バルデ：「レースに残り続けたい」

ジロ第7ステージ激震！ ロマン・バルデ、落車で左膝負傷…「レースに残れることを願う」

ジロ・デ・イタリア第7ステージ、フィニッシュ手前で起きた集団落車は、日本のファンにも大きな衝撃を与えたことだろう。特に、キャリア最後のグランツールに挑むロマン・バルデ（チーム ピクニック・ポストNL-PostNL）がその犠牲となったことは、何とも胸が痛む出来事である。現地イタリア、タリアコッツォから、彼の声をお届けする。

予期せぬアクシデント、そしてバルデの苦悩

この日、フィニッシュまで残り41km地点で発生した大規模な落車。複数の選手が巻き込まれる中、そこにロマン・バルデの姿があった。彼はすぐに立ち上がったものの、明らかに苦痛に顔を歪めていた。私も現場でその瞬間を目撃したが、一瞬息をのむような光景だった。

「今日は運が悪かった」と、彼は落車後、私に語ってくれた。その言葉には、レースを戦う上での不測の事態に対する諦めにも似た感情と、それでも前を向こうとする意志が混ざり合っているように感じられた。この落車には、同じくフランスのダヴィド・ゴデュも巻き込まれており、彼もまた深刻な怪我を負ったという情報が入っている。トップ選手たちが次々とアクシデントに見舞われるのは、見ている側としても本当に辛いものがある。

膝の痛み、それでも諦めない想い

ロマン・バルデは、左膝から落ちたとのこと。傷自体はたいしたことないそうだが、厄介なのは膝蓋骨（お皿）をぶつけたことだという。「ペダルを漕ぐと痛む」「全力で踏むと内側が引っ張られる感じ」と、具体的な痛みの様子を説明してくれた。プロのロードレーサーにとって、特に山岳を得意とするクライマーにとって、膝の痛みは致命的になりかねない。ペダリングの度に激痛が走るというのは、想像するだけでも身震いする。

それでも、彼の口からは「レースに残れることを願っている」という力強い言葉が聞かれた。キャリア最後のジロ、そしてグランツール。その舞台を、このような形で終わらせたくないという強い想いが、彼の言葉の端々からひしひしと伝わってきた。今夜、チームのメディカルスタッフが治療にあたるそうだが、この痛みがどれほど深刻なのか、明日の朝、いや、今日の夜の回復具合が非常に気になるところだ。

チームへの貢献、マックス・プールへの想い

怪我の痛みにもかかわらず、ロマン・バルデの士気は高いままだという。それは、彼が自身のキャリアの集大成として、このジロに特別な思い入れがあるからだろう。そして、それ以上に彼を奮い立たせているのは、チームメイトであるマックス・プールへの貢献だ。

「キャリア最後のグランツールで最大限を尽くしたい、特に調子の良いマックス・プールを助けるためにも」と、彼は語った。長年チームのエースとして戦ってきたロマン・バルデが、キャリアの終盤で若き才能マックス・プールを支えようとしている姿は、非常に印象的だ。チーム ピクニック・ポストNL-PostNLは、このジロでマックス・プールを総合上位に送り込むことを目標の一つとしている。バルデは、そのために自らの経験と力を注ぎたいと考えているのだ。自身の怪我よりも、チームの目標達成を優先する彼の姿勢には、ただただ敬服するばかりである。

彼の言葉からは、痛みの中でもレースを続けたいという強いプロ意識、そしてチームへの深い愛情がひしひしと伝わってくる。この落車が、彼の輝かしいキャリアの終盤に暗い影を落とさないことを、心から願うばかりだ。果たして、ロマン・バルデはジロを完走できるのか？ そして、チーム ピクニック・ポストNL-PostNLはエースであるマックス・プールを支え、どこまで戦えるのか？ 今後の展開から目が離せない。明日の朝、彼が無事にスタートラインに立てることを祈りつつ、続報を待ちたい。