ゴデュの過去グランツール成績は？

日本のサイクルロードレースファンの皆さん、こんにちは。グランツール担当の山田 健一です。いよいよジロ・デ・イタリアの開幕が迫ってきましたね。今年のジロには、注目すべき選手がたくさんいますが、私が特に彼の走りに注目しているのが、Groupama-FDJのダヴィド・ゴデュです。

28歳にして、彼はいよいよキャリア初のジロに挑みます。ツール・ド・フランスではトップクラスの成績を残す一方で、苦い経験も味わってきました。一方、ブエルタ・ア・エスパーニャではそのポテンシャルを遺憾なく発揮しています。果たして、未踏の地であるイタリアで、彼はどのような走りを見せてくれるのでしょうか。これまでの彼のグランツールでの軌跡を辿りながら、ジロでの可能性を探っていきましょう。

ツール・ド・フランス：栄光と挫折のジェットコースター

ダヴィド・ゴデュのグランツールキャリアは、21歳で初出場した2018年のツール・ド・フランスから始まりました。当時はまだチームのエースというよりは、自由に走る若手といった印象でしたね。翌年からはThibaut Pinotのアシストとして、彼のツールマレー峠での勝利に貢献するなど、重要な役割を担うようになります。しかし、2020年には落車による怪我でリタイア。エースとして臨んだ2021年には、病の影響もありモン・ヴァントゥで大きく遅れるなど、波乱万丈のツール経験を重ねてきました。

それでも、彼の才能が爆発したのが2022年のツールです。ロンウィでの3位、ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ超級山岳での好走を経て、総合4位という素晴らしい成績を残しました。Tadej PogacarやVingegaardといった怪物たちには及ばなかったものの、ゲラント・トーマスにも迫る走りを見せ、ポディウムまであと一歩に迫ったのです。「ツールで4位になれるなんて、本当にクレイジーなことだ」とレース後に語っていた彼の言葉が印象に残っています。あの時、彼は確実に一つ上のレベルに達した、そう誰もが感じたはずです。しかし、期待がかかった2023年は山岳で苦戦し、ポディウムから大きく離される結果に。そして極め付けは2024年。総合65位と、彼の実力からすれば考えられない順位に沈みました。本人が年明けのインタビューで「ツールに行きたくなかった」「集団についていける状態じゃなかった」と語っていたように、心身ともに「燃え尽きていた」状態だったのでしょう。ツールの厳しさと、そこでトップを争うことの重圧を、彼は誰よりも経験してきたと言えます。

ブエルタ・ア・エスパーニャ：再生の舞台

ツールでの苦難とは対照的に、ダヴィド・ゴデュはブエルタ・ア・エスパーニャで常にポジティブな経験を積んできました。彼が初めてブエルタを走ったのは、ツールをリタイアした後の2020年。当初はThibaut Pinotのアシスト予定でしたが、Thibaut Pinotが早期リタイアしたことで、彼は自由に走る機会を得ました。そこで見せた走りが圧巻でしたね。区間2勝を挙げ、総合でもイスラエル・プレミアテックなトップ10となる8位に入ったのです。グランツールでの区間初勝利、そして初の総合トップ10フィニッシュ。このブエルタが、彼に大きな自信を与えたことは間違いありません。

そして、ツールで大不振に陥った後の2024年ブエルタ。まさに再生の舞台となりました。ツールでの自信喪失から立ち直り、総合6位に入っただけでなく、山岳で強豪たちと互角に渡り合う走りを見せました。「励みになるし、精神的にも良かった」とレース後に語っていた彼の表情は、ツールでの苦悩から解放されたようにも見えました。ブエルタでの好成績は、彼が再びグランツールで総合を狙える選手であることを証明しました。そして、このブエルタでのポジティブな経験こそが、彼が初めて挑むジロへの大きな希望となっているのです。「ブエルタのような走りがしたい。総合を狙える走りを」と彼は語っています。

いざ、マリア・ローザへ：ジロ初挑戦の可能性

さて、いよいよダヴィド・ゴデュが足を踏み入れるジロ・デ・イタリア。ツールやブエルタとはまた異なる魅力と厳しさを持つこのレースで、彼はどのような走りを見せてくれるのでしょうか。ジロは例年、厳しい山岳ステージが多く、また天候の変化も激しいレースです。石畳や未舗装路が登場することもあり、総合で上位に入るには、あらゆる状況に対応できる総合力が求められます。

Groupama-FDJは彼を中心にチームを編成してくるでしょう。ブエルタで見せたような、山岳での粘り強い走りができれば、総合上位に進出する可能性は十分にあります。ライバルにはPrimoz RoglicやTadej Pogacar、ゲラント・トーマスといったグランツール覇者や、若手の実力者たちが名を連ねていますが、ブエルタで自信を取り戻したダヴィド・ゴデュなら、彼らと互角に戦える力は持っているはずです。特に、彼が得意とする急勾配のフィニッシュが登場すれば、区間優勝のチャンスも生まれるかもしれません。

過去の経験、特にブエルタでの成功体験は、間違いなく彼の背中を押すでしょう。ツールでの挫折を知っているからこそ、彼はより慎重に、そしてクレバーにレースを進めるはずです。初のジロで、いきなりポディウム獲得は容易な目標ではありませんが、ブエルタで得た自信と、ツールでの経験を糧に、彼はきっと素晴らしい走りを見せてくれると信じています。

アルバニアでのグランデ・パルテンツァから始まる今年のジロ。ダヴィド・ゴデュがマリア・ローザを目指して、どのようなドラマを紡ぎ出すのか。彼の新たな挑戦に、今から胸が高鳴ります。皆さんもぜひ、ダヴィド・ゴデュの走りに注目してみてください。次回の記事では、ジロ開幕直前のチームや選手の状況について、さらに詳しくお伝えしたいと思います。