ジロ2025開幕へ オラフ・コーイ、万全でなくとも初スプリント楽しみに

皆さん、こんにちは。山田 健一です。

ジロ・デ・イタリアは最初の休息日を終え、いよいよイタリア本土での戦いが始まります。アルバニアでの開幕3日間を経て、選手たちはフェリーでイタリアへ移動。そして迎える第4ステージは、大会最初の純粋な平坦ステージとなるレッチェへの道のりです。

このステージで注目が集まるのは、やはりスプリンターたち。中でも、チーム ヴィスマ・リースアバイクのオラフ・コーイに大きな期待がかかっています。しかし、彼のここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。今回は、そのオラフ・コーイの現状と、彼を支える強力な布陣について深く掘り下げてみたいと思います。

鎖骨骨折からの復帰、その現状は？

オラフ・コーイは、今年の春先にクラシックレースのヘント〜ウェヴェルヘムで落車に見舞われ、鎖骨を骨折するという不運に見舞われました。スプリンターにとって、最も重要な春のクラシック戦線で戦線を離脱せざるを得なかったのは、大きな痛手だったはずです。

ジロ開幕に間に合わせるべく、彼は懸命な回復とトレーニングを積んできましたが、本人も認めるように「決して理想的な準備ではなかった」と言います。アルバニアでの開幕3日間は、彼のようなピュアスプリンターにとっては厳しいアップダウンが連続するステージでした。

「体調は悪くないよ」と彼は語っていますが、同時に「自分が本当のところ、どのレベルにいるのかはまだ分からない」とも。レース勘を取り戻すための貴重な3日間になったのは間違いないでしょうが、スプリント勝負に必要な絶対的なスピードや位置取りの感覚がどこまで戻っているのか。正直なところ、本人にもチームにも、そして我々ファンにも、まだ未知数な部分があるのです。

急ピッチな準備、チームの期待と不安

チーム ヴィスマ・リースアバイクのチームディレクター、マルク・リーフ氏も、オラフ・コーイのジロ出場には少なからず「急ぎ」の要素があったことを明かしています。鎖骨骨折からジロ開幕までの期間で、チームは彼の回復とトレーニング計画をイチから練り直さなければなりませんでした。

「鎖骨を折った瞬間から、全てのプランを変更する必要があった」とリーフ氏は語ります。それでも、第4ステージでのスプリントチャンスに照準を合わせ、彼を送り出すことを決断した。これは、チームが彼のスプリント能力に絶大な信頼を寄せていることの証でもあります。

しかし、グランツールという過酷な舞台で、十分な準備期間を経ずにいきなりトップレベルのスプリントバトルに挑むというのは、非常にリスクが高い挑戦です。チームとして、彼を万全の状態でスプリントに送り出すための手探りの部分もあるはず。第4ステージは、チーム ヴィスマ・リースアバイクにとっても、オラフ・コーイの現状を測る上で非常に重要な試金石となるでしょう。

頼れる相棒 ワウト・ファンアールト の存在

そんなオラフ・コーイにとって、これ以上ないほど頼れる存在がチーム内にいます。そう、あのワウト・ファンアールトです。今回のジロで、ワウト・ファンアールトはオラフ・コーイのスプリントにおける主要なリードアウト役を務めることが期待されています。

リーフ氏も「オラフ・コーイとワウト・ファンアールトの組み合わせが非常にうまく機能することは、過去に何度も証明されている」と強調しています。昨年のツール・オブ・ブリテンやクラシカ・アルメリアでの勝利は、まさにこの二人の連携が生み出したものです。

スプリントにおいて最も重要なのは、フィニッシュラインに向けて最高の位置で発射されること。そのためには、強力で正確なリードアウトが不可欠です。ワウト・ファンアールトほどのスピード、パワー、そして位置取りの巧さを持った選手が、オラフ・コーイのために献身的に働く。これは他のどのチームも羨むほどの強力な武器と言えるでしょう。

鎖骨骨折からの回復途上という不安を抱えるオラフ・コーイですが、彼には世界屈指のオールラウンダーであるワウト・ファンアールトという最高のパートナーがいます。この強力なタッグが、ジロ最初のスプリントステージでどんな走りを見せるのか。レッチェでのフィニッシュラインは、今から目が離せません。