ジロ2025 第5ステージ予想：逃げか？パンチャーか？ピーダスンか？

ジロ・デ・イタリア2025：第5ステージ展望 マテーラへ、パンチャーたちの牙城か、それとも… ワウト・ファンアールト Aertの復調は？

皆さん、ボンジョルノ！ グランツール担当の山田健一です。

ジロ・デ・イタリアも序盤戦のクライマックスを迎えつつあります。第4ステージはカスペル・ファンウーデン Udenが見事なスプリント勝利を飾りましたね。しかし、続く第5ステージは様相が一変します。南イタリア、歴史情緒あふれる古都マテーラへのフィニッシュは、一見するとスプリンター向きにも見えますが、その実、侮れないパンチ力が必要とされる難コース。特に、ここまでのステージで圧倒的な存在感を見せつけているマッズ・ピーダスンが、再びその強さを見せつけるのか？ そして、開幕から精彩を欠いている感のあるワウト・ファンアールト Aertは、この得意なコースで復調の狼煙を上げるのか？ 現地メディアの分析と私の視点を交えながら、この興味深いステージを展望していきましょう。

コース分析：プロフィールに騙されるな！ 隠された牙を持つ丘陵ステージ

第5ステージはチェーリエ・メッサーピカをスタートし、マテーラまでの145km（主催者発表では151km）。コースプロフィールだけを見ると、平坦基調に見えるかもしれません。しかし、これは大きな間違い。「なるほど！」と思っていただけるポイントはここにあります。特にレース終盤、メタポントを過ぎて海岸線から内陸部へ向かうにつれて、コースは表情を変え、じわじわと選手たちの脚を削っていきます。

鍵となるのは、フィニッシュまで約30km地点に待ち構えるモンテスカリオーソへの登り（2.8km 平均勾配8.6%）です。カテゴリー4に指定されていますが、コメント欄でも指摘があったように、その勾配は平均以上に厳しく、特に1km以上にわたって10%を超える区間も存在します。ツール・ド・フランスであればカテゴリー2相当と言っても過言ではないでしょう。ここで本格的にペースが上がれば、純粋なスプリンターたちは集団から脱落を余儀なくされる可能性が高い。「そうだったのか！」と思われた方も多いのではないでしょうか。

この登りをこなした後も、トラモンターノ城へ向かう7.1kmの緩やかな上り（平均3.5%）が続き、そして極めつけはマテーラ市街に入ってからのフィニッシュ手前1.7km地点にある700mの激坂（平均7.9%）です。この連続するアップダウンが、このステージをパンチャーや登れるスプリンターたちの戦場へと変えるのです。5年前にアルノー・デマールがここで勝利しているのも、このフィニッシュの特性をよく表しています。見た目のプロフィール以上にタフな一日となることは間違いありません。

本命はマッズ・ピーダスンか？ 対抗は強力なパンチャーたち

さて、このステージの最有力候補は、やはりマリアローザを着るマッズ・ピーダスン（Lidl-Trek）でしょう。開幕からのステージで、彼は最後の登りをハイペースでクリアし、そのままスプリントでライバルを圧倒するという離れ業を立て続けに演じています。今回のフィニッシュ手前の激坂も、彼にとっては願ってもない舞台。現在の絶好調ぶりを考えれば、「確かに！」彼が再び勝利する可能性は極めて高いと言えます。Lidl-Trekが彼のマリアローザ維持のためにレースをコントロールする可能性も高いですが、同時にマティアス・ヴァチェクのような選手を逃げに乗せるという戦術も視野に入れているかもしれません。

対抗馬としては、Orluis Aular（Movistar）の名前が挙がります。純粋なスプリンターが脱落するようなステージで、既に2度の3位に入っている安定感は特筆もの。クライミング力も兼ね備えており、マテーラのフィニッシュは彼にも合っています。

そして、もう一人、注目すべきはTom Pidcock（Q36.5）です。軽量級でパンチ力のある彼は、ラストの激坂で一発を狙うことも可能ですが、それだけではありません。難易度以上の厳しさを持つモンテスカリオーソで、マッズ・ピーダスンを揺さぶりにいく可能性も十分に考えられます。第3ステージでマッズ・ピーダスンを逃がしてしまった他チームは、同じ轍を踏まないはず。「へぇ～」と思われた方もいるかもしれませんが、彼の動きはステージの展開を大きく左右するかもしれません。ただし、総合でまだ上位につけているため、有力な逃げには乗せてもらえない可能性が高いでしょう。

ワウト・ファンアールト Aert、復調の兆しは？

個人的に、そして多くの日本のファンの皆さんが最も気になっているのは、ワウト・ファンアールト Aert（チーム ヴィスマ・リースアバイク）のコンディションではないでしょうか。コースプロフィールだけを見れば、まさに彼のためにあるようなステージです。パンチ力のある登坂力と、それを活かせるスプリント力。しかし、開幕からのステージでは、本来の彼らしさが見られていないのは事実。体調不良の影響がまだ残っているのかもしれません。

コメント欄でも、彼の評価（WielerFlitsの星2つ）について様々な意見が出ていますね。「公正な評価だ」「いや、彼は第1ステージで2位になっている」「体調不良だったことを考慮すべきだ」など、議論が白熱しています。これもロードレースの面白さであり、彼の注目度の高さの表れでしょう。

ただ、休養日を経て、前日のスプリントステージをこなしたことで、体調が上向いている可能性も十分にあります。もし彼が本来のコンディションを取り戻していれば、マッズ・ピーダスンにとって最も危険なライバルとなるはずです。「次も読みたい！」と思わせる彼の走りに、ぜひ注目したいところです。カーデン・グローブスも同様に、休養日後の回復に期待がかかります。イーサン・ヘイター（Soudal Quick-Step）、リック・プルイマース（Tudor）、コービン・ストロング（Israel-Premier チーム ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ）といった選手たちも、このタイプのフィニッシュで上位に食い込む力を持っています。

逃げ集団にも十分なチャンス、ベテランたちの意地にも注目

このステージは、逃げ集団にも十分なチャンスがあると考えられます。特にLidl-Trekがレースを完全にコントロールしない場合や、モンテスカリオーソで有力選手がアタックを仕掛けてメイン集団が分断された場合など、展開次第で逃げ切りが決まる可能性は高まります。

逃げ集団から勝利を狙える選手としては、まずクリスティアン・スカローニ（XDS Astana）を挙げたいですね。イタリアのクラシックレースでの活躍を見れば、このコースへの適性は抜群です。そして、ベテランのディエゴ・ウリッシ（XDS Astana）の名前も忘れてはなりません。35歳になった今も衰えを知らず、今大会の開幕ステージでも6位に入っています。ジロでのステージ勝利数は「8」。マテーラで自身9勝目を挙げれば、まさに歴史に名を刻む快挙となるでしょう。ステファノ・オルダーニ（コフィディス）も、2022年のジロでステージ優勝経験があり、調子を上げてきているようです。

他にも、クインテン・ヘルマンス (Alpecin-Deceuninck)、カンタン・パシェ (Groupama-FDJ)、シルヴァン・モニケ (コフィディス)、ニコラ・プロドム (Decathlon AG2R)、フランチェスコ・ブザット (Intermarché-Wanty)、クーン・ボウマン、フィリッポ・ザナ、ダヴィデ・デプレット Pretto (Jayco AlUla)、ミルコ・マエストリ (Team Polti-VisitMalta)、フィリッポ・フィオレッリ、マルティン・マルチェルージ (VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)といった選手たちが、もし逃げに乗れば勝利の可能性を秘めています。

予測不能な展開に期待！

マテーラへの第5ステージは、ただのスプリントステージでもなく、純粋な山岳ステージでもない、独特の難しさを持った一日です。絶好調のマッズ・ピーダスンがその牙城を守るのか、それともパンチャーや逃げ集団から新たな勝者が生まれるのか。そして、ワウト・ファンアールト Aertは果たして本来の輝きを取り戻せるのか？

コメント欄での白熱した議論も、このステージへの期待の表れでしょう。特にモンテスカリオーソの勾配に関する指摘は、レース戦略において非常に重要なポイントとなるはずです。各チームがこの登りをどう利用するか、そしてフィニッシュ手前の激坂で誰が仕掛けるのか、最後まで目が離せません。

明日のマテーラでは、一体どんなドラマが待っているのでしょうか？ 選手たちの表情、そしてその声のトーンから、私はどんな展開を読み解くことができるか… 皆さんもぜひ、画面越しに選手たちの息遣いを感じ取ってみてください。次のステージも、熱い戦いを期待しましょう！