ジロ・デ・イタリア：ステージプロフィール

見かけによらない「平坦」ステージの真意

ロヴィーゴからヴィチェンツァまでの180km。コースプロフィールを見ると、確かに「4つの小さな山岳ポイントがあるものの、全体的にはかなり平坦」と説明されていますね。前日のモデナからヴィアダーナへのスプリンター向けステージ、そしてその前のサン・ペレグリーノへの激しい山岳ステージを終えたばかりの選手たちにとっては、まさに「小休止」のように映るかもしれません。

しかし、この「平坦」という言葉に惑わされてはいけません。序盤121kmはパッソ・ロヴェレッロという4級山岳が一つあるのみで、確かに集団は穏やかに進むでしょう。ですが、問題は終盤の59kmです。残り50km地点で4級山岳サン・ジョヴァンニ・イン・モンテをこなし、さらに残り20kmからはヴィチェンツァ市内の周回コースに入り、フィニッシュラインでもある短い登りを2度通過します。これが曲者なのです。決して勾配はきつくなくとも、疲労が蓄積した脚にはボディーブローのように効いてくる。純粋なスプリンターには厳しく、パンチャータイプや、ある程度の登坂力を持つスプリンター、あるいは逃げ切りを狙う選手にとっては、絶好のアタックポイントとなる可能性を秘めているのです。

「マリア・チクラミーノ」争いの激化と新星の台頭

このステージは、ポイント賞「マリア・チクラミーノ」を狙う選手たちにとって、非常に重要な意味を持ちます。4つの山岳ポイントはもちろん、完全に平坦な2つの中間スプリントポイントは、まさにポイント稼ぎの場となるでしょう。

前日のステージではKooijが鮮やかなスプリント勝利を飾り、チーム ヴィスマ・リースアバイクの層の厚さを見せつけました。彼のような、厳しい登りの後に残れるスプリンターは、このステージでさらにポイントを積み重ねたいはずです。そして、ワウト・ファンアールトやPedersenといった世界トップクラスのスプリンター兼パンチャーたちも、このステージを虎視眈々と狙っているに違いありません。彼らが動けば、レースは一気にエキサイティングな展開へと変わるでしょう。

さらに注目すべきは、Ayuso Del ToroやIsaac del Toroといった若手選手たちの動向です。前日のステージ後のコメントでIsaac del Toroが「どんどん調子が悪くなっていった」と語っていたのは気になりますが、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエの彼らが、このステージでどのような走りを見せるのか。若手の台頭は、常にグランツールの醍醐味の一つですからね。

総合勢の「見えない駆け引き」

一方、総合リーダージャージ「マリア・ローザ」を狙う総合勢にとっては、このステージは体力を温存しつつ、神経をすり減らす一日となるでしょう。PogacarやEvenepoelのような絶対的なエースたちは、無理にリスクを冒すことはしないはずです。しかし、だからといって完全に気を抜くわけにはいきません。集団のペースが上がった際の位置取り、落車のリスク回避、そして何よりも、ライバルたちの表情や動きから、次のステージへの布石を読み解く。

ミケル・ランダやエンリク・マスといったベテラン勢も、この「平坦」に見えるステージで、いかに効率的に体力を温存し、次の山岳決戦に備えるか。彼らにとっては、小さな登りでも無駄なアタックやスプリントに巻き込まれないことが重要です。一見静かに見える集団の中では、常に次の展開を見据えた「見えない駆け引き」が繰り広げられているのです。

観戦のポイントと今後の展望

第13ステージは、日本時間では5月23日（金）の20時頃からフィニッシュが予想されています。スペインではEurosport 1、DAZN、MAXでライブ中継されるとのこと。日本からも各プラットフォームを通じて、この興味深いステージをライブで観戦できるでしょう。

MARCA.comではリアルタイムのテキスト速報や分析、そしてイタリアからの特派員による現地レポートが届けられるとのこと。私も現地メディアの情報を丹念に読み解き、日本の皆さんにお届けしますので、ぜひご期待ください。

このステージは、今後のジロの行方を占う上でも重要な試金石となるでしょう。総合勢にとっては、翌日の第14ステージに控える山岳タイムトライアルへの前哨戦。スプリンターやパンチャーにとっては、数少ない勝利のチャンス。この「平坦」ステージが、どのようなドラマを生み出すのか。私も今から胸が高鳴っています。次回のレポートで、このステージの全貌を徹底解説しますので、どうぞお楽しみに！