パンチャーかクライマーか：勝つのは誰か？

皆さん、こんにちは！ 松崎 愛です。世界中の自転車レースを追いかける日々ですが、特にクラシックレースの時期は興奮が止まりませんね！ 今回注目するのは、ベルギーのアルデンヌ地方で開催される「フレッシュ・ワロンヌ」。水曜日に迫ったこの一戦、一体誰が勝つのか、今から胸が高鳴っています！

ユイの壁で激突！ フレッシュ・ワロンヌ、パンチャー、クライマー、ハイブリッド…頂上を制するのは誰だ？

アルデンヌ・クラシックの中でも異彩を放つのが、このフレッシュ・ワロンヌです。コース全体にアップダウンが散りばめられていますが、勝負の全ては最後の「ユイの壁」にかかっていると言っても過言ではありません。たった1.3kmの短い距離に平均勾配9.6%が凝縮されたこの激坂は、まさにクライマーたちの肺を焼き、パンチャーたちの脚を痙攣させるほどの難所。ここで誰よりも速く、誰よりも強く踏み切れるか。選手たちのタイプによって、この壁へのアプローチも、そして適性も大きく変わってきます。過去のデータと今年の出場選手から、ユイの壁を制する可能性のある3つのタイプに分けて分析してみましょう！

本命はやっぱり「パンチャー」勢か

フレッシュ・ワロンヌの歴代優勝者を見渡すと、やはり「パンチャー」と呼ばれるタイプの選手たちが圧倒的に多いことが分かります。ユイの壁のような、短く急勾配の坂を explosive に駆け上がる能力は、まさに彼らの真骨頂。他のアルデンヌ・クラシックのように長い登りや標高差が少なく、最後の短い爆発力で決まるフレッシュ・ワロンヌは、パンチャーにとって最も力を発揮しやすい舞台なのです。

今年の出場選手の中にも、過去にユイの壁の頂上で勝利の雄叫びを上げたパンチャーたちが名を連ねています。チューダーに所属するジュリアン・アラフィリップは、なんと3度もこのレースを制覇した実績を持つスペシャリスト。そして、同じくチューダーのマルク・ヒルシも2020年の覇者です。さらに、2022年にあのレジェンド、アレハンドロ・バルベルデの6勝目を阻んだディラン・トゥーンス（コフィディス）も虎視眈々と勝利を狙っていることでしょう。

近年このレースで安定した強さを見せている選手たちもパンチャータイプに集中しています。昨年の大会でスティーブン・ウィリアムズに次ぐ2位に入ったアルケア・B&Bホテルズのケヴィン・ヴォークランや、3位だったレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ Bull-Boraのマキシム・ファンヒルスも、今年もポディウム候補に挙げられます。彼らは短い急坂でのアタックに長けた、まさにユイの壁向きの選手と言えるでしょう。

ベテラン勢では、マイケル・マシューズやティシュ・ベノートといった選手たちが、その経験とパンチ力で若手に道を指し示す存在となるかもしれません。そして、今まさに勢いに乗る新世代のパンチャーたちからも目が離せません。22歳にしてユイの壁デビューとなるティボー・ネイス、昨年の初出場でそれぞれ7位、18位と健闘したフランス期待の若手、ロマン・グレゴワールとアクセル・ローランス。彼らが経験豊富なベテランや絶対王者たちを相手に、どんな走りを見せてくれるのか、非常に楽しみですね！

侮れない「クライマー」たちの挑戦

フレッシュ・ワロンヌは一般的にピュアクライマーには不利なコースレイアウトとされています。長い山岳での持続的な力比べではなく、一瞬の爆発力が求められるからです。しかし、過去には純粋なクライマーがユイの壁を制した例も確かに存在します。2013年のダニ・モレノ、2012年のホアキン・ロドリゲス、そして2010年のカデル・エヴァンスといった名だたるクライマーたちが、このレースで栄冠を掴んでいます。

現代のクライマー勢の中で、最もユイの壁に近い場所まで来たのは、2023年にタデイ・ポガチャル、マティアス・スケルモースに次ぐ3位に入ったミケル・ランダでしょう。彼は山岳でのポディウム回数こそ圧倒的に多いですが、このユイの壁のような短い急坂でのフィニッシュでも4度のポディウム経験があります。昨年の大会では、コロンビアのクライマー、サンティアゴ・ブイトラゴが5位、フランスのクライマー、ギヨーム・マルタンが10位に入るなど、クライマーでもトップ10に食い込むことは十分に可能です。

かつてユイの壁で80位だったベン・オコーナーも、キャリアを積んで再びこのレースに挑みます。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのような長いレースを得意とする彼が、短いユイの壁でどのような走りを見せるのか。彼のような純粋なクライマーが、パンチャーやハイブリッド勢を相手にどこまで食い込めるのかは、今年の注目ポイントの一つと言えるでしょう。

全能型「ハイブリッド」が新時代を築く

そして、近年クラシックレース戦線で最も存在感を放っているのが、パンチャーとクライマー、両方の特性を高いレベルで併せ持つ「ハイブリッド」タイプの選手たちです。彼らはフランドル地方の石畳の丘も、アルデンヌ地方の急坂も、そしてグランツールの長い山岳も全てこなしてしまう、まさに自転車界の「全能型」アスリート。

その代表格が、2023年のフレッシュ・ワロンヌ覇者でもあるタデイ・ポガチャルです。彼は山岳でのポディウム回数が圧倒的に多い一方で、フレッシュ・ワロンヌのような短い急坂でのフィニッシュでも18回ものポディウム経験を持つ、まさにこのタイプのレースの「子供じみた天才」と言えるでしょう。彼がユイの壁で再び圧倒的な力を見せるのか、注目が集まります。

昨年のこのレースでポガチャルに次ぐ2位に入り、先日開催されたアムステル・ゴールドレースでも優勝したマティアス・スケルモースも、このハイブリッドタイプ。アムステル・ゴールドレースのコースは彼にとって必ずしも得意な地形ではないと語っていましたが、それでも勝利を掴むあたり、その総合力の高さが伺えます。ユイの壁でも、アムステルでの勢いそのままに好成績を残す可能性は十分にあります。

もう一人の全能型スーパースター、レムコ・エヴェネプールもこのカテゴリに入ります。彼はリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを得意としていますが、近年山岳でのレベルも向上しつつ、持ち前の爆発力は健在です。怪我からの復帰戦となったブラバンツ・パイルを経て、アムステル・ゴールドレースでの走りも上々。ユイの壁には2022年に一度だけ出場し43位という結果でしたが、その5日後にはリエージュで初優勝を飾っています。今年の彼のコンディションとモチベーションは非常に高く、ユイの壁でどんな走りを見せるのか、目が離せません！

その他にも、エンリク・マスや、フレッシュ・ワロンヌ初出場となる若手クライマーの星、レニー・マルティネス、そしてパヴェル・シヴァコフといった選手たちも、このハイブリッドカテゴリに含まれるでしょう。彼らがユイの壁でどれだけ力を発揮できるか、非常に興味深いところです。

ユイの壁という、たった1.3kmの短い距離に全てを賭けるフレッシュ・ワロンヌ。パンチャーの爆発力か、クライマーの粘り強さか、それともハイブリッドの総合力か。過去の戦術やデータはもちろん重要ですが、当日のコンディション、レース展開、そして何よりも選手の「勝ちたい」という強い気持ちが、この壁での勝負を左右します。SNSでも「ジュリアン・アラフィリップにもう一度勝ってほしい！」や「若いレニー・マルティネスやティボー・ネイスがベテランを驚かせるかも！」といった声が飛び交い、ファンの期待も高まっていますね。

果たして、水曜日にユイの壁の頂上で腕を突き上げるのは誰なのでしょうか？ 次のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに向けて、選手たちのコンディションを占う上でも非常に重要な一戦となります。世界中のレース情報を見つめる私の目も、このユイの壁に釘付けです！皆さん、一緒にこの熱狂を楽しみましょう！