ポガチャルが挑む、偉業達成への壁

日本の皆さん、こんにちは！山田健一です。

今回は、あのタデイ・ポガチャルが挑む、とんでもない挑戦について深掘りしていきましょう。

ポガチャル、前人未到の領域へ

皆さんは、自転車ロードレースの歴史に名を刻むレジェンド、ファウスト・コッピとエディ・メルクスをご存知ですか？彼らはそれぞれ、1949年と1972年にジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスを制覇し、その翌年に「北の地獄」ことパリ～ルーベをも制した、まさに伝説の男たちです。

そして今、2024年にジロ・ツールを制したタデイ・ポガチャルが、その偉業に挑もうとしているのです！

ルーベはグランツールの覇者にとって鬼門？

しかし、現実はそう甘くありません。歴史を紐解くと、ジロ・ツールを制した者が、翌年のパリ～ルーベを制するのは至難の業。ジャック・アンクティル、ベルナール・イノー、スティーブン・ロッシュ、ミゲル・インデュライン、そしてマルコ・パンターニといった名だたる選手たちも、この偉業には手が届きませんでした。

特にインデュラインとパンターニは、パリ～ルーベ自体に一度も出場していないのです。ロッシュは4回、アンクティルに至っては10回も挑戦したにも関わらず、勝利を掴むことはできませんでした。イノーでさえ、勝利は1981年の1度のみ。これは一体何を意味するのでしょうか？

ツール覇者とルーベ

そもそも、ツール・ド・フランスの総合優勝者が、その翌年にパリ～ルーベを制した例は、歴史上わずか6回。オクターブ・ラピーズ（1911年）、ファウスト・コッピ（1950年）、ルイゾン・ボベ（1955年）、フェリーチェ・ Gimondi （1966年）、そしてエディ・メルクス（1970年、1973年）のみ。1981年のイノー以降、ツール覇者がパリ～ルーベを制した例はないのです。

ツールを制した64人の選手のうち、パリ～ルーベも制したのはわずか15人。むしろ、パリ～ルーベに出場すらしていないツール覇者が18人もいるという事実。直近の例では、ヴィンゲゴーやエガン・ベルナルが、石畳に挑む姿は見られていません。バルトリ、バハマントス、インデュライン、パンターニ、コンタドール、そしてニバリといったレジェンドたちも、このリストに名を連ねています。

しかし、興味深いのは、他のモニュメントレースと比較すると、パリ～ルーベはツール覇者に最も好まれているレースだということ。次いで、ジロ・ディ・ロンバルディア（12人）、ミラノ～サンレモ（11人）、リエージュ～バストーニュ～リエージュ（7人）、ロンド・ファン・フラーンデレン（3人）となっています。

これは、パリ～ルーベがフランス国内で開催される唯一のモニュメントレースであり、ツール・ド・フランスの優勝者の半数以上（64人中36人）がフランス人であるという事実に起因するのかもしれません。実際に、両レースを制した15人のうち9人がフランス人なのです。

ジロ覇者とルーベ

では、ジロ・デ・イタリアの覇者にとってはどうでしょうか？こちらも厳しい現実が待ち受けています。ジロ覇者がパリ～ルーベを制したのは、コッピ、メルクス、そしてイノーの3回のみ。70人のジロ覇者のうち、パリ～ルーベも制したのはわずか5人。GimondiとFrancesco Moserが加わるのみです。

近年では、ヘスデダル、クリストファー・フルーム、Stephen Rocheらが挑戦しましたが、勝利には届かず。Tom Dumoulin、Nairo Quintana、ジャイ・ヒンドレー、Richard Carapaz、プリモシュ・ログリッチ、そしてTony Romingerといった選手たちは、パリ～ルーベの石畳に足を踏み入れることすらしませんでした。

ツール覇者とは対照的に、ジロ覇者はイタリア国内のモニュメントレースを好む傾向があります。ジロ・ディ・ロンバルディアを制したジロ覇者は19人、ミラノ～サンレモを制した者は15人。これは、ジロ覇者の多くがイタリア人であるという事実に起因するでしょう。

ポガチャルの挑戦、その意義

タデイ・ポガチャルは、既存の枠にとらわれない、新しい時代のサイクリストです。彼はスロベニア出身であり、特定の国のレースに固執することなく、自身の経験値を最大化しようとしています。

UAEチームエミレーツ・XRGのマトシンも、「ポガチャルはパリ～ルーベが好きだと言っていた」と証言しています。歴史的なデータは厳しい現実を示していますが、ポガチャルなら、その壁を打ち破ってくれるかもしれません。

そして、忘れてはならないのが、マチュー・ファンデルプールとのライバル関係。現時点では、ファンデルプールの方がモニュメントレースの勝利数でリードしていますが、ポガチャルはそれを黙って見ているわけにはいかないでしょう。

さあ、皆さん。タデイ・ポガチャルが、歴史に名を刻む瞬間を見逃すな！