ジャイ・ヒンドレー、ログリッチ中心ジロ体制での役割を自覚

ジャイ・ヒンドレー、ジロでの役割を語る ～ログリッチ絶対エース体制のレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ～

今年のジロ・デ・イタリア開幕が迫ってきましたね。各チームの陣容が固まり、いよいよ緊張感が高まってきたところです。そんな中、2022年のマリア・ローザ覇者であるジャイ・ヒンドレー（レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ）が、今年のジロにおける自身の役割について語ったというニュースが入ってきました。強豪ひしめくレッドブル・ボーラ・ハンスグローエの中で、彼は一体どのような立場でこの厳しい3週間に臨むのでしょうか？

「火はついていなかった」ツール・オブ・ジ・アルプスでの感触

ジロ直前の重要な調整レースの一つであるツール・オブ・ジ・アルプス。ジャイ・ヒンドレーは、このレースを長期トレーニングブロックと高地合宿を経て初めての実戦として位置付けていました。「最初は『火がついている』という感じではなかったけれど、悪くもなかった」と彼は振り返っています。最終的に総合成績は優勝したマイケル・ストーラーから6分以上離された8位に終わりましたが、ジロへ向かう上での脚試しとしては悪くない感触を得たようです。過去にはロンド・ファン・バレンシアで9位、ティレーノ〜アドリアティコで5位と、短いステージレースではまずまずの成績を残しており、地力があることは間違いありません。

ログリッチ絶対エース体制とその中で

今回、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエがジロに送り込むメンバーは非常に豪華です。ゼッケン1番を背負う前回覇者プリモシュ・ログリッチを筆頭に、昨年の準優勝者Daniel ダニエル・マルティネス、そして2022年覇者のジャイ・ヒンドレー。これだけのタレントが揃うと、「誰がエースなんだ？」とファンは思うでしょう。しかし、ヒンドレーは自身の役割について明確に語っています。「良いチームで臨めることを楽しみにしているし、2022年に勝って以来初めてのジロなので、それも嬉しい。ただ、プリモシュ・ログリッチがエースであることは明らかだ。私は彼をサポートするためにそこにいる必要がある」と断言しています。

これは、現地メディアの報道やチームの動向を見ても頷ける発言です。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエは、プリモシュ・ログリッチを中心にチームを構築しており、ヒンドレーは貴重な山岳アシスト、そして「プランB」としての役割を担うことになります。過去のジロ覇者が、チームのために献身的なアシストに回る。これぞプロフェッショナルの世界であり、チームスポーツとしてのロードレースの面白さでもありますね。

「ジロは特別」故郷への想いと自身の可能性

エースサポートという役割を受け入れているジャイ・ヒンドレーですが、ジロというレースへの思い入れは格別なようです。「ジロはカレンダーの中でも私の一番好きなレース。本当に大好きなんだ。良い思い出がたくさんあるし、今年もまた良い思い出を作りたい」と語っています。イタリアの雰囲気、厳しい山岳、情熱的なファン。それら全てが彼にとって特別なようです。

もちろん、エースアシストが基本であるとはいえ、3週間のグランツールは何が起こるか分かりません。アクシデントや体調不良など、予測不能な事態は常に起こり得ます。ヒンドレー自身も「可能な限り最高のコンディションで臨むようにしている。そして、どうなるか見てみよう。グランツールは何でも起こり得るし、予測不可能だ。これは決まり文句だけど、一日一日を大切に進んでいくよ」と述べており、自身のコンディションを最大限に高め、もしもの時には自身がチャンスを掴む準備も怠らない姿勢を示しています。チーム内の力学として、Daniel ダニエル・マルティネスも含め、複数の強力なクライマーが控えていることは、プリモシュ・ログリッチにとっても心強いはずです。

春のクラシック不振は関係ない

レッドブル・ボーラ・ハンスグローエは、今年の春のクラシックシーズンで期待されたような成績を残せず、一部で批判の声も上がっていました。しかし、ジャイ・ヒンドレーはこれについても冷静です。「紙の上では我々はとても良いチームだし、今年の春も皆ベストを尽くした。でも、ジロに向かうチームは全く別のメンバーだ。だから、私は我々のレースに集中している」と語っています。確かに、クラシック班とグランツール班では選手の構成も役割も異なります。ヒンドレーは、チームの士気に問題はないことを強調しつつ、「今年の春にはロンド・ファン・カタルーニャで優勝したことも忘れてはいけない。あれも小さなレースではないからね」と付け加えています。

ブエルタでのリーダーへ繋がるジロ

今回のジロ・デ・イタリアではプリモシュ・ログリッチのアシストに回るジャイ・ヒンドレーですが、今年の後半にはブエルタ・ア・エスパーニャで再び自身のリーダーシップを発揮する計画もあるようです。ジロでの貴重なエースアシスト経験は、ブエルタでの自身の挑戦に必ず活きてくるはずです。2022年のジロで見せたあの圧倒的な強さ。今回はサポートという形でチームに貢献しつつ、虎視眈々と自身のチャンスも狙う。そんなジャイ・ヒンドレーの走りに、今年のジロでは注目したいですね。果たして、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエはプリモシュ・ログリッチを頂点に導けるのか。そして、ジャイ・ヒンドレーはどんな形でチームに貢献し、自身の可能性を示すのか。開幕が待ちきれません！