カラパス、若手にベテランの教訓を説く

「トゥルカンのジャガー」が咆哮！ リチャル・カラパス、待望の復活勝利！

水曜日のジロ・デ・イタリア第11ステージ、カステルノーヴォ・ネ・モンティにゴールする最後の登りで、私は思わず「来たか！」と声を上げてしまいました。そこにいたのは、2019年の総合優勝以来、ジロのステージで勝利から遠ざかっていたリチャル・カラパス（EFエデュケーション・イージーポスト）です。残り9.1km地点、逃げ集団が吸収され、道幅が狭くなるまさにその瞬間、彼は狂ったような猛烈なアタックを仕掛けました。その加速は、まるで「トゥルカンのジャガー」の異名にふさわしい、獲物を狙う獣そのもの。誰も彼を追いきれず、独走でフィニッシュラインを駆け抜けました。

この勝利は、単なるステージ優勝以上の意味を持っています。2019年に彼がジロで3度目のステージ優勝を飾った時、現在の総合リーダであるイサーク・デルトロはまだ15歳半、フアン・アユソは16歳8ヶ月でした。彼らはその頃、カラパスの活躍をテレビで見ていたに過ぎなかったでしょう。しかし今回、31歳になったベテランの鮮烈なアタックを、21歳になったデルトロと、1歳年上のアユソは、自らの目で、そしてその脚で、体験することになったのです。「なるほど！」と思わせる世代交代のコントラストの中に、カラパスの経験と衰えぬ闘志が際立っていました。

総合への揺るぎない執念：ベテランが語る「ジロは長い」

この勝利で、カラパスは総合6位に浮上し、イサーク・デルトロから1分56秒差と、再び総合争いの有力候補に名乗りを上げました。彼のコメントからは、総合への強いこだわりがひしひしと伝わってきます。「総合で良い成績を残すことが常に目標。ジロは長い。今日は勝つチャンスがあったから掴んだが、目標は変わらない」と彼は語りました。昨年、ツール・ド・フランスでステージ優勝を飾り、その2週間前にはトリノで初のマイヨ・ジョーヌを着用。続くブエルタ・ア・エスパーニャでも総合4位に入るなど、彼はグランツールで総合を狙える選手であることを改めて証明してきました。「確かに！」と頷ける、彼の揺るぎない信念がそこにはありました。

火曜日のタイムトライアルでは、プリモシュ・ログリッチに1分37秒もの差をつけられ、59位と大きく出遅れました。「タイムトライアルは得意ではないと分かっていた。ベストを尽くしたが、結果は予想通りだった」と彼は正直に認めました。しかし、「脚があることは分かっていたし、戦い続けられると確信していた。今日それを証明した」と力強く語る姿は、まさにプロの矜持。一度の失敗で諦めるような男ではありません。この勝利は、タイムトライアルで失った自信を取り戻し、チーム全体の士気を高める上で、計り知れない価値があるでしょう。

熟練の戦術眼：ジロならではの「不確実性」を味方に

31歳のリチャル・カラパスは、これまで14ものグランツールに出場し、1度の総合優勝と3度の表彰台経験を持っています。この豊富な経験こそが、彼の最大の強みです。彼は「良いライバルたちがいるが、最後まで戦い抜きたい。ローマに着くまで戦い続ける」と宣言しました。特にイタリアでのレースは、最後まで何が起こるか分からない「不確実性」に満ちています。落車、体調不良、悪天候、そして予測不能なアタック。それらすべてを乗り越えてきた彼の経験は、若きライバルたちにとって大きな壁となるでしょう。

10月からこのジロに向けて準備を重ねてきたという彼の言葉は、その並々ならぬ覚悟を示しています。これから残りの2週間は、勝負を分ける山岳ステージが目白押しです。カラパスの戦術眼と、一瞬の隙も見逃さない「ジャガー」の嗅覚が、総合争いをさらに混沌とさせることでしょう。「へぇ～」と唸らせる、彼のベテランとしての深みが、今後の展開にどう影響するのか、非常に楽しみです。

ファンが待ち望んだ「真のアタッカー」の魂

今回のカラパスの勝利に対し、SNSでは「JacquespréVert」というユーザーが「画面越しでも美しい感情を呼び起こしてくれる、真のパナッシュに満ちた走りだ。素晴らしいアーティスト、真のアタッカーだ！」とコメントしていました。まさにその通りです。カラパスの走りは、単なる勝利以上の感動をファンに与えます。彼の勝利は、多くのファンが待ち望んでいた「真のアタッカー」の魂が、再びジロの舞台で輝きを放った瞬間だったと言えるでしょう。

この勝利を機に、カラパスはさらに総合争いのギアを上げてくるはずです。イサーク・デルトロ、フアン・アユソといった若手エースたち、そしてプリモシュ・ログリッチ、タデイ・ポガチャル（※関連情報より）といった強敵たちとの激しい戦いが、これから本格化します。果たして、「トゥルカンのジャガー」は、2019年の再現となるか？ 次のステージも、彼の走りに目が離せません！ 「次も読みたい！」そう思っていただけるような、熱いレポートをこれからもお届けしていきます。