ヴィスマ・L a B、ファン・アールトのジロ成長に期待

山田 健一です。今年のジロ・デ・イタリア、序盤から様々なドラマが生まれていますね。特に注目している選手の一人、ワウト・ファンアールトの状況について、チーム ヴィスマ・リースアバイクの動向も含めてお伝えしたいと思います。

ワウト・ファンアールト、ジロ序盤の苦闘とチームの期待

今年のジロ・デ・イタリア、多くのファンがワウト・ファンアールトの活躍に胸を躍らせていたことでしょう。私も彼の走りを心待ちにしていました。しかし、蓋を開けてみると、第1ステージでの鮮やかな2位スタートとは裏腹に、タイムトライアルと第3ステージでは本来の彼らしからぬ苦戦を強いられています。一体何が起きているのか、チーム ヴィスマ・リースアバイクのコメントからその背景が見えてきました。

序盤の誤算と現実 - 病気の影響は想像以上に大きい

チームのマルク・リーフは、第3ステージを前に「ワウトに関しては現実的になる必要がある」と語っていました。その理由として挙げられたのが、ジロに向けた準備段階での病気による影響です。長期にわたるウイルス感染症は、選手のコンディションに深刻な影を落とします。特に、ワウト・ファンアールトのような爆発的なパワーを必要とする選手にとっては、その影響は計り知れません。

第1ステージで彼が見せた果敢なアタックと2位という結果は、まさに彼の底力。しかし、マルク・リーフの言葉を借りれば、「そこで彼は戦い、何かできると感じて挑んだ。その結果が第2ステージ（タイムトライアル）で見られた」ということ。つまり、序盤の奮闘が、まだ完全ではないコンディションに負担をかけ、その後のステージに響いてしまった、という見方もできるわけです。なるほど、プロのレースは本当に繊細なバランスの上に成り立っているのだと改めて感じさせられます。

成長への期待と残されたチャンス - 3週間の戦いを見据えて

しかし、チームは悲観しているわけではありません。マルク・リーフは強調します。「このレースは3週間続く」。まだ始まったばかりであり、ワウト・ファンアールトがレースの中でコンディションを上げていく可能性に賭けているのです。

「毎日限界まで行かなくても良い。休息日を挟んで、彼が上昇カーブを描き始め、これからもっと多くのものを見せてくれることを願っている」。この言葉からは、チームがワウト・ファンアールトに対して長期的な視点を持っていることが伺えます。過去のグランツールでも、序盤は鳴かず飛ばずでも、レースが進むにつれて調子を上げ、重要なステージで勝利を掴む選手は数多くいます。ワウト・ファンアールトも、まさにそのポテンシャルを秘めている選手。まだ多くのチャンスが彼を待っているはずです。

スプリントでの新役割 - オラフ・コーイとの連携に注目

そして、チーム ヴィスマ・リースアバイクがワウト・ファンアールトに与えようとしている具体的な役割も見えてきました。平坦ステージでのスプリントにおいて、オラフ・コーイのリードアウト役を務めるというのです。

マルク・リーフは、昨年のツール・オブ・ブリテンやクラシカ・アルメリアでの二人の連携が非常にうまくいったことに言及しています。「オラフをワウトと一緒に良い位置に連れて行くことが何よりも重要だ。それができれば、大きな違いを生む」。ワウト・ファンアールトのパワーとポジショニング能力は、世界でもトップクラス。彼がオラフ・コーイのために完璧な発射台を作ることができれば、オラフ・コーイの勝利の可能性は飛躍的に高まるでしょう。これは単なるアシストではなく、チームとしての勝利を目指す上での重要な戦略的配置であり、ワウト・ファンアールトの多才さを示す役割でもあります。へぇ～、あのワウト・ファンアールトが純粋なリードアウトに徹する姿、想像するだけでワクワクしますね。

これからどうなる？ ワウト・ファンアールトのジロ

病気からの回復途上という難しい状況ではありますが、チーム ヴィスマ・リースアバイクはワウト・ファンアールトのポテンシャルと経験を信じ、ジロという長い旅の中で彼が輝きを取り戻すことを期待しています。スプリントでのオラフ・コーイへの貢献、そして彼自身のコンディション上昇に伴うステージ勝利への挑戦。これからワウト・ファンアールトがジロでどんな走りを見せてくれるのか、目が離せません。皆さんも、彼の「成長」にぜひ注目してみてください。