リエージュ～バストーニュ～リエージュ：活躍誓う4人の伏兵

フレッシュ・ワロンヌで見えた光と影〜ポガチャル包囲網はリエージュで機能するか？〜

フレッシュ・ワロンヌ、男子レース。今年も「ユイの壁」が牙を剥きましたね！あの激坂を駆け上がる選手たちの姿を見ていると、心臓がバクバクしてしまいます。そして、そこで圧倒的な力を見せつけたのが、やはりこの男、タデイ・ポガチャルでした。単独アタックで後続を寄せ付けず、まさに王者の走り！「なるほど！やっぱりポガチャルは別格だな」と唸ってしまった日本のファンも多かったのではないでしょうか。

でもね、皆さん。今回のフレッシュ・ワロンヌは、ただポガチャルの強さを見せつけるだけのレースではなかったんです。その背後で、来るべき「ラ・ドワイエンヌ」、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでの逆襲を虎視眈々と狙う男たちの姿が、確かに見えました。リアルタイムで世界中のレースを追い続ける私の目には、彼らの言葉の端々、走りの中に、リエージュへの強い決意が宿っているのが分かったんです。今回は、フレッシュ・ワロンヌを終えて、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでタデイ・ポガチャルに挑むであろうライバルたちの「今」に迫ってみたいと思います。

エヴェネプール、ユイの壁は"力試し"？リエージュへの絶対的自信

フレッシュ・ワロンヌで9位という結果に終わったレムコ・エヴェネプール。アムステル・ゴールドレースで3位に入り、フレッシュ・ブラバンソンでは優勝と、アルデンヌクラシックに向けて調子を上げてきているように見えた彼にとって、少し物足りない結果だったかもしれません。ユイの壁の麓まで、チームメイトが彼を良い位置に導こうと懸命に牽引していた姿が印象的でした。しかし、最後の急勾配でタデイ・ポガチャルのアタックに反応することはできませんでした。

レース後、レムコ・エヴェネプールは「勝利を目指すために必要な爆発力がなかった」と正直に語っています。あの短いながらも異常な勾配を持つユイの壁は、彼の得意とする地形ではないのかもしれません。しかし、彼はすぐにこう付け加えました。「今は日曜日のリエージュに集中している」。この言葉に、彼の真意が隠されていると私は見ています。2022年、2023年とリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを連覇しているレムコ・エヴェネプールにとって、あの長く続く登りが連続するコースはまさに「庭」同然。ユイの壁はあくまでリエージュに向けた「力試し」であり、本命は「ラ・ドワイエンヌ」であるという強いメッセージを感じました。「確かに！」と膝を打ったファンもいるでしょう。リエージュのコースを知り尽くした彼が、ホームでタデイ・ポガチャルにどう挑むのか。今からゾクゾクしますね！

ピドコック、苦手なレースでの手応えが導く「確信」

フレッシュ・ワロンヌで3位表彰台を獲得したトム・ピドコック。彼自身、「みんなに得意なレースだと言われるけど、僕はそう思ったことがない」と語るように、決して得意ではなかったはずのレースでのこの結果は、大きな意味を持つと私は分析しています。特に、寒くて雨もぱらつくようなコンディションは、彼があまり好まないと言われる状況でした。それでも、過去最高順位（2021年の6位）を大きく上回る3位に入ったことは、彼のコンディションが着実に上がっている証拠と言えるでしょう。

「寒さには苦しんだけど、今回は調子が良かった」という彼の言葉からは、率直な驚きと同時に、リエージュに向けての確かな手応えが感じ取れます。「この数週間、この日のために懸命にトレーニングしてきた。これまでのレース結果には表れていなかったかもしれないけれど、リエージュでのビッグレースに向けて、今は自信がある」。彼のこのコメントを聞いて、「へぇ～、ピドコックもリエージュで仕掛けてくるのか！」と思ったファンもいるはずです。フレッシュ・ワロンヌでの3位という結果は、彼にとって最高の弾みになったことは間違いありません。タデイ・ポガチャルという絶対王者を崩すための「プラン」を、彼はこの4日間で練り上げてくるはずです。どんなサプライズを見せてくれるのか、期待が高まりますね！

グレゴワールとヒーリー、若き才能の「野心」と「大胆さ」

そして、フレッシュ・ワロンヌで存在感を見せたのが、若き才能たちです。Groupama-FDJのロマン・グレゴワールは7位。先週のアムステル・ゴールドレースに続くワールドツアーレースでの連続トップ10入りです。でも、彼は満足していません。「まだ力は残っていた。もっとやれたはずだ」。この言葉には、悔しさと同時に「トップ10に入れることは分かった。次はもっと上を目指せる」という確かな野心が込められています。昨年24位だったリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに、今年は万全のサポート体制で臨む Groupama-FDJ。チームメイトの献身的な走りに「怒りがこみ上げてくる」とまで表現した彼は、リエージュで「大きな一撃」を放つことを誓っています。

同じく、ユイの壁で5位に入ったのが、ベン・ヒーリーです。彼はユイの壁のような短い登りよりも、リエージュのような長く続く登りの方が得意なタイプ。「今日はタデイについていける選手はいなかった。頂上まで苦しかったけど、良い結果が出せた」と謙虚に語る彼ですが、2023年のリエージュでは4位に入っている実績があります。フレッシュ・ワロンヌでの5位という「サプライズ」は、リエージュに向けての良い兆候かもしれません。彼の持ち味は何と言ってもその「大胆さ」。タデイ・ポガチャルを驚かせるには、常識にとらわれない走りが求められます。若手ならではの勢いと大胆さで、レースをかき乱してくれることを期待しましょう！

ヴォークラン、驚きの2位！新星の輝き

そして、フレッシュ・ワロンヌ最大のサプライズと言えば、2位に入ったケヴィン・ヴォークランでしょう。「ポガチャルの後ろで2位なんて、信じられない」と語った彼の言葉が、全てを物語っています。正直、多くのファンがユイの壁での優勝争いをタデイ・ポガチャル、レムコ・エヴェネプール、トム・ピドコックといったビッグネームで想像していた中で、彼のこの結果はまさに「そうだったのか！」という驚きを与えてくれました。

彼はユイの壁をどう登ったのか？ 後方からじわじわと順位を上げ、最後の最後でライバルたちをかわして2位に滑り込みました。これは、彼が持つスタミナと、ユイの壁のような特殊な登りにも対応できる対応力の証です。アムステル・ゴールドレースでもトップ10に入っており、今シーズン絶好調の彼。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでも、この勢いを持続させることができるのか？ 新たな才能の輝きから、目が離せません。

締めくくり：リエージュで「ラ・ドワイエンヌ」の歴史が動く

フレッシュ・ワロンヌという前哨戦を終え、いよいよ迎えるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。タデイ・ポガチャルの圧倒的な強さが見せつけられた一方で、レムコ・エヴェネプール、トム・ピドコック、ロマン・グレゴワール、ベン・ヒーリー、そしてケヴィン・ヴォークランといった強力な挑戦者たちが、それぞれの思いを胸に「ラ・ドワイエンヌ」に臨みます。

リエージュのコースは、ユイの壁とは全く異なります。長い丘が連続し、特に終盤のラ・ルドゥートやコート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコンといった難所が勝負を分けます。ここでは、ユイのような瞬間的な爆発力だけでなく、持久力、戦術、そしてチームワークが重要になってきます。

SNSでも「リエージュはレムコが本命！」「いや、ポガチャルはリエージュでも強いだろう」「ピドコックは調子が良いから怖い存在」「グレゴワール、今度こそ！」といった声が飛び交っています。それぞれの選手が、フレッシュ・ワロンヌでの結果をどう分析し、リエージュでどんな戦略を持ってくるのか。タデイ・ポガチャルは、挑戦者たちの包囲網を打ち破り、再び「ラ・ドワイエンヌ」のタイトルを手にするのか？ それとも、ライバルたちが一矢報いるのか？

次の日曜日、ベルギー南部、リエージュの地で、また一つサイクルロードレースの歴史が動きます。世界中のレースを追い続ける私、松崎 愛も、固唾を飲んでその行方を見守りたいと思います。皆さん、一緒に熱狂しましょう！