ファンアールト：ジロ初日はアタッカーにチャンス

ワウト・ファンアールト、ジロ初日コースを語る ～「アタッカーにチャンスあり」病からの復帰戦をどう戦う？

ジロ・デ・イタリア開幕が間近に迫ってきました。今年のグランデ・パルテンツァはイタリアを飛び出し、初めてアルバニアの地で行われます。そんな記念すべき開幕ステージを前に、注目選手の一人、ワウト・ファンアールトがコースを試走し、その感触を語ってくれました。直前の体調不良が伝えられる彼の言葉から、初日ステージ、そしてジロ全体の展開を読み解いていきましょう。

アルカディアの開幕、アルバニアへ

今年のジロ・デ・イタリアは、アドリア海を挟んだアルバニアで幕を開けます。第1ステージは、港湾都市ドゥラスから首都ティラナまでの160km。アルバニアでのグランツールの開幕は史上初であり、どんな歓迎ムードに包まれるのか、現地からのレポートが楽しみなところです。コースプロフィールを見ると、序盤は平坦基調ですが、終盤にかけて丘陵地帯に入り、フィニッシュ手前に短いながらも勾配のある登りが待ち構えています。この終盤の登りが、ステージの行方を大きく左右するポイントとなるのは間違いありません。

ワウト・ファンアールトが見た初日コース

ワウト・ファンアールトは、所属するチーム ヴィスマ・リースアバイクのチームメートと共に、この初日ステージのキーポイントとなるセクションを試走したようです。彼のStravaにアップされた約63kmの走行記録からも、その準備の周到さが伺えます。

試走後の記者会見で、彼は終盤の登りについて具体的に言及しています。現地メディアの情報によれば、「あの登りはかなりきつい」と語ったとのこと。そして、「最初はかなり急勾配で、その後はフィニッシュまではほぼ下りだ」と、その特徴を詳しく述べています。なるほど、ただの丘というよりは、展開を作るには十分なパンチ力を持った登りであることが、彼の言葉の端々から伝わってきます。

アタッカー有利？ワウト・ファンアールトの冷静な分析

この終盤のきつい登りを受けて、ワウト・ファンアールトは興味深い予測を口にしています。「アタッカーがフィニッシュまで逃げ切るチャンスがあると思う」。これは、多くのサイクルロードレースファンにとって、少し意外な見解かもしれません。なぜなら、グランツールの初日ステージは、総合系の選手がリスクを避けることもあり、有力スプリンターを擁するチームがペースをコントロールし、集団スプリントに持ち込むケースが多いからです。

しかし、ワウト・ファンアールトは、このコースに関しては定石通りにはいかない可能性を示唆しています。彼の言葉の裏には、あの終盤の登りが、集団の隊列を崩し、アタックを成功させるだけの十分な勾配と距離を持っているという読みがあるのでしょう。そして、彼は自身のコンディションを踏まえ、自身をステージ優勝の「大きな」候補とは見ていないとも語っています。これは、直前の体調不良が影響しているのは明らかですが、だからこそ、集団スプリントという真っ向勝負ではなく、展開次第で自らアタックに加わる、あるいはチームメートのチャンスを活かすといった、より戦術的なアプローチを考えているのかもしれません。

病からの復帰、そしてジロへ

ワウト・ファンアールトは、ジロ・デ・イタリアに向けての準備期間中にウィルス感染に見舞われ、調整が遅れていることが報じられていました。この体調不良が、彼が初日ステージの展開を予測する上で、そして自身の役割を考える上で、重要なファクターとなっているのは間違いありません。

万全ではないコンディションでグランツールに臨むのは、選手にとって非常に難しい状況です。それでも、彼はコースをしっかりと試走し、冷静に展開を分析しています。「あの登りを一度見ておいて本当によかった」という言葉からは、置かれた状況の中で最善を尽くそうというプロフェッショナルな姿勢が感じられます。彼の病状がどこまで回復しているのか、そしてレースが始まってからどのような走りを見せるのか、その一点が、初日ステージだけでなく、ジロ全体の流れを占う上で非常に重要になってくるでしょう。

開幕ステージは波乱の予感

ワウト・ファンアールトが語った「アタッカーにチャンス」という言葉。そして、彼自身のコンディションという未知数。アルバニアでのジロ・デ・イタリア開幕ステージは、いきなり予測不能な展開となる可能性を秘めています。集団スプリントに持ち込まれるのか、それともワウト・ファンアールトが予見したように、終盤の登りでアタックが決まるのか。そして、そのアタックにワウト・ファンアールト自身は加われるのか。

レース前からこれだけ話題を提供してくれるのは、さすがワウト・ファンアールトというべきでしょうか。彼の動向を含め、アルバニアでの熱い戦いから目が離せません！