ジロの黄金トロフィー「センツァ・フィーネ」10kg

ジロ・デ・イタリアの輝き ～ センツァ・フィーネとベテランの情熱 ～

モナコの私の部屋から、今日も選手たちのソーシャルメディアをそっと覗いています。彼らが発信する一瞬一瞬には、レースの興奮だけでなく、その人となりや秘めた想いが滲み出ているものです。特にグランツール期間中は、普段は見せないような素顔や、レースにかける並々ならぬ決意が垣間見えて、私の胸は高鳴ります。

今回は、先日目にしたジロ・デ・イタリアに関する記事から、その象徴であるトロフィーと、あるベテラン選手の情熱に心を動かされたので、皆さんにお届けしたいと思います。

レースを彩るものといえば、選手たちの走り、チームの戦略、そしてもちろん、勝利の証であるトロフィーですよね。ジロ・デ・イタリアの覇者に贈られるトロフィーは、その中でも特に美しく、多くのサイクリストが夢見る至宝です。

螺旋が紡ぐ夢：センツァ・フィーネの魅力

ジロのトロフィーは「センツァ・フィーネ」、イタリア語で「終わりなき螺旋」と呼ばれています。この現在のデザインになったのは1999年からだそう。台座から螺旋を描きながら高く立ち上がるその姿は、まるで山岳を駆け上がり、天空へと続く道を表しているかのようです。

このトロフィーの何が特別かといえば、歴代の総合優勝者、マリア・ローザを着た男たちの名前が、その螺旋の外側に一つ一つ手作業で刻まれていくこと。タデイ・ポガチャルがこのリストに名を連ねたのは記憶に新しいですよね。歴史に名を刻むという、まさにその瞬間の重みがこのトロフィーには宿っているのだと感じます。

記事によると、センツァ・フィーネは高さ53.5cm、重さ9.5kgもあるそうです。台座だけでも20.4cm。18金メッキの銅製で美しく塗装されています。そのずっしりとした重みは、激しい3週間を戦い抜いた者だけが手にできる栄光の重さそのものなのかもしれません。選手たちがこのトロフィーを掲げる瞬間、その背景にはどれほどのドラマがあったのだろう...想像するだけで胸が熱くなります。

ジロとの特別な絆：ミケル・ランダの告白

そんなセンツァ・フィーネに挑む選手の一人、ミケル・ランダのインタビュー記事を読みました。彼はジロ・デ・イタリアのことを「グランツール選手として開花したレース」だと語っています。彼にとってジロは非常に特別なレースであり、そこに戻るたびに笑顔になる、と。もちろん、辛い瞬間もあったけれど、それも含めてジロは彼のキャリアにとってかけがえのない存在なのですね。

今回、数年ぶりにジロに戻ることを決めた理由について、彼は2022年にヒンドレー、カラパスに次ぐ3位で表彰台に上ったことに触れつつ、「今戻らないと、2026年では遅すぎるかもしれない」と率直に語っています。この言葉には、キャリアの終盤を意識しつつも、もう一度あの舞台で輝きたいという強い意志が感じられます。SNSの投稿だけでは分からない、彼の心の奥底にある情熱が伝わってくるようで、なんだか切なくなりました。

ジロがツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャと比べてどうかという問いには、「3つとも特別だけど、ジロはイタリア人が得意なように、自分たちをうまく売り込んで、他のレースとは違う、より情熱的なレースにしている」と答えています。確かに、ジロには独特の雰囲気とドラマがありますよね。ピンク色の熱狂、厳しい山岳、そして何が起こるか分からない展開。それがジロの魅力であり、多くのファンを惹きつけてやまない理由なのだと改めて感じました。

ベテランが見据える現在と未来：最後のチャンス、そして若手へ

インタビューの中で、ランダは総合優勝を狙うこと、そしてチームが総合エースを必要としていることに言及しています。体が総合争いを求めている間は、いつものように総合を狙う。もし何かアクシデントがあれば、その時に考えを変える、と。このあたりは、長年の経験に裏打ちされた現実的な思考が表れていますね。

自身の強みについては、「頭」であり、「誰よりも打たれ強い」と自己分析しています。年を重ねても高いレベルを維持できているのは、その精神的な強さがあるからこそ、と。なるほど、過酷なレースで心が折れないというのは、ベテランならではの大きな武器かもしれません。

そして、若い世代についても語っています。特に、UAEチームエミレーツ・XRGのスペイン人選手、アユソについては、「一歩成長した」「レースに責任を持ち、破壊できるようになった」と高く評価しています。スペイン自転車界にとって、そしてフアン自身にとっても、不振を打破する大きなチャンスになるかもしれない、と期待を寄せています。ベテランが若手の成長を認め、エールを送る姿というのは、見ていてとても気持ちが良いものです。自身の「最後のチャンス」を意識しつつも、未来を担う世代への優しい眼差しを感じました。

ログリッチやベルナル、イェーツといった他のライバルについても触れつつ、「ベテラン勢も運や経験でサプライズを起こせるかもしれない」と語るあたり、まだまだ戦えるという自信と、ジロ独特の予測不能な展開への期待が入り混じっているように感じられます。

レジェンドへのリスペクトと自転車への愛

ランダは、感銘を受けた選手としてヴィンチェンツォ・ニバリの名前を挙げています。テレビで見たパンターニやコッピ、インデュラインといったレジェンドたちも素晴らしいけれど、ニバリは一番印象に残っていると。最強でなくても様々なタイプのレースで勝つニバリは、「とても特別な選手」だと語るその言葉には、深いリスペクトが込められていました。同時代を戦った選手だからこそ分かる、ニバリの偉大さがあるのでしょうね。

そして、彼の自転車への深い愛が伝わってくるエピソードが、トレーナーでの過ごし方です。ローラー台に乗っている時は、常に自転車のレース映像を見ているのだとか！現在のレースだけでなく、昔の伝説的なステージを見るのが好きなんだそうです。インデュラインがアープリカでキアプッチに敗れたステージを一番見た、と具体的に語っているのを聞いて、「へぇ～！」と唸ってしまいました。あの壮絶な戦いを繰り返し見ることで、何かを学び取ろうとしているのでしょうか。それとも、純粋に自転車の魅力に取り憑かれているのでしょうか。きっと、その両方なのでしょうね。

「ランダーニ」というニックネームについても、「パンターニのように速く登れないのは残念だけど、冗談として誇りに思っている」と、ユーモアを交えながらもリスペクトを忘れないあたり、彼の人柄がよく表れているなと感じました。

時代の変化と「ビッグ6」：誇りと挑戦

インタビューの最後には、今年のミラノ～サンレモについても触れています。あのレースは非常に美しく、時代の転換点になるかもしれない、と。スプリンター向けのレースではなくなり、シプレッサからアタックする選手が増えるだろう、という予測は、多くのファンも感じていることかもしれません。

そして、タデイ・ポガチャルを含む「ビッグ6」と呼ばれる新世代のスターたちと戦えていることについては、「誇り」だと断言しています。彼らが自転車界を変えている存在であること、そして彼らと戦うことで勝利を奪われるとしても、彼らと共に時代を刻めることを誇りに思っていると。この言葉を聞いて、「確かに！」と共感しました。彼らのような才能豊かな選手たちと、経験豊富なベテランがぶつかり合うからこそ、今のロードレースはこんなにも面白いのだと改めて感じさせてくれます。

ミケル・ランダの言葉からは、ジロへの特別な思い、キャリアへの真摯な向き合い方、そして自転車そのものへの深い愛情が伝わってきました。彼のようなベテランが、若手と共にセンツァ・フィーネを目指す姿を見られるのは、ファンとして本当に嬉しいことです。

今年のジロ・デ・イタリアでは、センツァ・フィーネを巡るどのようなドラマが生まれるのでしょうか。ランダが再び表彰台に立つ姿を見られるのか、それとも新たなスターが誕生するのか。今から開幕が待ちきれませんね！