ルイス・アンヘル・マテ、野性のリンクスは語る

日本のサイクルロードレースファンの皆さん、こんにちは！山田健一です。今回は、引退後も精力的に活動を続けるルイス・アンヘル・マテ、通称“エル・リンセ（山猫）”のインタビュー記事を深掘りしていきたいと思います。彼の言葉から、ロードレース界の今とこれからが見えてくるかもしれません。

「山猫」マテが語る、ロードレースの今

「ルイス・アンヘル・マテって誰？」という若いファンもいるかもしれませんね。彼は長年プロとして活躍し、特にEuskaltel-ラボラルクチャ・フンダシオンエウスカディでの活動が印象的な選手でした。そのアグレッシブな走りから“エル・リンセ”の異名を取り、多くのファンを魅了しました。そんな彼が引退後、故郷マルベージャでサイクリングイベント「Marbella Cycling Wekeend」を開催。その場で語った言葉には、ロードレースへの深い愛情と、未来への憂いが込められていました。

加速する「非人間化」への警鐘

マテが最も懸念しているのは、ロードレースの「非人間化」が進んでいること。チーム戦略が優先され、選手と観客の距離が広がり、ロードレースが「大衆のスポーツ」ではなくなりつつあると感じているようです。これは、私も強く共感するところ。かつては沿道に溢れんばかりの観客が、選手たちに熱い声援を送っていたものですが…。

マテは言います。「観客との距離がどんどん離れている。昔はもっと近かった。選手はもっと自由に動けたし、観客もそれを楽しんでいた。今はチームの指示で雁字搦めになっている選手が多い」。

新世代の才能への期待と、旧世代への敬意

しかし、マテは悲観しているばかりではありません。タデイ・ポガチャル、フアン・アユソ、マティユー・ファンデルプール、ワウト・ファンアールトといった新世代の才能たちの活躍を、心から楽しんでいる様子。特にフアン・アユソには熱い視線を送っており、ジロ・デ・イタリアでの活躍に期待を寄せているようです。

一方で、マテは旧世代への敬意も忘れていません。彼は、ロードレースが長年かけて培ってきた伝統や文化を大切にすべきだと考えています。

変わるべきもの、変わらざるべきもの

マテの言葉からは、ロードレースが岐路に立たされていることが分かります。グローバル化が進み、資金力のあるチームが力を増す一方で、地域に根ざした小規模チームは苦戦を強いられています。

マテは、**UCI（国際自転車競技連合）**のポイントシステムについても苦言を呈しています。ポイント獲得が至上命題となり、選手が自由に走ることを阻害しているというのです。

「自転車は世界を変える」

インタビューの最後に、マテはこう語ります。「自転車は世界を変える」。彼は、自転車が単なる移動手段ではなく、社会をより良くするためのツールだと信じているのです。

引退後も、故郷でのサイクリングイベント開催や、若手育成など、精力的に活動を続けるマテ。彼の言葉は、ロードレースの未来を考える上で、多くのヒントを与えてくれます。日本のロードレースファンも、彼の言葉に耳を傾け、ロードレースの未来について考えてみてはいかがでしょうか。