以について語っています。パンチャーとは、1分から4分程度の短くも強烈な、最大出力に近いアタックを得意とする選手のこと。ユイの壁は距離こそ1.3kmと短いものの、平均勾配は9.6%、最大勾配は26%にも達するまさに「壁」。これを駆け上がるのに要する時間は3分弱、まさにパンチャーが輝くための舞台設定と言えるでしょう。

しかし、今年のコースは例年より少しタフになっているとのこと。距離が205kmと他のクラシックよりは短いものの、ユイの壁を複数回上ることで、単なる一発屋ではない、繰り返しの強度に耐えうる能力も求められます。ピノ氏曰く、ここで勝つには高いPMA（最大有酸素パワー）はもちろん、**「大きな乳酸生成能力」と「それを再利用する能力」**が非常に重要になってくるのだそうです。

「へぇ～」、筋肉繊維の話も面白いですね。パンチャーは速筋繊維の中でも特にタイプIIaが多い傾向にあるとのこと。これは速く、かつ疲労にもある程度強いという、まさにユイの壁にうってつけの特性。タイプIの遅筋繊維だけでは瞬発力が足りず、タイプIIbの速筋繊維だけでは最後まで持たない。その絶妙なバランスがパンチャーには不可欠なのです。

現代のトップ選手は「全てを兼ね備えたハイブリッド」

では、ピュアなクライマーはユイの壁で通用しないのでしょうか？ピノ氏は「ピュアすぎるクライマーには少し短すぎるかもしれない」と指摘します。クライマーは通常、10分から30分といったより長い登坂、そしていくつもの峠を越える繰り返しに強いタイプ。ユイの壁のような「短い激坂」は、彼らの得意とする領域とは少し異なるようです。

「確かに！」。ここからが現代ロードレースの核心だと私は思います。ピノ氏は続けます。「しかし、今日のタデイ・ポガチャルのような選手は、全てを兼ね備えている。彼らはパンチャーであり、クライマーでもある」。さらに、レムコ・エヴェネプールと共にタイムトライアルでも勝利を収める彼らは「ルーラー（平坦での独走力に優れる選手）」でもあり、高いエンデュランス（持久力）も持っている。そして体重とパワーのバランスが良い（パワーウェイトレシオが高い）からクライマーとしても優れ、加えて「ハイパーパンチャー」でもあると。

「そうだったのか！」。彼らは無酸素運動能力が非常に高く、それが疲労した状態からのスプリントにも繋がっている、とピノ氏は分析します。つまり、現代のトップ選手は、かつてのように「パンチャー」「クライマー」「ルーラー」「スプリンター」といったカテゴリーに綺麗に収まるのではなく、これらの要素を高いレベルで「ハイブリッド」している。だからこそ、どんなコースでも、どんな展開でも勝てる可能性を秘めているのです。

グルパマ・FDJの若き才能たちとユイの壁

ピノ氏が所属するGroupama-FDJにも、将来を嘱望される若手選手がいます。彼が「真のパンチャー」として名前を挙げたのが、ティボー・ネイス。彼は「大きな乳酸生成能力と、それを再利用する能力」に優れているとのこと。特に体重が65kg前後と軽く、あの急勾配では「ロケットのようなパワーウェイトレシオ」を発揮すると評価しています。そういえば、マティアス・スケルモースも「ティボー・ネイスだけがユイの壁の頂上でタデイ・ポガチャルを倒せる可能性がある」と語っていましたね。期待が高まります！

ロマン・グレゴワールもこのタイプの選手の中で際立った能力を持っているとのこと。一方、レニー・マルティネスについては、彼はクライマータイプだが、ユイの壁のような急勾配では体重の軽さが有利に働く可能性があるとしながらも、3分弱という短さは彼にとって少し短いかもしれない、と見ています。長い登りではマルティネスがグレゴワールを上回る可能性もある、とのこと。チーム内の選手たちの特性をこうして分析するのは、なんだか裏側を見ているようで面白いですね。

重量級パンチャーにとってのユイの壁

では、パンチャーとしての能力は高いけれど、体重のある選手はどうでしょうか？ピノ氏は、ファン・デル・プールやワウト・ファンアールトの名前を挙げます。彼らはスプリントや爆発力、乳酸への耐性など、パンチャーに必要な要素を高く持っているものの、ユイの壁のような「急勾配」では体重が大きなハンデになると言います。

「確かに！」。フィリッポ・ガンナやシュテファン・キュングのような、3分程度の独走タイムトライアルでは怪物的なパワーを発揮する選手も、ユイの壁の急勾配には苦労するでしょう。体重が重いほど、重力に逆らって坂を上るためのパワーがより多く必要になる。ユイの壁は、純粋なパワーだけでなく、パワーウェイトレシオが極めて重要になるコースなのです。

次なるユイの壁の覇者は？そしてロードレースの未来は？

ジュリアン・ピノ氏の分析は、現代ロードレースの進化、特にタデイ・ポガチャルに代表されるような「ハイブリッド」選手の台頭を浮き彫りにしています。パンチャー、クライマー、ルーラー…それぞれの能力を兼ね備え、あらゆる局面に対応できる選手が、クラシックからグランツールまでを席巻する時代。

今年のフレッシュ・ワロンヌ、ユイの壁では、果たしてタデイ・ポガチャルがその「全てを持っている」強さを見せつけるのか、それともティボー・ネイスのような個性派パンチャーが新たな歴史を作るのか。あるいは、記事には名前が出ていませんが、他の「ハイブリッド」候補がサプライズを見せてくれるのか。予想するだけでワクワクが止まりません！

この分析を聞くと、今後のロードレースがどんな選手を生み出し、どんな戦術が主流になっていくのか、ますます楽しみになりますね。次はどんな「なるほど！」に出会えるのでしょう？またレース会場や、この記事でお会いできるのを楽しみにしています！