フォレリング、アムステルゴールドレースに集中しブラバンツ・ペイルを欠場

デミ ボディネ・フォレリング、アムステル・ゴールド・レースに「選択と集中」 ブラバントセ・パイル回避の理由と勝利への強い意志

皆さん、こんにちは。グランツールを中心にヨーロッパのレースを追いかけている山田 健一です。

いよいよアルデンヌ・クラシックの季節がやってきました。この時期、選手たちのコンディションや戦略は、その後のグランツールや主要レースにも繋がる重要な要素となります。今回は、女子レースで注目すべきニュースが入ってきました。デミ ボディネ・フォレリング（FDJ-SUEZ）が、直前のブラバントセ・パイルをスキップし、アムステル・ゴールド・レースに照準を定めたというのです。この決断の裏には、彼女の強い勝利への意志と、チームの綿密な計画が見え隠れしています。一体、彼女は何を考え、この選択をしたのでしょうか？

高地トレーニングが生んだ「選択と集中」

今シーズンのデミ ボディネ・フォレリングは、例年とは少し異なるアプローチをとっています。春先の石畳クラシックをスキップした背景には、高地トレーニングがありました。彼女自身、WielerFlitsのインタビューで「高地トレーニングのおかげで、今春の石畳クラシックをスキップせざるを得なかった」と語っています。ミラノ〜サンレモでの4位という結果を経て、彼女の次の照準は伝統的なアルデンヌ・クラシックです。

当初、彼女のスケジュールにはブラバントセ・パイルが含まれていました。しかし、高地トレーニングからの移動や調整を考慮し、最終的にこのレースへの出場を見送る決断を下したのです。「以前ならブラバントセ・パイルは水曜日に開催されていたから、確実に出場していたでしょう」と彼女は言います。しかし、金曜日に開催日が変更されたことで、日曜日のアムステル・ゴールド・レースへの影響を懸念したわけです。

驚くべきは、彼女が「レースをするのと同じくらいトレーニングが好き」と語っている点です。特定の目標に向けて積み重ねていくプロセスこそが、彼女にとって最も楽しい時間であり、それがモチベーションの源泉となっているようです。「ブラバントセ・パイルが日曜日に近すぎることで、アムステルに100%集中できない」と感じたからこそ、トレーニングを優先し、アムステルに全力を注ぐ選択をした。なるほど、単なる体調だけでなく、精神的な集中力まで計算に入れているのですね。これは、目標達成への強い意志とプロフェッショナリズムの表れと言えるでしょう。

アムステルへの強い想いと過去の栄光

デミ ボディネ・フォレリングにとって、アムステル・ゴールド・レースは特別なレースです。2年前にはこのレースで勝利を飾っており、南リンブルフの地で再び栄光を掴みたいという気持ちは非常に強いはずです。「アルデンヌでのレースには、常に勝利を目指して臨みます。それが私にとって最も重要なこと」と彼女は断言しています。ブラバントセ・パイルをスキップしたことで、アムステル・ゴールド・レース、そして続くワロンヌ・アルデンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュといったアルデンヌ・クラシック全体に、よりフレッシュな状態で臨めるという算段でしょう。一つの「サブ目標」に気を取られることなく、主要な目標に「フルスロットル」で集中できる。これが、彼女がブラバントセ・パイル回避を選んだ最大の理由と言えます。

過去の勝利経験は、彼女に自信と同時に、コースへの深い理解を与えています。南リンブルフのアップダウンが続くコースは、パンチャーである彼女にとって最適と言えるでしょう。2年前の再現なるか、注目が集まります。

FDJ-SUEZのチーム力とSD Worxへの挑戦

アムステル・ゴールド・レースで、デミ ボディネ・フォレリングが所属するFDJ-SUEZは、強力なライバルであるSD Worx-ProTimeに挑みます。SD Worx-ProTimeはロッテ・コペッキー、ロレーナ・ウィーベス、カタブランカ・ヴァシュ、ミーシャ・ブレーデウォルツといった、まさに「覇権」とも呼べる布陣を敷いてきます。

これに対し、FDJ-SUEZはボディネ・フォレリングをエースに、ジュリエット・ラブース、Evita エヴィータ・ムジックらを揃えました。ボディネ・フォレリングは、ラブースやムジックと共にマルテ・ベルグエドセスで3週間の高地トレーニングを積んだと明かしています。この期間を通じて、彼女たちは互いを深く理解し、絆を深めたようです。

特に興味深いのは、高地トレーニング中に皆でテレビでレース観戦をしていたというエピソードです。ロンド・ファン・フランデレンのフィナーレを見て「イライラすることもあった」と彼女は語っています。「何か試してみろよ！」と。そして、そのレース展開を3人で分析したことで、「一緒にレースをしたいという気持ちがすごく高まった」と言います。この言葉の裏には、ライバルチームの走りを見て感じた悔しさや、自分たちならもっとできるという自信、そして何よりチームとして戦うことへの強いモチベーションが込められているのでしょう。「私たちは最高にやる気になっています！」という彼女の言葉からは、チーム全体の士気の高さをひしひしと感じます。SD Worxという強大な壁に、FDJ-SUEZがチーム一丸となってどう立ち向かうのか、非常に楽しみです。

アルデンヌの女王へ、いざ南リンブルフへ

ブラバントセ・パイルをスキップし、アムステル・ゴールド・レースにすべてを賭けるデミ ボディネ・フォレリング。彼女の「選択と集中」の決断は、勝利への強い意志の現れであり、チームとの連携を深めるための合理的な判断だったと言えるでしょう。

アルデンヌ・クラシックは、ワロンヌ・アルデンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュと続きます。アムステル・ゴールド・レースでの彼女の走り、そしてFDJ-SUEZがSD Worx-ProTimeという強敵にどう挑むのか。今年のアルデンヌ戦線は、女子レースからも目が離せません。果たして、デミ ボディネ・フォレリングは再び南リンブルフで勝利の美酒を味わうことができるのでしょうか？ 今週末のアムステル・ゴールド・レースが待ちきれませんね！